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中村潤一の相場スクランブル 「“逆バブル崩壊”で走り出す「中小型株」精選」

minkabu PRESS編集部 株式情報担当編集長 中村潤一

 10月相場で異彩を放った日経平均株価16連騰は、売り方を完全凌駕し、谷底に丸太を転がすが如き絡みつくものすべてを弾き飛ばす勢いをみせつけました。結局、10月月間の日経平均の騰落を振り返れば19勝2敗という圧勝劇。10月31日は大引け間際まで前日終値近辺での攻防を繰り広げ、当編集部でも“月間20勝”を達成できるか否かハイ・アンド・ローで最後の1秒まで盛り上がりました。結果的にわずかにマイナス圏での着地となり、“2敗目”を喫したのは残念でしたが、それでも月間での勝率9割超えは、「安倍1強」をマーケットが手放しで歓迎しているようにも見えます。

●金融相場と業績相場のダブルエンジン

 11月相場も出足快調で、前日(31日)の引け際の憂さを晴らすかのように日経平均は急上昇。第4次安倍晋三内閣発足への祝砲ともいえる400円超の大幅高で、96年6月につけた高値2万2666円の21年半ぶり更新が至近距離に迫ってきました。ここを抜ければ、91年3月の戻り高値2万7146円までフシはありません。2万2666円から2万7146円まで幅にして約4500円あるものの、このゾーンはバブル崩壊後の急勾配の下り坂で滞留出来高も少なく、真空地帯を駆け上がる可能性も意識されるところです。

 今の東京株式市場は企業の好業績をベースとした歴史的な大出直り相場の趣を強めています。佳境に入りつつある企業の4-9月期決算発表は上方修正の動きが目立っており、一方で株式需給面でも強力に過剰流動性が担保されている。10月30~31日に行われた日銀の金融政策決定会合後の会見で、黒田日銀総裁は年間約6兆円のETF買い継続を明言、量的緩和環境に変化なしとの姿勢がマーケットに買い安心感をもたらし、まさに金融相場と業績相場の「ダブルエンジン」が全体株価を高みへと押し上げている構図です。

 実質11月相場入りとなってからの東証1部売買代金の増勢を考慮すれば、あきらかに新たな投資主体が加わった感があります。直近ではソニー <6758> の急騰が暗示的で、いわゆる全員参加型相場の様相といってよいでしょう。

●調整局面は早晩訪れるが、トレンド転換ではない

 しかし、今はバックミラーに映る光景を見てアクセルを踏み込んでいる部分も少なからずあります。前方は雲一つなき快晴、というわけでもないのです。日経平均やTOPIXの場合、一方通行の偏った上昇や下落は、ヘッジファンドの一形態であるCTAの動きが影響している要素も大きく、足もとの常勝ムードに冷水を浴びせる気は毛頭ありませんが、このまま一直線にフルスロットル状態で2万2000円台を走り抜けるとは思えません。早晩、反動局面に遭遇する可能性は高いと考えています。それが、北朝鮮リスクなのか、ロシアゲート問題の再燃か、米国の税制改革期待の先細りか、あるいはスペインのカタルーニャ州の独立問題に端を発するものなのか、判断がつきませんが、いずれにしても後講釈として、それらしく“悪材料予備軍”がうごめき出す局面も想定しておく必要があります。

 もっとも、これは需給がもたらすものであって、それは自然な調整であるということも同時に理解しておくべきです。株価は一定の時が経過すれば、合理的な位置に収斂しようとする力が必ず働きます。どんなに強くても相場は生き物、人間の呼吸と似た部分があり、大きく吸い込めば吐き出すタイミングも訪れるのです。それはトレンドの転換とは違います。東京市場における歴史的な視座が変わった瞬間がどのタイミングだったかは特定できませんが、今の上昇相場は“逆バブル崩壊”の長い螺旋階段を上っていく途中であり、株価が売られたところは踊り場であってすなわち買い場である、と考えてよいと思われます。

●短期で動けば反動も、大勢波動を捉えた投資を

 個別銘柄の物色意欲は旺盛です。日経平均が大きく上昇している時は、どうしても主力株に目が行きがちですが、10%の利ザヤをとるのは大変な作業です。全体指数が減速もしくは後退してもその余熱で上昇できる中小型株が、個人投資家の土俵であることは変わりないでしょう。

 相場は人間の呼吸と似ていると述べましたが、急な上昇をみせればその反動があるのは個別株も一緒。仮に動意した銘柄がどこを目先の高値とするのかは神のみぞ知る領域であり、そこは投資する側として機動的な対応が求められます。ただし、短期間で大きく動く銘柄というのは、潜在的に株価の水準訂正を肯定するだけの何らかの資質を持っているのです。間欠泉のように噴き上げて終わりというのではなく、もう少し長い目で見れば、やはりその時の急動意はトレンドの初動だったと気づかされることも少なくありません。

 相場の世界では小回り3ヵ月といいます。当コーナーは月2回の配信ですが、直近までの3ヵ月間をざっと振り返り、取り上げた銘柄を中期で検証してみると、手前味噌になりますがその後、相場に発展しているものも多いようです。

●タケダ機械、栄電子、富士通コンなど中期で変貌

 例えば7月26日配信の「2部&ジャスダック選抜“爆騰”機械株に照準」で取り上げたタケダ機械 <6150> [JQ]と栄電子 <7567> [JQ]、8月9日配信の「ピンチは好機、安値買い究極の戦略」で紹介したIMV <7760> [JQ]、富士通コンポーネント <6719> [東証2]などはその典型。8月23日配信の「材料株“大回転スペクタクル相場”を追う」で取り上げたキョウデン <6881> [東証2]もまずまずの動きで、日本和装ホールディングス <2499> [東証2]も今日のストップ高で日の目を見た形です。

 また、9月6日配信の「高まる地政学リスク、そして今買うべき株」で挙げたエヌエフ回路設計ブロック <6864> [JQ]は10月下旬になって調整を余儀なくされてはいますが既に大きく株価の居どころを変えており、オリジン電気 <6513> は動意後、大勢二段上げとなりました。9月20日配信の「テンバガー宝庫! 量子コンピューター関連」では日本ラッド <4736> [JQ]やブレインパッド <3655> が上値指向、三社電機製作所 <6882> [東証2]や芝浦メカトロニクス <6590> はいずれも強力な上昇波を形成しています。

 10月4日配信の「加速する材料株相場 秋高特選7銘柄」ではビジネス・ブレークスルー <2464> や、再び取り上げた栄電子が大きく動意。さらに、一般的には地味な銘柄とみられがちですが、ここで紹介したタカキタ <6325> が10月相場で大きく開花する格好となっています。

◆日本アイエスケイは宅配ロッカーで注目

 今回、新たに注目したいのは、まず日本アイ・エス・ケイ <7986> [JQ]。10月下旬から陽線が多くなっており、株価も5日移動平均線をサポートラインに下値を綺麗に切り上げてきています。広沢グループ傘下の耐火金庫メーカーで、昨年「マイナス金利」がインパクトのある材料となって、500円台まで買われる大相場を形成しました。時価は200円前後と低位にあり食指の動く水準です。材料として注目されるのは、ネット通販市場の拡大に伴い急速に普及が見込まれる宅配ロッカー で同社はOEMにより受注を確保していること。金庫製造技術を応用したオリジナル製品の展開で、株価も今後大きく見直される可能性がありそうです。

◆「習1強」中国関連で光放つ三光合成

 2期目の習近平体制の始動でにわかに注目されている中国関連 では、特に中小型株の動きが軽いようです。そのなか、三光合成 <7888> [東証2]に上値妙味があります。自動車向けや情報通信機器向けを主力とする樹脂製精密部品メーカーで炭素繊維の強度を生かす成形技術の開発など高度な技術力に注目。中国に積極展開しており、現地に設立した自動車部品製造子会社は2019年稼働の見通し。PER10倍前後と割安感が強く、600円台回復となれば戻り売りから逃れ、上昇加速も考えられます。

◆サンケン電はパワー半導体関連の本命格

 電気自動車(EV)市場の拡大やデータセンター増設の動きを背景にパワー半導体関連 がマーケットの裏テーマとして注目されているようです。そのなか本命格の1社とみられるのがサンケン電気 <6707> です。18年3月期営業利益見通しを従来予想の73億円から100億円(前期比69%増)に大幅に上方修正しており、株価は26日に急動意した後調整していますが、ここは買い場と思われます。信用倍率0.79倍(10月27日申し込み現在)と売り長で需給相場の素地があります。

◆森組は優良工事で定評、国土強靭化関連

 内需関連はコスト面の負担から利益が薄く相対的に不利感がありますが、そのなか建設セクターの森組 <1853> [東証2]に意外性があります。投資対象として株価200円台で100株単位であるというのが一つのポイントです。関西を地盤に土木だけでなくマンションや商業施設を展開していますが、優良工事で定評があり、国土強靭化関連 として注目されます。業績は減益基調にあり、その点を認識しておく必要はありますが、PERなどから割安感は強く水準訂正余地が意識されます。

◆仮想通貨関連のクロスキャットに再騰気配

 最後にクロスキャット <2307> [JQ]を改めて注目。ソフト受託開発を手掛けており、とりわけ金融関連分野のシステム開発に強く、メガバンクが注力意向を示している仮想通貨関連 の一角としてマーケットの視線を集めています。10月11日配信の株探トップ特集「祝・アベノミクス高値更新、大相場前夜『特選ワケあり10銘柄』」で取り上げ翌12日から急騰しましたが、その後の調整に一巡感があります。ブロックチェーン技術を持つカウラ社と協業で同分野を深耕しており、中期的な業容拡大期待は大きい。波動的には半導体関連人気で大化けした栄電子に近いイメージがあります。

(11月1日記、隔週水曜日掲載)

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