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02月22日 13:39

復活「電線地中化」関連の注目株、巨大成長余地で再び“陽の目” <株探トップ特集>

―無電柱化率“東京8%大阪6%”が意味する市場規模、恩恵はどこに―

 昨年10月の総選挙において、小池百合子代表(当時)自らの失言により希望の党は大惨敗した。これをもって小池劇場も閉幕、もはや往時の人気はない。株式市場においても、小池旋風が吹くなか政策につながる銘柄が脚光を浴びたが、いまやその存在感は薄い。その“小池銘柄”の代表格といえば、電線地中化(無電柱化)関連だ。こちらも小池人気同様に色あせたかにみられるが、どっこい生きている急騰習性、投資家は忘れてはいなかった。電線地中化関連株のいまを点検した。

●イトーヨーギョーが急伸

 活況続く東京株式市場、その原動力となっているのがIoT社会の到来をハヤし多くの技術を横断的に結びつける人工知能(AI)を巡る関連銘柄だ。また、急騰相場を背景にしたビットコインなど仮想通貨関連も脚光を浴びている。こうした未来を予感させる先進技術を背景とした銘柄が株式市場で闊歩するなか、小池人気失速とともに、もはや忘れ去られたかと思われた電線地中化関連株が、今年に入り動意する場面があった。

 14日付の読売新聞で「電柱や電線の地中化促進に向け、政府が制度整備に着手することがわかった」と報じられると、週明けとなる翌日には電線の共同溝などを扱うイトーヨーギョー <5287> [東証2]をはじめとする一連の関連銘柄が動意、株式市場において電線地中化に対する注目度の高さが健在であることを裏付けることになった。イトーヨーギョーは、この報道を受けて急伸、1000円近辺から1200円台後半まで一気に買われ、出来高流動性は乏しいものの電線地中化に対する感応度の高さを見せつけた。ただ、株価は上ヒゲを形成することになり現在は1100円近辺で推移している。

 記事によると、これまで無電柱化は幹線道路を中心に進められてきたが、道路法を改正し、歩道も無電柱化の対象に含めることなどを柱とするとしており、法改正のほか電気事業者の工事費用に対する補助金制度を新設するという。この報道に対して、国土交通省では「公式に発表したものではない」と言うが「狭い歩道において電柱を撤去するというのは非常に効果的であると認識しており、これらを含めて検討しているのは事実だ」(道路局環境安全課)と答える。

●1キロで5億3000万円

 2016年12月16日付で、無電柱化の推進に関する法律が施行された。東京都においても20年の東京オリンピック・パラリンピックの開催までに、「センター・コア・エリア内の都市計画幅員で完成した都道の無電柱化を完了させるとともに、震災対策上、重要な位置付けにある緊急輸送道路や利用者の多い主要駅などで重点的に整備を進める」としている。電線地中化に向けての動きは、防災に加え景観、バリアフリーの観点から加速することになりそうだ。

 こうしたなか、都内においては急速に電線の地中化工事が見られるようになってきている。ただ、ある業界関係者は「正直なところ、現在ではまだ目に見えるほど業績に寄与するものではない」ともいう。その証左として、関連企業の決算短信においても、電線地中化が業績に寄与しているとの記述はあまり見受けられない。とは言え、国交省によると「1キロメートルあたりで5億3000万円(標準的単価)の費用が発生する」という巨大な国家プロジェクトであり、今後中長期にわたり、関連企業の業績に寄与することは容易に想像できる。

●ゼニス羽田は「技術的ノウハウ保有」

 電線地中化の中核銘柄といえるのが、やはりゼニス羽田ホールディングス <5289> [東証2]だろう。昨年11月に発表した20年3月期を最終とする第一次中期計画でも「電線地中事業の技術的ノウハウを保有している」とし、同事業に対して「積極的に営業を行う」としている。さらに、コア事業(コンクリート)の売り上げナンバーワンへの基礎づくりに加え、ノンコア事業の育成として「防災事業をコア事業へ」とし売上高30億円を目指すとしている。ここゲリラ豪雨が頻発するなか、浸水対策などでも活躍場面は広がりそうだ。株価は、直近安値373円を底に反転攻勢、ここにきて10月3日につけた高値439円を射程に捉えている。

 前述のイトーヨーギョーも電線地中化に対し積極姿勢を見せる。従来の手法とは異なる次世代の無電柱化を主眼に据えた無電柱化製品「D.D.BOX」「S.D.BOX」の販売促進を進める方針で、株価だけではなく技術面においても今後の展開から目が離せない。

●地中埋設用防護管でタイガースポリ

 電線地中化においては、ゼニス羽田HDやイトーヨーギョーなど共同溝に関わる銘柄に関心が集まりやすいが、電線共同溝は費用面では割高ともいわれ、低コスト化を求める声は少なくはない。調査会社の富士経済でも「土木資材の国内市場調査」において「諸外国で採用されている直接埋設方式と比較すると、国内の電線共同溝の整備は工事費用が高いなどの課題があるため、低コスト化手法の技術開発が進められている」と指摘している。

 関連銘柄のすそ野が広がるなか、地中埋設用ケーブル防護管「タイレックス」を扱うタイガースポリマー <4231> にも注目したい。同製品は長尺で曲げやすく、電線管布設の省力化・工期短縮を図れるという。株価は、直近安値762円を底に上値を慕い、現在は840円近辺で頑強な展開となっている。

●電線御三家の古河電工、フジクラ

 小回りの効く関連銘柄が多いなか、電線御三家の一角を占める古河電気工業 <5801> も手をこまねいてはいない。同社は昨年6月から、地中埋設用ケーブル保護管「角型エフレックス」を販売開始した。同製品は、手作業で容易に曲げることができ、曲り管が不要になる。さらに直接段積ができるため、コンパクトな配管で掘削費など施工費の削減も可能で「無電柱化に貢献」するとしている。

 そのほか電線各社では、同じく御三家でフジクラ <5803> 、古河電工グループで情報・通信ケーブルを扱う東京特殊電線 <5807> にも妙味がありそうだ。

●5G関連でも注目のコムシスHD

 電気通信工事ではコムシスホールディングス <1721> に継続注目したい。株価は一貫して上昇波動を形成してきたが、昨年12月19日に3360円の高値をつけて以降は若干の調整を入れているものの、5G(第5世代移動通信システム)の切り口もあり目が離せない存在だ。また、楽天 <4755> が昨年12月14日、携帯キャリア事業への新規参入を発表。第4世代携帯電話システム(4G)用周波数について総務省の割当受付の開始後、その申請をする。楽天の携帯キャリア事業への参入は、通信工事会社に追い風となるとの期待も強い。

 昨年までは、思惑買いの域を出なかった電線地中関連銘柄だが、20年の東京五輪が迫るなか、ここにきて理想買いから、さらには現実買いへの道を一気に進む可能性もある。日本の無電柱化率は東京23区で8%、大阪市で6%、(国土交通省調べによる2016年度末の状況)と、100%ともいわれるロンドンやパリに大きく後れをとっている。さらに言えば、電線地中化は東京都だけではなく日本列島全体のプロジェクトであることを忘れてはならない。巨大マーケットに向けた取り組みは、まだ緒に就いたばかりだ。

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