仮想通貨ビジネスの健全な発展を目指す会員組織「日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)」は2日、日本のセキュリティトークン規制のあり方について提言する提言書を公開した。同協会はICO(イニシャル・コイン・オファリング:仮想通貨による資金調達)・STO(セキュリティ・トークン・オファリング:デジタル証券による資金調達)検討部会にて議論を行い、9月6日に「セキュリティトークン規制に関する提言書」をとりまとめ、関係各所と調整を図ってきたという。
提言骨子では、セキュリティトークンの規制体系について、1つ目に「第一項有価証券に該当するセキュリティトークンの開示に関する規制」、2つ目に「第一項有価証券に該当するセキュリティトークンの二次流通市場の整備」、3つ目に「改正金商法第2条第3項における電子記録移転権利の適用除外要件」を提言している。
1つ目では、電子記録移転権利について「第一項有価証券としての取り扱いを受けることになるが、その権利の内容自体は第二項有価証券としての権利と変わらない」として、「発行開示義務が課せられる場合における開示内容は、原則として、第二項有価証券のうち開示規制の対象となる有価証券投資事業権利等の開示内容と同等とし、これにトークン上に権利が表示されることに伴い必要な開示事項を付け加えたものとすべきである」としている。
また、「電子記録移転権利に係る継続開示義務その他の開示規制」についても、「四半期報告書、確認書、内部統制報告書、自己株券等買付状況報告書、親会社等状況報告書の提出は不要とすべき」と提言している。
2つ目では、セキュリティトークンが第一項有価証券として位置づけられている以上、制度的に二次流通市場が整備される必要があると述べている。
「事実上の流通性」によって適法ではない流通市場が跋扈するような事態を防止するため、少なくとも「自主規制を含むあらゆる規制や実務慣行のレベルを含め、セキュリティトークンの売買の媒介を第一種金融商品取引業者が行うことができないこととなる規範を設けないこと」、「売買システムを通じたセキュリティトークンの取引を可能とするため、私設取引システムによるセキュリティトークンの取引市場が創設されることを念頭に置いた制度整備を行うこと」の2点を同時に確保すべきとしている。
3つ目では、「流通性その他の事情を勘案して内閣府令で定める場合」については、「契約において権利の移転には発行者の承認が必要とされており、かつ、電子情報処理組織を用いて移転することができる範囲が技術的に制限され権利保有者が一定数を超えないことが確保されている場合」、または「権利者が特例業務対象投資家 に限られている場合」のいずれかを満たす場合とすべきと提言している。
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