仮想通貨レンディング企業DeFinerの創設者でありCEOのジ・ハンウー氏は、中国で新型コロナウィルスの感染が蔓延し、仮想通貨関連の顧客との多くのミーティングをキャンセルせざるを得なかったと言います。
「我々は、中国の10都市を回って、潜在的顧客と会合する予定でした。しかしウィルスのせいで、誰一人として仮想通貨関連のカンファレンスやミーティングに出席したいという人はいません。我々は、全てを再調整しなければならなくなりました。」
12月8日に湖北省の武漢で最初の感染者が確認されてから、新型コロナウィルスは81の命を奪いました。
現在、中国国内では2,700人の感染者が確認されており、日曜日の夕方までに米国を含む海外でも10人以上の感染者が確認されています。
旧正月に重なったことで影響は?
リサーチ企業Chainalysisによると、世界のトップ50の仮想通貨の40%が存在するアジア太平洋地域の中で仮想通貨投資の中心地となっている中国には、最も多くの取引所が存在します。
ジ・ハンウー氏のような仮想通貨の専門家らは、程度の差こそあれ、仮想通貨ビジネスや市場価格に及ぼす、新型コロナウィルスの潜在的な破壊力を懸念しています。
中国のアンダーグランドな仮想通貨投資企業にとってマーケティングイベントは、資金調達や投資を引き出すために必要不可欠なものであるとし、これらのビジネスがウィルスのために減速しつつあるとウー氏は指摘しています。
「もしこれまでのような仮想通貨資産クラスへの資金の流入が滞れば、市場は大きな打撃を受けることになるかもしれません。」
ウー氏によると、仮想通貨市場はウィルスの蔓延の他に中国の旧正月にも影響を受けている可能性があるとのことです。
多くの中国人投資家は個人投資家であり、旧正月の休暇前に仮想通貨を現金化して年が明けると再投資する傾向があると言います。
今年の中国の旧正月は1月25日でした。
「ウィルスの蔓延が、ちょうど旧正月に重なってしまった。いつどのくらいの資金が旧正月の後に市場に戻ってくるかは、わからない。」
仮想通貨市場とウィルス蔓延の相関関係の証明は難しい
サンフランシスコに拠点を置く仮想通貨ヘッジファンドのTrading TerminalのCTOであるリンシア・ヤン氏によると、中国の仮想通貨投資家は市場において巨大な影響力を持つが、ウィルスの蔓延と仮想通貨市場の動きとの相関関係を統計的に結論づけるのは難しいとのことです。
「データが常に入手可能な状態で透明性を保てる状態ではないことを考慮すると、仮想通貨の取引高と市場価格に影響を与えている理由を特定するのは非常に困難です。」
さらに、仮想通貨市場の時価総額は他の株式市場と比べると規模が小さく、市場は多くの要因から影響を受けやすいと言います。
一方で、ヤン氏は新型コロナウィルスが市場に大きな影響を与える重要な要因となり得る、アジアの投資家の特徴をいくつか挙げています。
アジアの仮想通貨投資家は、ほとんどが個人投資家です。
歴史的に見て、彼らは旧正月のような休暇の前後で動きが活発になると指摘しています。
「我々は、市場価格を予想することはできませんが、過去の経験に基づくとこれらのタイミングで価格のボラティリティがより大きくなっています。ウィルスの蔓延で彼らは自宅で過ごす時間が長くなるため、市場のチェックを頻繁に行うことで取引が活発になることは考えられます。」
CLS Investmentsのシニア・ポートフォリオ・マネージャーのコイスタ・エタス氏は、次のように述べています。
「ビットコインのようなデジタル資産は独特な利益の原動力を持つために、価格を予想することは難しい。しかしビットコインは金や現金のような逃避資産として実際に認識されていないし、株式のようなリスクオン資産との共通点もあまり見られない。」
「ほとんどの資産クラスはリスクオンとリスクオフといった状況に明確に特化しており、特定のイベントに対する価格を予想できるが、ビットコインはそうはいかないという点で他の資産クラスとは異なる。」
仮想通貨市場は他に比べて過剰反応
シカゴに拠点を置くSVRN Asset Managementのフィナンシャルアドバイザーであるサミュエル・リー氏は、仮想通貨は非常に投機的な要素が高いがゆえに、新型コロナウィルスの蔓延がグローバル市場に大きな影響を与える可能性があるとしています。
「仮想通貨市場は伝統的な金融市場に比べて不合理な動きをするため、このようなウィルスの蔓延に対して過剰に反応することが考えられます。」
リー氏は、一方でウィルスの蔓延は限定的な影響にとどまる可能性が高いとも予想しています。
「ビットコインは、米国とイランの間で戦争が勃発する可能性が浮上した際にも、価格が上昇しました。この時に比べれば、今回のウィルスによる影響はそれほど大きな地政学的な影響力はないでしょう。」
世界保健機構(WHO)が新型コロナウィルス蔓延の対策を検討する緊急会議を招集した直後にも、S&P500は上昇しました。
香港のベンチマークであるハンセンインデックスと上海A株インデックスは、直近でかなり下落しています。
ブティック投資銀行のシニア・アドバイザーであり、元OKCoinの金融責任者であったウィルフレッド・ダエ氏は次のように述べています。
「SARSの時を除いて、過去の多くの地域的なウィルスの蔓延は、株式市場には限定的な影響しか及ぼしていません。しかし、ウィルス蔓延が長引き市場をかき乱す要因となった場合は、仮想通貨市場は他の市場よりも激しい反応をするだろう」
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