米国のテザー社が11日、同社が発行する仮想通貨テザー(USDT)5000万ドル分のトークンを新たに発行したことが一部報道により明らかになった。
テザーとはテザー社の発行する仮想通貨のひとつで、世界最大規模の仮想通貨取引所「ビットフィネックス」を含め多くの取引所で取引されている。テザーは1 USDT =1米ドルで価値をペッグされたコインと謳われており流通量も大きい。「Coin Market Cap」というサイト上では、仮想通貨の時価総額ランキングにおいて14日時点で8位につけている。なお、テザーは今年5月にも2億5000万ドル分を追加発行している。
テザーを巡っては、昨年末にテザーの価値の裏付けとして本来保有すべきテザーと同量のドルを保有せずにUSDTを発行することで、ビットコインの市場操作に利用されているのではないかとの疑惑が広がっていた。今年1月には、米商品先物取引委員会(CFTC)が仮想通貨取引所ビットフィネックスとテザー社に召喚状を送付し、テザーを調査しているとの報道もあった。
今年6月には、法律事務所フリー・スポーキン&サリバン(FSS)が、依頼人であるテザー社が「十分なドル資産を保有している」ことを証明したとする報告書を発表した。だが、同月13日にテキサス大学の教授によってテザーが2017年のビットコイン価格の操作に利用されたとする論文が発表されており、未だ問題は残っている模様だ。
テザーは流通量が大きいだけに市場への影響を与えやすく、こうした疑惑は、ネガティブなニュースとしてビットコイン価格の重しになると思われる。テザー社及び仮想通貨取引所ビットフィネックスの最高経営責任者(CEO)を務める ジャン・リュードヴァイカス・ヴァン・デル・ヴェルデ氏は「取引所において、テザーがビットコインや他のコイン、トークンなどの価格を引き上げることは不可能だ」と反論している。健全な仮想通貨市場を形成するためには、こうした疑惑が晴らされる必要があるだろう。
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