以下は、フィスコ・マーケットレポーターのタマラ・ソイキナ(ツイッター@crypto_russia)が執筆したコラムです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。今回のインタビューは人気ブロックチェーンメルマガ「Bspeak!」配信しているCoffeeTimesことカイトさん(ツイッター@CoffeeTimesTW)と、精力的にDeFi研究に取り組むTwitterでおなじみ信玄さん(ツイッター@shigen_crypto)の協力の元、実施されました。
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※2021年5月17日に執筆
最近日本の仮想通貨(暗号資産)取引所で新しく海外のブロックチェーンプロジェクトが上場する事例が増えてきました。日本ではあまり知られていなくても、世界的に大きなコミュニティを持ち、将来性のある野心的なプロジェクトは多くあります。
今回は、ブロックチェーンガバナンスにおける課題をメタ・ガバナンスで解決しようとするPowerPool(以下、PP)というプロジェクトにお話を聞く機会をいただきました。匿名のチームメンバーがお話をしてくれました。
タマラ(以下、タ)「まずはじめに、プロジェクトの概要について簡単に紹介お願いします。また、クリプトのリテラシーが高くない人でも分かるように、メタ・ガバナンスが重要である理由についても教えて下さい。」
「ガバナンスは、あらゆるDAO(分散自律組織)やプロトコルのバックボーンとなるものです。Aave、Uniswap、Compoundなどの主要プロジェクトはすべてガバナンストークンを持っています。ガバナンストークン保有者は、プロトコルのあらゆる側面に投票し、プロトコルの収益を受け取り、プロトコルの将来を決めます。そのため、こうしたガバナンストークンを保有することには非常に大きな価値があります。
とはいえ、ブロックチェーンガバナンスには課題もあります。例えば、あらゆる形態の民主主義に共通する問題である有権者の無関心が、ブロックチェーンガバナンスでも明らかになっています。少数派の保有者は、自分の一票が結果に影響を与えることはないと考えていますが、ほとんどの少数派ホルダーは、大規模なガバナンストークン保有者であるいわゆる『クジラ』は多忙であり、自分が権益を保有する多くのプロジェクトのガバナンス提案を注意深く監視し、十分な情報に基づいて意思決定を行うことができないということを知りません。
メタ・ガバナンスは、有権者の無関心に悩む小口投資家と、認知過多に悩む大口投資家を一緒にすることで、それら双方の問題を解決します。メタ・ガバナンスは、双方に高度な関心度と十分な情報を持つ『プロ有権者』に投票権を委ねる能力を与えます。その結果、投票率の向上、効率化、より良い選択がなされるようになります。PPは、プロトコルのコミュニティにとって、純粋にポジティブな存在なのです。DAOの普及が進むにつれ、これらの問題を解決するためにPPが導入されることを期待しています。」
カイト(以下、カ)「PPは当初のメタ・ガバナンスというナラティブよりも、インデックスプロトコルとしての資産効率化に注力してるようですが、今後ガバナンスや投票に関するアップデートは考えていますか?」
「トークンを効率的に集約するために、PPプロトコルは価値を提供する必要があり、最も重要であるリターンも提供しなければなりません。インデックスはリターンを提供するための最適な手段であり、それはメタ・ガバナンスにも当てはまります。近い将来、メタ・ガバナンス・ポータルをリリースし、PPのガバナンストークンであるCVP保有者がプロトコルを構成する際にシームレスに投票できるようにすることを計画しています。」
カ「メタ・ガバナンスにおいて、クリプト以外のOSS開発でのガバナンスへの応用については、どう考えていますか?」
「素晴らしい質問ですね!私たちは、従来の組織のガバナンスや政治が、まったく同じ根本的な問題にさらされていると考えています。暗号通貨、特にDeFiは「サンドボックス」の役割を果たしています。私たちは、『Quadratic Voting』のような異なる投票方法が、従来のガバナンスでどのように作用するかを観察しています。
今、私たちが開発、検証しているものは、OSS開発の未来だけでなく、社会全体の発展の未来にとっても基本的なものになると信じています。」
信玄「インデックス系プロダクトはIndex CoopやPieDAO等ありますが、その中でPPの差別化ポイントはどこにあるのでしょうか?」
「PPは、高度にコンポーザブルであり、メタ・ガバナンスを提供することで、リターンを最大化し、リスクを最小化するスマート・インデックスの構築に取り組んでいます。PPは、ダイナミックAMMを導入している唯一のインデックス・プロバイダーです。 ダイナミックAMMは、急速に変化する環境に対応して、AMM方程式におけるインデックスのウエイトを変更することができます。PPのダイナミックAMMは、外部のコントローラ・シグナルを使用してウエイトをリバランスします。
時価総額、取引所の取引量、ロックされた総額、トークン保有者、生成された手数料など、設定されたパラメーターの変化に基づいてインデックスのバランスが行われます。
これにより、PPは、特定市場のKPIをターゲットにすることで、利益を最大化し、ダウンサイドリスクを最小化する、よりスマートなインデックスを提供することができます。」
タ「最後に、日本のクリプトコミュニティへメッセージをお願いします。」
「私たちは、日本のブロックチェーン・エコシステムが成長し、日本のプロジェクトがますます世界に出ることを楽しみにしています。昨年、Dev ProtocolやSoraなどはグローバルコミュニティが日本のチームに注目するような、素晴らしい取り組みをしています。
私たちは日本のプロジェクトに注目しており、近いうちにいくつかのコラボレーションを実現したいと考えています。」
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