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中村潤一の相場スクランブル 「AIメガトレンド相場に乗る最強布陣20銘柄」

minkabu PRSS編集部 株式情報担当編集長 中村潤一

 巷間を沸かせている話題として、将棋界ではわずか14歳の最年少プロ棋士である藤井聡太四段の快進撃が続いています。デビュー以来、公式戦負けなしで19連勝するということは、実力だけでなく選ばれし者としての“星”を持っている証左でもあります。将棋は序盤、中盤、終盤に大別されますが、棋譜を見る限りすべてにおいて圧巻の強さ。羽生善治三冠のデビュー当時と比べても完成度で上回るというのが大方の見方のようです。

 ちなみに、囲碁の世界では現在、世界ランキング1位に君臨するのが中国棋院の柯潔氏で、米グーグルの人工知能(AI)ソフト「アルファ碁」との三番勝負でも注目されましたが、年齢は19歳。藤井少年とフィールドは違えどもやはり序盤、中盤、終盤ともに完全無欠の強さで他を圧倒しています。これはもはや早熟という言葉は当たらない気がします。人間の“脳力”は、経験値などを外せばティーンエイジでピークに到達するようにできているのかもしれません。

●ディープラーニングが導く解は異次元空間

 ただし残念なことに、いかなる天才であっても既に人間はAIを倒すことはできなくなっています。しかもAIは、ただ勝利するというのではなく、これまで築き上げてきたものを一刀両断に斬り捨てるような、棋士の矜持(きょうじ)を蹂躙するがごとき勝ち方。囲碁も将棋も、中終盤はともかく、人間が何百年という歴史のなかで積みあげてきた序盤の常識すら真っ向から否定するような手をAIソフトは着手し、そして圧勝してしまうのです。人間の脳の仕組みを模した「ニューラルネットワーク」を活用した機械学習、いわゆるディープラーニングで導いた結論は、我々の思考のレベルの延長線上ではなく、スタート地点から極めて大きな隔たりがある。この現実に気づかされたことは、AIに敗北するという現実よりも人間にとって大きな衝撃だったのではないでしょうか。

 そしてこれは、完全情報ゲームの双璧である囲碁・将棋をひとつの縮図として、今後、世の中のあらゆるシーンで想定外の「パラダイムシフト」が起こることを予知しているようにも思えるのです。

●「1秒間100万ノードで34万年」の深み

 囲碁世界最強の柯潔氏はアルファ碁との3番勝負に3連敗。思い起こせば、昨年3月に現在世界ランキング8位の韓国棋院の李世ドル氏がアルファ碁に敗れるまでは、あと10年は人類最強クラスにAIは勝つことができないと言われていました。世界の認識はあっという間に180度向きを変え、“AIに勝つことはできない”となり、今回の3番勝負でアルファ碁は淡々と事後処理のようにそれを証明した形となりました。

 AIは驚異的な計算スピードで最善手を探索しますが、囲碁や将棋の枝分かれする変化はまさに神の領域です。例えば将棋の場合で、1秒間に100万ノード(局面)を読むAIが10手先をしらみ潰しに読み切るには、何と「34万年」かかるとも試算されています。したがって、ある局面でいったん探索を止めて評価関数によって優劣の度合いを判断するという作業が行われるのです。この“評価”さえ正確であればAIは無類の強さを発揮することになります。しかしその際に、囲碁は盤面が広く、ファジーで評価関数が作りにくいことが、直観の一撃で最善手を手繰り寄せることができる人間と、AIとの差を保つ最後の拠り所となっていたのです。ところが、ビッグデータ時代がその牙城を崩す新たな潮流をもたらしました。物凄く膨大な学習材料を揃えることが可能となったことで、評価関数を必要としない別の道筋が見えてきたのです。

●エヌビディアの鮮烈上昇波が語るもの

 任意の局面からランダムに手を指し続けたときの勝率を計算して、最も勝ちやすい局面ほど優れた局面とするモンテカルロ法という手法が、1202個のCPUと176個のGPUで武装されたアルファ碁を一気に人間を凌駕するレベルに押し上げました。これが昨年3月、李世ドル氏がアルファ碁に大差で敗れた深層であり、以降、爆発的なAI関連株人気が巻き起こる源流ともなったのです。東京株式市場にも影響を与える“AIの申し子”的な位置づけにある米エヌビディアは、昨年3月以降、そのエポックメイキング的な出来事を裏打ちするような鮮烈な株価上昇トレンドを形成、今現在も上場来高値圏を舞う展開にあります。

 米グーグルは既にアルファ碁を囲碁用ソフトという枠から外し、汎用的に実社会に応用する方向に舵を切っています。ここで起きたようなブレークスルーは、今後も我々の日常を含め至る所で間欠泉のように噴き上げ、“時代の価値観”を揺さぶり続けるのではないかと考えています。

●「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が導くAI世界

 今後のAI関連相場を語るうえでは、やはりソフトバンクグループ <9984> の存在は大きい。サウジアラビアの政府系ファンドと共同で、テクノロジー分野への1000億ドル規模の投資を可能とする「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を率いる同社の一挙手一投足に注目が集まるのは必然です。また、コンピューター国内トップで、スーパーコンピューター「京」を開発した高度な技術力を背景にAI分野での展開を加速させる富士通 <6702> 、さらに昨年末トヨタ系のデンソー <6902> と包括提携を決めたNEC <6701> や、グループ力で一頭地を抜く日立製作所 <6501> も音無しの構えということはあり得ません。

 東京株式市場でもAIという最強テーマが再び本領を発揮する兆しにあります。元来、息の長いテーマですが、投資する銘柄の株価位置には留意しておく必要があり、柔軟なスタンスが求められます。銘柄も近視眼的にならず、常に広い視野を持つことがテーマ物色の心得でもあります。短期売買で対処する構えなら、現在進行形で水準を切り上げる銘柄に照準を絞るのが得策ですが、少し長いスタンスに立って、比較的安い水準に放置されている出遅れ銘柄にも目を配っておきたいところです。短期で値幅取りを狙うケースでは、値動きをみて機動的に“降りる”用意も大事。また、待ち伏せ的に銘柄を仕込むのであれば、時間的にはある程度辛抱する覚悟も必要となります。それを踏まえたうえで、ここからAI関連として注目される20銘柄を改めて列挙してみます。

●日本サード、イー・ガーディアンなどに勢い

 勢いがある“現在進行形の銘柄”としては、まず、AIやIoT分野を軸に海外IT企業の保守業務を受注する日本サード・パーティ <2488> [JQ]。エヌビディアとディープラーニング用スーパーコンピューター向けサービスで総括サポート契約を締結していることが上昇の原動力です。同じく上値追い態勢を明示しているFRONTEO <2158> [東証M]は米国での訴訟支援を手掛け、AIを活用したサービスに特長があります。独自開発したAIエンジン「KIBIT」やAIロボット「Kibiro」への引き合いが旺盛のようです。

 また、株式分割を考慮して実質的な上場来高値圏を走るイー・ガーディアン <6050> も非常に強い動き。同社はオンラインゲームやSNS向けに投稿監視などを手掛けていますが、AIの積極活用で利益採算が向上しており、大幅増収増益基調が続いています。電子商取引事業者向けにAI型画像認識システム「ROKA SOLUTION」を展開していることもポイントになります。

●踊り場から再上昇狙うシグマクシス、インテリW

 目先やや上値が重くなってはいますが、ここまで上値指向が強かった銘柄としてシグマクシス <6088> [東証M]やアトラエ <6194> [東証M]があります。前者は三菱商事系のシステム開発から運用支援まで手掛ける経営コンサルティング会社でAI関連の案件が増加中、後者は求人サイトを運営しAIビジネスマッチングアプリ「yenta」を提供しています。上値を出し切った感触はなく、上昇一服からの再スタートに期待したいところです。

 足もとにわかに動意含みとなっているのがロックオン <3690> [東証M]。ネット広告の運用支援などマーケティングサービスを手掛け、リアルとネットを融合した企業と顧客のコミュニケーション円滑化を事業コンセプトに、AI分野に経営の軸足を置いています。業績面に難があり中期で投資しにくい部分はありますが、材料性に富み株価の瞬発力は特筆されます。インテリジェント ウェイブ <4847> [JQ]も上昇トレンドが鮮明、ひと押し入れて再度上値をうかがう展開が期待できそうです。口語や話し言葉による自然言語を適切に処理する、独自のAI技術を活用したソフトウエア新製品「OpAI(オーピーエーアイ)」が注目されています。

●画像認識でモルフォ、リアルワールドも好機

 一方、出遅れ修正前夜の銘柄を狙っていくのであれば、例えばモルフォ <3653> [東証M]。画像認識技術を強みとしており、ディープラーニング分野の開発に期待が大きい。エヌビディアとの連携も見逃せません。17年10月期は営業2ケタ増益見通しで、3月10日に発表した第1四半期業績が芳しくなかったことで売られましたが、既に底値鍛錬が利いています。また、クラウドソーシングの大手であるリアルワールド <3691> [東証M]も中段でもみ合っている今の状況は仕込み好機に映ります。同社はビットコイン関連株でもありますが、AI分野では音声・画像教師データの提供を可能としており、今後脚光を浴びる公算が大きそうです。

●ブロードバンドタワー、イノテック、安川情報などに穴株妙味

 このほか、穴株的素地のある銘柄として都市型データセンターを運営しAI分野にも積極的に踏み込むブロードバンドタワー <3776> [JQ]や、AIを活用したディーリングシステムに重心を置くインタートレード <3747> [東証2]、半導体商社でGPUやFPGA関連銘柄でもあるイノテック <9880> なども今は静かですが、今後テーマ物色の波に乗る場面に遭遇する可能性は十分にあると思われます。安川電機グループで同じくFPGA関連の一角でもある安川情報システム <2354> [東証2]も注目。同社は18年3月期大幅減益見通しにありますが、前期は期中複数回にわたる上方修正をしているだけに時価近辺は買い場かもしれません。

 また、引き続きAI関連物色の常連銘柄としてブレインパッド <3655> 、メタップス <6172> [東証M]、ジャパンシステム <9758> [JQ]、インターネットイニシアティブ <3774> 、ホットリンク <3680> [東証M]、サイオステクノロジー <3744> [東証2]などもマークしておきたいところです。

 最後に米グーグルのAIスピーカー「グーグルホーム」の日本発売や米アップルによる「シリ」を載せたAIスピーカーの開発が噂されており、「アマゾン・エコー」包囲網が意識されるなかで、音声認識装置を手掛けるフュートレック <2468> [東証2]なども押さえておきたい銘柄でしょう。

(5月31日記、隔週水曜日掲載)

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