10月28日、国税庁や日本税理士会連合会による納税環境整備に関する専門家会合がWeb上で行われました。
国税庁は会議資料の中で、これまで仮想通貨に関して、
- 仮想通貨の売却等による所得がある場合に確定申告が必要な旨をホームページに掲載
- 一般社団法人日本暗号資産取引業協会を通じて、暗号資産取引業者が利用者に対して年間取引報告書を交付することを依頼
- 利用者が年間取引報告書を基に所得を計算できる「暗号資産の計算書」を国税庁ホームページに掲載
- 業界団体・会員企業等ホームページに確定申告特集ページへのリンクを掲載(画像参照)
などの取り組みを実施し、納税者に正しく申告を行うよう促してきたと記載しています。
その上で、国税庁は税に対する公平感への悪影響が危惧される仮想通貨関連の調査事例として2つのケースを挙げました。
ケース1:調査対象の人物が調査のための接触を拒否し続け、その後所在不明となった事例
上記事例では、国内海外にわたり仮想通貨取引を行い、無申告が疑われた納税者に対する調査を行うため、電話・書面によって1年以上にわたって接触を試みるも対象者は無視を継続。
その後、国税庁は反面調査(調査対象者だけでなく、取引先などに対して実施される税務調査)等を行ったものの、海外取引に関する全容は解明できなかったとしています。
国税庁は上記事例の問題点として、調査のための接触を全て拒否された場合、反面調査を行うきっかけとなる情報が掴めず、また、仮装隠蔽行為の有無の確認も困難である点を挙げました。
ケース2:高額な所得を得ながらも無申告
上記ケースでは、調査対象者は仮想通貨取引において3年間で約2億円の利益を得たにもかかわらず無申告を継続。調査の結果、申告が必要なことを認識していながらも申告を行わなかったことを認めたとしています。
このケースの問題点として国税庁は、通常意図的に申告を行わなかったと認められた場合、重加算税の対象となるものの、行為の認定が行えなければ通常の無申告加算税の対象となってしまう点を挙げています。
現在、日本国内の仮想通貨の税金に関して様々な動きが進んでいます。
先日行われた自由民主党『予算・税制等に関する政策懇談会』では、廣末 紀之氏(ビットバンク㈱ 代表取締役CEO)、幸 政司氏(JCBA専務理事)らが金融・証券関係団体に対して国内のweb3ビジネスの現状について説明を実施。
分離課税、法人税、資産税の3つの点において、国内の仮想通貨に関する税制の改正が必要であることを訴えました。
また、今月4日に岸田首相を交えて開催された「新しい資本主義実現会議」の資料の中では下記文言が記載されました。
- “「暗号資産事業を行う法人が自ら発行して保有する暗号資産について、事業運営のために継続的に保有する場合は、法人税の期末時価評価課税の対象として課税されないように措置することについて検討し、本年末の来年度税制改正において結論を得る。」”
世界のハブとして知られているシンガポールでの仮想通貨に関する規制改正の可能性の浮上や、EU全体に適用予定の仮想通貨規制法案「MiCA」の過半数可決など、今後日本以外でも世界各国で法規制が変化することが予測されます。
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