2023/01/01 年頭所感
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年の暗号資産業界は、前半には、記録的なインフレの進行に伴う金利の上昇、ロシア/ウクライナ戦争による地政学リスクの高まりを背景としたリスクオフの影響から市況が悪化し始め、後半は、それらを起因した暗号資産の価格下落に始まり、UST ステーブルコインの崩壊、3AC(スリー・アローズ・キャピタル) らヘッジファンド/レンディング事業者の破綻、FTX の chapter11 など、産業全体を巻き込んだ大きな事件へと連鎖していきました。
このように、昨年はマウントゴックス事件があった 2014 年以来の非常に悪い事業環境でしたが、当社は、前年同様、取扱銘柄の拡充、信用取引の開始予告など攻めの施策に加え、暗号資産保管体制、セキュリティ強化などの守りの施策を強化し、お客様により快適で安全な取引環境を提供するために精力的に活動を行ってまいりました。
また、今や国策とも言えるweb3の進展に備え、事業会社や金融機関が暗号資産をはじめとしたデジタルアセットを安全に管理できるインフラを構築すべく、三井住友・トラストホールディングス様と共同で、日本デジタルアセットトラスト設立準備株式会社(JADAT)の設立発表もいたしました。
事業以外にも、内部施策としてリモートワーク制度の改善、新人事制度の運用開始など、お客様に高品質なサービスを提供できるよう、社員の物心両面における充実を心がけ、更なる体制、コンディションの強化を実現することができました。 これらの活動の成果は、ひとえにお客様、社員、株主、取引先パートナーら、多くのステークホルダーのご理解の賜物であり、この場をお借りして改めて深く御礼申し上げます。
投資の賢人と称される米投資家ウォーレン・バフェット氏は「潮が引いて初めて誰が裸で泳いでいたのかが分かる」と名言を残しています。これは市場の歴史で繰り返されてきたことですが、市況が良い状況では悪い事柄は表面化しないが、市況が悪くなるとこれらが一気に表面化する、という現象を表現していると理解しています。 昨年我々の業界に起こった一連の不幸な出来事はまさにこの状況で、ガバナンス、倫理、レギュレーションなど、本質的になすべき大切なことが欠落していたから起こった必然的な事象だと思います。
バフェット氏の言葉は事業運営においても重要な示唆を含んでいると考えており、とかく外部環境が良い状態では、サービス品質、仕組み・制度、チームメンバーのメンタルなど内部の課題が表面化しにくいので、つい良い状態であると慢心、錯覚し、守りや改善が疎かになり、結果、取り返しのつかない事故の原因になってしまったり、また、逆も然りで、外部環境が悪い状態をことさら悲観的に捉え、攻めが疎かになり、顧客満足度の低下に結びついてしまうなどといったことが 往々にしてあると思います。
私自身が大事にしている言葉で「得意淡然、失意泰然」があります。今、我々のおかれた環境は失意のどん底に位置しているかもしれませんが、暗号資産及びその関連技術は社会をよりよく発展させるものであるという信念のもと、市況などの外部要因がどうであろうとも、社会、業界、お客様、社員、株主、取引先パートナーら私どもに関わるステークホルダーにとって、大事なことは 何か、やるべきことは何か、を常に意識し、失意泰然の精神で、今年も変わらずチーム一丸となって邁進していく所存です。
本年も皆様のご繁栄とご多幸を心からお祈り申し上げますとともに、引き続き当社へのご支援、お引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
ビットバンク株式会社 / 日本デジタルアセットトラスト設立準備株式会社
代表取締役社長 執行役員CEO 廣末紀之
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