米大手暗号資産ファンドであるグレイスケールのレポート(2020年8月版)が発行されました。

そこには、大規模な金融緩和がデジタルゴールドとしてのビットコインの価値を押し上げると書かれていました。

理論価格として、暗号資産アナリストとして著名なPlanB氏が提唱するストック・フローモデルを例に出しグラフを展開。半減期後には、2017年の高値を超えることが示唆されています。

出所:grayscale

ストック・フローモデルとは

ストック・フローモデルとは、ビットコインの価格をその希少性によって予測するモデルです。

ビットコインは、発行量が限られていることからデジタルゴールドと呼ばれ、しばしば金と比較されます。そのため、値動きにも相関性がある場合が多く、金や銀といった貴金属価格とその希少性の関係をビットコインにも当てはめて価格予測の参考として使われています。

古くからの金融資産である金は、右肩上がりに上昇しており、コロナショック後に史上最高値を更新しました。

◆金の長期チャート

出所:Tradingview

ストック・フローモデルの計算式は「世の中に存在する量(ストック)」を「毎年新規で発行される量(フロー)」で割った値(ストックフロー比率)で算出されます。ストックフロー比率が大きければ大きいほど、希少性が高くなります。

ビットコインのストック・フロー比率は、およそ56となります。

1845万BTC(発行枚数)÷ ※32万.85BTC(年間発行量)=56.164....

※半減期後の発行ペース

なお、金のストックフロー比率は58.3、銀は33.3となり、半減期後のビットコインは金に肉薄していることになります。

商品 ストックフロー比率 時価総額
ゴールド 61.7 8兆4175億ドル
ビットコイン 56 2130億ドル
シルバー 22 3080億ドル
プラチナ 0.4 24億ドル

PlanB氏によると、半減期後のビットコインは5万5000ドル程度(約580万円)になるのだそうです。

出所:yutainvest.com

ストックフローモデルの注意点

しかし、このモデルはあくまでも希少性に焦点を当てただけであって、ユーザーやマイナー動向を考慮していません。そのためか、イーサリアム考案者であるビタリック・ブテリン氏やブロックストリームCEOのアダム・バック氏などは懐疑的な発言をしています。

グレイスケールのレポートでは、これにビットコインのアクティブアドレスやネットワーク分析なども併せて説明されており、その将来性の裏付けとしています。

特に、ビットコインのアクティブアドレスは過去の価格変動と相関性があり、2019年の高値である150万円の時の水準を超えてきたことを先日解説しました。

参考:ビットコインのアクティブアドレス数が2019年を超える

ビットコインネットワークの価値から理論価格を算出するメトカーフの法則では、8月13日時点のフェアバリューは1万5402ドル(約163万円)となっています。現在、ユニークアドレス数は増加傾向にあることから、2020年末には1万8637ドル(197万円)となっています。

※ドル円106円で算出

参考:「メトカーフの法則」ビットコイン価格は割安の可能性も

 

ビットコインは誕生してから10年程度であるため、参考になるデータが少なく、あらゆるぶっ飛び予想が出てくることが特徴です。

ただ、こうして理論的なデータと半減期後の値動きを並べてみると、納得できるのではいないでしょうか。