シャリーア(イスラム法)専門家でも割れる仮想通貨定義
先週4/12(木)に仮想通貨市場は久方ぶりの急上昇を記録しました。市場全体の時価総額は29兆円から31兆円(7%)の上昇。ビットコインの取引価格は74万2300円から85万円(14%)に上昇しました。
アメリカの確定申告期日(4/17)が間近に迫り、市場では警戒感が漂っていたので、まさに予想外の動向でした。もっとも、それまでの約2週間の市場の横ばいは、トレンド転換を予感させてもいました。
今回の急上昇は、インドネシアを主に業務拠点とする投資ファンド、Blossom(ブロッサム)より発表された、仮想通貨とブロックチェーン がイスラムの教典で法でもある、シャリーアに準拠しているかを精査する、暫定レポートの内容が影響したとされています。
結論から言うと、暫定レポートの著者、ムフティ・ムハンマド・アブ・バカール氏は、仮想通貨は決済の手段として受け入れられている上、価値のあるものだとして世界中の取引所で取引されていてシャリーアを明確に違反していないことから、仮想通貨は許容されると主張しています。
そもそも、イスラム圏では仮想通貨の位置づけが曖昧で、宗教的な理由で取引を禁止する動きが確認されていました。例えばエジプトやトルコではハラム(シャリーアを違反していること)なことに仮想通貨が悪用されている、またその可能性があるとして禁じられていました。
さらに、イスラム教では賭博・ギャンブルはご法度です。高いボラティリティを有する仮想通貨への投資、又マイニングすらも一部からはギャンブルと同類であると定義されていました。
また、「仮想通貨は無から生まれ、その価値は何にも基づかない」と、現物価値を重視する伝統的な意見を示すイスラム教学者もいました。
今回のレポートはイスラム教全体のルールを決定するものでは決してありませんが、以上の結論を踏まえ「明確に取引が禁止されていない法域では仮想通貨は許容される」というスタンスが各メディアにより拡散されました。
これまでにイスラム人口全体が一切仮想通貨取引をしていなかったとは考え難いです。しかし、敬虔な教徒が多いとも言われるイスラム人口なので、今回のレポートの内容を受けて新規参入に踏み切った人も多くいたかと思われます。
12日から13日の出来高を見ると、一時は倍以上まで伸びていました。イスラム教人口は現在16〜17億人いると言われているので、この先シャリーアの仮想通貨の定義次第ではさらなる市場開拓となりそうです。
<本記事ご協力>
ビットコインなどの仮想通貨をまとめたメディア『FinAlt』が提供