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仮想通貨市場規制と今後:金融活動作業部会(FATF)の動向を読み解く

筆者: FinAlt

2018年下半期の仮想通貨市場規制動向の注目ポイントとして、金融活動作業部会(FATF)の規制基準が仮想通貨市場に適用されるか否かがあります。本件は、先月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明にて、同作業部会の規制基準が仮想通貨市場にいかに適用されるかを10月に明示させるとの指示があったことで今後の注目動向として浮上しました。

本稿では、前回FATFの概要と国際的なマネーロンダリング防止(AML)、テロ資金供与対策(CFT)、大量破壊兵器の拡散対策(CPF)に関する規制基準を記した「The FATF Recommendations(FATFレコメンデーションズ)」の重要点を紹介し、なぜ現在の仮想通貨市場において国際的な規制の足並みにばらつきがあるのかを考察しました。

第2回目の今回は、2015年6月に出された仮想通貨市場に関する規制方針「Guidance for a Risk-Based Approach: Virtual Currencies(リスク・ベース・アプローチの方針:バーチャル・カレンシーズ)」と、今年7月のG20に先駆けて発表されたFATFの仮想通貨市場に関する報告書「FATF Report to G20 Finance Ministers and Central Bank Governors(G20財務相・中央銀行総裁へのFATF報告書)」の重要ポイントを解説し、今年10月以降の規制動向を予想します。

仮想通貨へのアプローチを明確化した「ガイダンス(方針)」

前回も触れた通り、FATFが仮想通貨に注目し始めたのは「Virtual Currencies: Key Definitions and Potential AML/CFT Risks(バーチャル・カレンシーズ:定義とAML/CFTリスクの可能性)」を発表した2014年6月でした。
しかし、こちらの文書では類型の定義と仮想通貨を利用したマネーロンダリング(ML)の事例を紹介するに留まっており、「The FATF Recommendations」が仮想通貨に適用されるかの明確な言及はされていません。

従って、「The FATF Recommendations」と「Virtual Currencies: Key Definitions and Potential AML/CFT Risks」を参照しただけでは仮想通貨取引所が特定非金融業種・専門職(Designated Non-Financial Business and Profession: DNFBP)なのか、そもそも仮想通貨自体が金融商品に該当するのか明確な判断ができないことが一つの問題であるということでした。

こうした中、2015年6月に発表されたのが「Guidance for a Risk-Based Approach: Virtual Currencies(以後「ガイダンス」)」でした。こちらの文書の主な目的としては、各国政府・所轄官庁が取るべき仮想通貨を取り扱うサービスを提供する個人・法人に対するマネーロンダリング・テロ資金供与(TF)リスクに基づくアプローチの方針を提示することとなっております。

ガイダンス導入部分では、問題となっていた仮想通貨取引所の立ち位置が「仮想通貨と規制された金融及び法定通貨システムとの交差点」と明示・強調されており、場合によっては取引所を含む仮想通貨を取り扱う業者が「お金・価値の移動サービス(Money and Value Transfer Services:MVTS)」のスコープに当てはまる可能性があるとしております。FATFの定義では、公からのデポジットや返済資金の受け入れ、決済手段となるものの発行・運営、外国為替・譲渡可能証券の取引サービスはMVTSにあたり、これらのサービスを提供する個人・法人は「金融機関」または「DNFBP」と定義され、ML/TF対策の観点からFATF規制基準が適用されます。

このことから、法定通貨のデポジットを受け入れる仮想通貨取引所はMVTSを行なっていることとなり、事実、同ガイダンスでは仮想通貨取引所は「金融機関」または「DNFBP」に含まれると明記されております。従って、ガイダンスでは各国およびDNFBPにMLやTFのリスクの特定、評価、理解と対処を求める「Recommendation 1」、顧客のデューディリジェンス(CDD)強化を求める「Recommendation 10」、各国にMVTSを行う個人・法人の登録・認可制度の施行を求める「Recommendation 14」や技術的革新に伴うML・TFリスクの特定と評価を促す「Recommendation 15」など一部の「The FATF Recommendations」が再確認され、これらの規制基準が仮想通貨のコンテクストにも適用されるべきとしております。

一方で、加盟国に順守義務が生まれる「The FATF Recommendations」と異なり、ガイダンスはあくまで「方針」を示したものであり順守の義務は生まれません。この点は2018年に入り問題視されはじめ、3月にはG20会議よりFATFを含む国際的な基準設定団体に仮想通貨市場の監視とその結果報告を7月までに行うよう命じられました。 

FATF最新報告書:規制基準は仮想通貨に適用されるのか?

今年3月からのFATFの活動のG20への報告書が「FATF Report to G20 Finance Ministers and Central Bank」となります(同報告書では受益所有権の透明性改善や大量破壊兵器の拡散対策などに関する題目も含まれますが、本節では仮想通貨規制に関する題目に焦点をあてます)。

同報告書ではFATFによるG20加盟国と一部非加盟国の仮想通貨規制の現状調査の結果が発表されており、「禁止措置」、「AML・CFT規制施行」、「不審な取引の報告義務」、「規制施行準備段階」などのばらつきがあることが仮想通貨に対する国際的に一貫したアプローチの構築の障壁になり得ることに懸念を示しております。
また、各国の仮想通貨に対するアプローチのばらつきを利用した「規制アービトラージ」やセーフ・ヘイブンへの資金逃避のリスクも認識されております。

これらの結果を受けて、同作業部会は今年6月より仮想通貨に対する国際的に一貫したアプローチ推進のため現在のガイダンスと規制基準の改正が必要か検討を開始しました。特に、仮想通貨以外の金融活動の規制基準ともなる「The FATF Recommendations」がいかに仮想通貨および関連ビジネスに適用されるかを早急に明確化する必要性があり、今年9月に期間会合を開き翌10月には詳細な提案書の提出を検討しているとのことです。

以上、一連のFATF動向を踏まえると、今年10/11〜10/12にインドネシアのバリで開催される予定のG20会議では現在ばらつきのある各国の仮想通貨規制環境を収束させる方向性を示すことが予想されます。また、FATFは仮想通貨取引所を「金融機関」もしくは「DNFBP」と認識していることから、既存のAML、CFT、CDD基準を仮想通貨業界でも標準化させる方向性が示されることも考えられます。

しかし、現在ばらつきのある規制環境下では新たな規制が10月のG20会議直後より徹底されることは考えづらく、各国が一貫したアプローチをとるための準備期間をある程度設けられることが予想されます。つまり、10月のG20は各国が仮想通貨規制の「足並みを揃える第一歩」になると言えそうです(そもそも、FATF報告書を踏まえた新規性動向は7月に開催されたG20会議で発表されると予想されていましたが、米国を端に発する貿易摩擦問題が集中的に議論された結果、10月まで持ち越しとなった格好になります)。

いずれにせよ、国際的に仮想通貨に対する規制は強化される方向になると言え、市場には短期的な圧力が加わることが予想されます。
一方、規制の整備は健全な市場の構築・維持に不可欠なことから、長期的には仮想通貨が金融商品として認知されるために必要な段階と言えます。

 

<本記事ご協力>

ビットコインなどの仮想通貨をまとめたメディア『FinAlt』が提供finalt

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「FinAlt(フィナルト)」はアルトデザイン株式会社の運営のもと仮想通貨相場情報・ICOに関するニュース・ブロックチェーンに関する仮想通貨総合メディアです。仮想通貨業界のリーダーや専門家による分析、専門家による寄稿やインタビューにも力を入れ鮮度の高い情報を発信します。

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