価格と出来高だけではわからない仮想通貨の側面
仮想通貨市場の時価総額は、年初来でおよそ61%の下落を記録しており、主要通貨の中では70%〜80%の下落率を記録している銘柄もあります(第1表)。
また、出来高は今年4月に一時的な復調を見せたものの、現在は年初来およそ62%のマイナスとなっており大幅に減少しております(第1図)。
こうしたことから、昨年末から今年1月上旬のピーク時と比較して、現在の仮想通貨市場は「下火」と言えるでしょう。
第1表:主要仮想通貨5銘柄年初来変動率
出所:Bloombergより作成
第1図:仮想通貨市場時価総額(上)&出来高(下)チャート(2018年1月1日〜2018年8月30日)
出所:CoinMarketCapより作成
しかし、こうした価格や出来高のみでは仮想通貨のネットワーク全体を見渡すことはできません。確かに、出来高は投資家のエンゲージメントを測るひとつの基準になりますが、仮想通貨、その中でも特にProof of Work(PoW)マイニングを必要とするネイティブ通貨のステータスを把握するには、Githubでのコミットメント、アクティブアドレス数やハッシュレート(採掘速度:マイニングマシンが1秒間にいくらハッシュ演算ができるか)の推移などにも目を向けることが重要となるでしょう。
Githubでのコミットメントは、どれだけの開発者がネットワークの改善を通してコミュニティーに貢献しているかを測る一つの指標になり、そのネットワークの将来性を見極める材料となります。
アクティブアドレス数は、1日の間にネットワーク上でどれだけのアドレスが送受信の取引を行っているかを示すため、ネットワークの規模やエンゲージメントを測るのに役立ちます。もちろん、一人が複数のアドレスを保有することは可能ですが、基本的にアクティブアドレス数の上昇はその通貨のユーザーが増加していると読み取れます。現在は、イーサリアム上のアクティブアドレス数が昨年11月に急上昇したことで、ビットコインとイーサリアムがアクティブアドレス数では2強となっております(第2図)。
第2図:アクティブアドレスチャート(ビットコイン・イーサリアム・ビットコインキャッシュ・ライトコイン)
出所:BitInfoChartより作成
そして、ハッシュレートはマイニングのディフィカルティ(難易度)やマイナーの数に関係します。
例えば、ひとつのネットワーク上に多くのマイナーもしくはマイニングマシンが存在すると相応のハッシュパワーが集積されることから、ブロック生成時間をある程度均一に維持するためにマイニングのディフィカルティを引き上げる必要があります(例えばビットコインネットワークでは1ブロック約10分になるようプログラムされています)。
このことから、ハッシュレートの推移は、ノードまたは参加者がどれだけ特定のネットワークとそのネイティブ通貨の将来性に投資しているかを読み取るひとつの指標となります。
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ビットコインなどの仮想通貨をまとめたメディア『FinAlt』が提供