ステーブルコインの中で最も著名とも言えるUSDT(テザー)は、ここ数ヶ月のあいだ時価総額第9位で推移していましたが、11月4日時点での順位は10位に後退しています。
USDTの時価総額は、10月月初の28億ドル水準より大幅な下落を記録し、現在17億ドル台で推移しています(およそ-40%)(第1図)。
【第1図:USDT時価総額チャート】
出所:coinmarketcapより作成
本来、1米ドルの価値に紐づいているはずの1USDTですが、10月初旬より徐々に1ドル水準より下方に乖離し始め、終値ベースで10月17日にはおよそ1年2ヶ月ぶりに0.971ドルまで下落しました(第2図)。
【第2図:USDT対ドルチャート】
出所:coinmarketcapより作成
第2図のUSDTの対ドルチャートを見てわかるように、17日の下落以降、28日には0.995ドル台に乗せたものの、相場は依然安定してはいないようです。
先月、日本時間でクラーケンでのUSDT価格が日中一時0.85ドルまで下落した15日には、USDT及び同通貨の発行体となるテザー社に対する投資家の信用が低下し、大量のUSDTが売られたとされています。
海外仮想通貨情報サイトNEWSBTCによると、10月14日から19日の間に6億3000万USDTがテザー社の保有する保管用ウォレットに送金され、市場の流通から外れました。
そして、10月25日には同社が5億USDTを「兌換」を名目に焼却したと発表しました(ユーザーのUSDTをUSDと交換したということ)。
しかし、テザー社がこのタイミングで保有するUSDTを大量に焼却することに対し、一部では「相場操縦のため」や「安値でUSDTをUSDに兌換している」などと批判が浮上しており、USDTは時価総額と共にレピュテーションも下がってきていると言えそうです。
FinAltでもお伝えした通り、この先は、トゥルーUSD(TUSD:時価総額第47位)やUSDコイン(USDC:時価総額第56位)といった他社が発行するステーブルコインの台頭に伴う「テザー離れ」の加速が予想されます。
こうした状況下での時価総額順位の転落は、テザー離れの予兆と共に市場参加者への心理的なアラートにもなりそうです。
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