
米大手暗号資産取引所のコインベースは、経営破綻したFTXの返済プロセスが暗号資産市場に50億ドル規模の流動性を注入する可能性があるとの分析を報告しました。特に今回の弁済がステーブルコインで行われる点が、市場への再投資を促す重要な触媒になると指摘しています。
FTXの再生信託は5月30日、2022年の破綻で影響を受けた債権者に対し50億ドル以上を分配する第2回の弁済を開始しました。この資金はBitGoとKrakenを通じて3日間にわたり、機関投資家や米国の顧客、一般無担保債権者など幅広い層に分配されます。
今回の弁済における回収率は債権者の分類によって異なります。機関投資家および国際的な請求者は72%、一般無担保債権者らは61%、米国の顧客は54%です。また5万ドル未満の小口債権は「便宜的請求」と分類され承認額の120%が回収される予定です。
コインベースの報告書によると、今回のステーブルコインによる大規模な分配は市場に大きな影響を与える可能性があります。現金と暗号資産が混在していた2025年2月の初回弁済とは異なり、今回は受取人が即座に再投資を選択できるためです。
2月の弁済時は関税への懸念といったマクロ経済の逆風から市場心理が冷え込み、価格への影響は限定的でした。当時主要50銘柄で構成されるCOIN50指数は月間で16%下落しています。
しかし、現在は市場環境がより好転しているとコインベースは分析。ビットコインは最近、過去最高値を更新し機関投資家の関心も再燃しています。さらに米国議員による規制の明確化に向けた前向きな動きも見られます。
こうした状況下でステーブルコインという形で資金を受け取った機関投資家は、資本を再配分する際の摩擦が少なく暗号資産市場への新たな資金流入が期待されます。FTXの再生プロセスは暗号資産の歴史上最も複雑なものの一つですが、その弁済が市場の新たな活力となるか注目されます。
情報ソース:Coinbase
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