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04月21日 07:02

S&P500 月例レポート ― 強気相場の持続か、根拠なき熱狂の復活か(前編)―

 S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

●警戒態勢を取るべき局面

 これは私の個人的な見解であり、事実や論理的考察と混同しないで聞いていただきたい。私はS&Pに40年以上在籍し、ウォール街歴は幼い頃に父に手を引かれてステーキハウス「デルモニコス」に通っていた時代に溯ります。私はラリー、資金フロー、モメンタム、ファンダメンタルズを測定し、センチメントを感じ取り、それらをきちんと伝えることができ、トレードというものを理解していると考えています。しかし、現在の市場は今までとは違います――警戒態勢を取り、計画をもって臨むべきです。

●1月のまとめ

○1月のS&P500指数は2823.81で取引を終え、2017年12月末の2673.61から5.62%上昇し(配当込みのトータルリターンは5.73%)、1月としては1997年1月(6.13%上昇)以来の上昇率を記録しました(12月の上昇率は0.98%、配当込みのトータルリターンは2.81%)。上昇率は、過去3ヵ月で9.65%(同10.18%)、過去1年で23.91%(同26.41%)、2016年11月8日の大統領選当日(終値2139.56)からは31.98%(同35.22%)となっています。S&P500指数は1月中に終値での最高値を14回更新し(直近の高値更新は2018年1月26日で2872.87)、1964年1月の11回の記録を塗り替えました。最高値の更新は2017年に62回あり(1995年の77回に次ぐ過去2番目の更新回数)、大統領選以降で84回となりました。

○1月のダウ・ジョーンズ工業株価平均は2万6149.39ドルで取引を終え、12月の2万4719.22ドルから5.79%上昇し(12月の上昇率は1.84%)、過去1年では31.64%上昇しました。1月中には終値で最高値を11回更新しました(直近の高値更新は2018年1月26日で2万6616.71ドル)。最高値の更新は2017年に71回と過去最高を記録し(1896年以降。1995年は69回)、大統領選以降で99回となっています。

○S&P500指数の時価総額は1月中に1兆2780億ドル増加し、世界の株式市場の時価総額は2兆9160億ドル増加しました(このうち1兆4410億ドルが米国市場の増加分)。S&P500指数の時価総額は2016年11月8日の大統領選以降では5兆6220億ドル増加し、世界の株式市場の時価総額は13兆7800億ドル増加しました(このうち6兆6630億ドルは米国市場の増加分)。

○原油価格は12月末の1バレル当たり60.09ドル(11月末は57.35ドル)から7.9%上昇して64.85ドルで取引を終えました(月中の最高値は66.66ドル)。2016年末の53.89ドルからの上昇率は20.3%となっています。

○米国10年国債の利回りは2.72%と、12月末の2.41%から上昇して月を終えました(2016年12月末は2.45%)。

○金価格は12月末の1トロイオンス1305.00ドルから3.3%上昇して1348.70ドルで取引を終えました。2016年末の1152.00ドルからの上昇率は17.1%となっています。

○英ポンドは12月末の1ポンド=1.3498ドルから1.4191ドルに上昇し(2016年12月末は1.2345ドル)、ユーロは12月末の1ユーロ=1.2000ドルから1.2412ドルに上昇しました(同1.0520ドル)。円は12月末の1ドル=112.68円から109.20円に上昇しました(同117.00円)。

○VIX恐怖指数は12月末の11.04から13.69に上昇して月を終えました(同14.04)。月中の最高は15.42、最低は8.92でした。

○ビットコインは12月末の1万3850ドルから下落して1万0058ドルで取引を終えました。月中の最高値は1万7253ドル、最安値は9205ドルでした。2016年末は968ドルでした。

○ボトムアップベースで算出したS&P500指数の1年後の目標値は2956で(現在値から4.7%上昇)、またダウ平均は2万7844ドル(同6.5%上昇)となっています。

●2018年2月の見通し

 これまで同様、2017年第4四半期の1株当たり利益(EPS)が2月も引き続き相場を下支えし、最高値更新へ押し上げていくと予想されます。好調な業績内容や(所得税減税を背景とした)利益予想の引き上げが今後も続くと予想されるからです。

 月後半は小売業界の業績発表が相次ぐ予定ですが、ホリデーシーズンに関して利益率の低下が予想されます。所得税減税(2018年2月15日までに実施予定)によって消費者の懐具合に余裕が出るため、その一部が消費に回されるとの期待感から、小売企業の業績見通しの引き上げが予想されます。

 とはいえ、市場(と政府)は、まず2018年2月8日までのつなぎ予算の問題に対処する必要があります。さもなければ、再び政府機関の一部が閉鎖に追い込まれることになります。また、債務上限問題も対応を迫られることになります。現在、政府債務は上限を超えており、財務省が(会計上の処理を通じて)「やりくり」している状況です。

 過去を振り返ると、2月は53.9%の確率で上昇しており、上昇した月の平均上昇率は2.88%、下落した月の平均下落率は3.33%、全体の平均騰落率は0.02%の上昇となっています。2018年について言えば、「1年の相場は1月の相場次第」という昔からの相場の格言があり、この格言は(1928年以降では)71.9%の確率で的中しています。今年の1月相場は5.62%上昇し、相場のモメンタムと期待感を一段と押し上げています。

 今後のFOMCのスケジュールは、2018年3月20日―21日(新たな運営体制の下での開催)*、5月1日―2日、6月12日―13日*、7月31日―8月1日、9月25日―26日*、11月7日―8日、12月18日―19日*(*は記者会見が行われる)となっています。

●S&P500指数

 2018年1月は(最高値を62回更新し、19.42%上昇した)2017年の流れを単に引き継ぐだけでなく、それを上回る好調さをみせました。21日営業日のうち14営業日で最高値を更新し、5.62%(配当込みのトータルリターンは5.73%)上昇しました。これは1月としては、6.13%上昇した1997年1月(同年の年間の上昇率は33.36%)に次ぐ高い伸びです。

 過去の相場について研究した人には分かりますが、1月相場はその年の相場を映す鏡とも言えるもので、1928年以降は71.9%の確率でこの格言通りとなっています(この正確さは私の知っているブローカーやアナリストを上回るものです)。ウォール街では「1年の相場は1月の相場次第」という格言がありますが、私が言えることは「神様の思し召し次第」ということだけです。

 資金流入、所得税減税に対する期待感、堅調な企業業績、良好な2018/2019年の業績見通しが、一部には行き過ぎとも指摘される強い楽観論を促したことで、相場は勢いづいているように見えました。資金を引き揚げるファンドはほとんど見られず、売り手も減少し(その結果として上昇基調が続く)、折に触れて株式市場は一方的な展開をみせるようにも見えました。相場が連続して下げたのは2日間だけで(1月29日/30日にそれぞれ0.67%、1.09%下落)、それでも売りと買いはほぼ拮抗して売りの方がやや優勢だったことから、退出したい市場参加者は売却することができました。

 2018年1月のS&P500指数は、1月としては1997年1月(6.13%)以来の高水準となる5.62%(配当込みのトータルリターンは5.73%)上昇し、10ヵ月連続でプラスとなりました。トータルリターン・ベースでは1960年と並ぶ15ヵ月連続でのプラスを記録しました(2017年3月は0.04%下落しましたが、配当込みのトータルリターンは0.12%のプラス)。最高値の更新は14回(昨年12月は5回)、2016年11月8日の大統領選以降では84回となっています。S&P500指数は過去3ヵ月間では9.65%(配当込みのトータルリターンは10.18%)、過去1年間では23.91%(同26.41%)、大統領選挙以降では31.98%(同35.22%)上昇しました。

 1月は引き続きセクター間の騰落率の差が大きくなり、最も値上がりしたセクターと最も値下がりしたセクターの騰落率の差は12.34%と、12月の12.13%からやや拡大しました(2017年の月間騰落率の差の平均は8.88%)。11セクター中8セクターが値上がりし、7セクターが値上がりした12月を上回りましたが、全セクターが値上がりした2017年11月は下回りました。

 最も好調だった一般消費財セクターは、(所得税減税で見込まれる)可処分所得の増加見通しを背景に押し上げられ、1月に9.24%上昇しました。一方、生活必需品セクターはそれほど値上がりせず、1月の上昇率は1.41%と平均を下回りました。情報技術セクターは好調な企業利益を背景に7.57%値上がりし、金融セクターは金利上昇が見込まれることから6.36%上昇しました(2017年第4四半期に繰延税金資産の価値の減少に関する費用が発生した結果(いわゆる「増益前の痛み」)、2018年の業績見通しは引き上げられました)。

 ヘルスケアセクターは医療コストの抑制を求める企業の声が大きくなっていることに対する懸念から、月末にかけて値下がりしたものの(1月30日は2.13%下落、1月31日は1.45%下落)、月間を通じては好調で6.56%値上がりしました。1月に最も振るわなかったのは公益事業セクターで、市場でリスクが顧みられず、資金調達コストが上昇したため、3.10%の下落となりました。電気通信サービスセクターは1月に0.64%値下がりしました(2017年通年では5.97%下落)。同セクターは昨年10月に大幅に下落(8.68%)した後、11月と12月に回復(11月は5.90%上昇、12月は5.77%上昇)していました。

 1月は幅広い銘柄が活発に買われ、12月の281銘柄(11月は385銘柄)を上回る381銘柄が値上がりし(平均上昇率は7.28%)、このうち85銘柄が10%以上値上がりしました(12月は26銘柄)。値下がり銘柄数は124銘柄(平均下落率は4.51%)で、12月の224銘柄を下回りました(11月は119銘柄)。過去3ヵ月間で見ると、値上がり銘柄数は406銘柄となり(平均上昇率は13.47%)、12月時点の371銘柄(および11月時点の164銘柄)を上回りました。値下がり銘柄数は98銘柄で(平均下落率は7.25%)、12月時点の133銘柄を下回りました(11月時点は38銘柄)。過去3ヵ月間では246銘柄が10%以上(平均上昇率は18.77%)上昇し、24銘柄が10%以上(平均下落率は15.99%)値を下げました。

※「強気相場の持続か、根拠なき熱狂の復活か(後編)」へ続く。

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