4月8日にビットコインキャッシュ(BCH)、4月10日にはビットコインSV(BSV)が半減期を通過した。BCHとBSVは、ともにビットコイン(BTC)から派生した暗号資産(仮想通貨)だが、両者の半減期はビットコインの価格やマイニング(新規発行に必要な計算作業)の参加者の増減に大きな影響を与えることがなかったようだ。
半減期とは、マイニングの報酬という形で市場に新規供給されるコインの量が半減するタイミングの事を指す。BCHとBSVはビットコイン(BTC)から派生した仮想通貨であるため、マイニング従事者はBTC、BCH、BSVの中からより利益率が高いコインを選んでマイニングできる。このため、BCHとBSVの半減期後にはそれぞれのハッシュレート(マイニングの処理能力を表す計算速度のこと)は大幅に減少した。しかし、BTCのハッシュレートには大きな影響が出なかった。また、BCHとBSVの価格は半減期後に下落したが、BTC価格には特段の影響は見られていない。
具体的な数値を見てみると、半減期通過前の4/7比でBCH価格は5%下落、取引量は17%、日次期間平均のハッシュレートは54%減少した。また、半減期通過前の4/9比でBSV価格は14%下落し、取引量は37%、日次期間平均のハッシュレートは53%減少した(BCH・BSVともに4/21時点、価格・取引量はCoinMarketcap、ハッシュレートはBitinfochartsより)。BCH、BSVともに半減期後にハッシュレートが半減した。BTCをマイニングする比率を高めた従事者が増加したことが原因だが、もともとBTCのハッシュレートは他の二つの30~100倍と大きな水準で推移していたため、BTCのハッシュレートは4/7比で9%の上昇にとどまっている(4/21時点)。また、BTC価格には目立った上昇は見られなかった。
前回のBTCの半減期(16年7/9)を参考にすれば、BCHとBSVのハッシュレートは1ヵ月ほどで元の水準まで戻る可能性はある。5/11に控えるBTCの半減期がきっかけとなって、BCHとBSVのハッシュレートが回復するということもあり得る。ただし、前回のBTCの半減期ではハッシュレートは最大で18%程度しか減少しなかったが、BCHとBSVのハッシュレートは50%以上減少しており、そもそも半減期前の水準まで回復できるのか懸念される。BCHとBSVではマイニングに参加するマイニングプール(集団でマイニングを行う企業)の数も一貫して減少傾向にあり(4/21時点、Coin Danceより)、このままハッシュレートとマイニング参加者が減少し続けていくとネットワークの安全性に綻びが出る可能性もあるので注意したい。
<SI>