ビットコイン(BTC)の価格予想を行う上で重要な要素のひとつにハッシュレートがある。ハッシュレートとは、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)をマイニング(仮想通貨の新規発行や取引承認に必要となる計算作業)する際の速度を表すものである。具体的には、1秒間に何回計算が行われているかを示しており、ハッシュレートが高いということはマイニングを行う処理速度、つまり処理能力が高いということになる。ハッシュレートが高くなる要因にはマイニング参加者の増加が挙げられる。マイニングに参加、投資する参加者の増加率を確認できるという意味合いで、ハッシュレートは重要度の高いデータのひとつといえよう。
ハッシュレートは、長期的には継続して右肩上がりに推移している。過去1年間ほどの推移を見ると、2019年1月11日時点の41,336,683 TH/Sから2020年4月21日時点では113,800,073TH/Sと、約2.8倍に増加している。ただし、2020年3月以降のBTC価格の急落後で見てみると、2020年3月1日時点のハッシュレート136,264,980 TH/Sからは4月21日時点のハッシュレートは約16%減少している。(Blockchain.comより)
ハッシュレートとビットコイン価格の相関係数を見たところ2017年、2018年、2019年と年によってバラつきがあるためあまり参考にはならない一方で、仮想通貨業界の関係者の中には「ハッシュレートがビットコインの下値サポートラインに関係する」と見る向きもある。足元のハッシュレート水準から分析すると、ビットコインの妥当価格は8,622ドル前後となり、現在6,900ドル台で推移するビットコインは割安と考えることもできよう。
なお、今年5月中旬頃にビットコインは史上3回目の半減期を迎える。半減期を境として、マイナーは獲得できるビットコインの量が半分になることから、半減期の前後にはマイニングへの参加率や関心度がデータとして現れるハッシュレートに注目が集まることが予想される。前回、2016年7月9日の半減期の3週間ほど前に1BTCの価格は大きく上昇したが、今回の半減期ではBTC価格はまだ大きな値上げが起こっていないため、半減期後にハッシュレートが減少することを不安視する声もある。
企業向けに仮想通貨のトレーディングツールを提供する米企業TradeBlock社は、半減期後もマイニングを継続して採算があうBTC価格は12,000ドル超程度の水準と試算している(ただし同社は、この推定価格は大手マイニング企業にとってはもう少し下がるとしている)。一方、たとえ一定期間赤字となっても節税などの目的でマイニングを続けるマイナーが下支えとなるという見方もある。半減期前後のハッシュレートと市場動向については、引き続き注目したい。
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