不動産・住宅情報サイトなどを運営するLIFULL<2120>は21日、セキュリティトークン(ST)のプラットフォームを提供する米Securitize(セキュリタイズ)社と業務提携し、不動産特定共同事業者(不特法事業者)向けのSTO(セキュリティトークン・オファリング:デジタル証券による資金調達)スキームの提供を開始したと発表した。
セキュリティトークンとは、株式や債券など実社会における資産をブロックチェーン上でトークンとして管理するもののことを指す。近年、STOによって資金を調達する企業が生まれ始めており、国内のいくつかの暗号資産(仮想通貨)取引所もこれに対応することを視野に入れて証券業へ参入する準備を整えるなどの動きを見せている。
協業では、既に不動産クラウドファンディング事業を展開している事業者などがSTOを行う際、セキュリティトークン発行のアプリケーションやトークン譲渡スキームを提供する。
不特法STOスキームでは、既存の不動産クラウドファンディングの出資持分発行にセキュリティトークン発行をリンクさせることで、業務フロー等の変更を最小限にし、セキュリティトークン発行を可能にするという。また、発行したセキュリティトークンを用いた投資家間の相対譲渡はイーサリアム・パブリックチェーン上に記録されるとしている。譲渡先はスマートコントラクトにより制限され、匿名組合員以外への譲渡制限が可能となっている。トークン発行はセキュリタイズ社のDSプロトコルを用いて行うようだ。
LIFULLは2020年3月、グループ会社であるLIFULL Social Fundingと、米セキュリタイズの日本法人BUIDLと協働で、空き家の利活用等への投資における不動産セキュリティトークン発行の実証実験を実施したと発表していた。
今回の発表に際し、LIFULL 社長室 ブロックチェーン推進グループ長 松坂 維大氏は、「セキュリタイズ社との協業によりブロックチェーン技術が広く不動産クラウドファンディング業界へと広まることで、不動産のデジタルアセット化とそれに伴う利便性向上が進むことを期待する」とコメントしている。
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