昨日、ビットコインは直近の高値を更新し、580万円まで上昇しました。

エルサルバドルでビットコインが法定通貨として採用される歴史的な日であり、ご祝儀的な盛り上がりがあったのではないでしょうか。

しかし、午後5時ごろに上げ幅をすべて帳消しにすると、米国時間にはさらに下落。ストップロスを巻き込みながら急落し、業者によっては一時470万円台まで下げ幅を拡大しました。

記事執筆時点の8日午後5時では、500万円前半で推移しています。

なお、この急落により、前日に245兆円あった仮想通貨(暗号資産)市場の時価総額は15兆円減少し230兆円となりました。

急落の要因

今回の急落の要因は、エルサルバドルでビットコインが法定通貨として採用される歴史的な日を迎えた「材料出尽くし」という部分が大きいのではないでしょうか。

今年最大の好材料であったコインベースの上場日(4/14)に、ビットコインは高値を付け、その後は急落に転じました。

●コインベースの上場前後のビットコイン価格推移

また、イーサリアムが高値を付けた5月12日以降も同じようなチャート形状となっています。

これ二つのチャートを見たうえで、昨日のビットコインのチャートをご覧ください。

比較的、類似点が多いことが分かります。

イベントに向けた期待感から買いが入るため、当日に事前の期待を超えるようなサプライズがない限りは、基本的に売られやすいのが相場の常です。「噂で買って事実で売る」という相場格言の通りですね。

さて、エルサルバドルでは当日に政府が400BTCを購入しました。

そして、急落した際にも150BTCを追加購入したことをブケレ大統領がツイートしています。

エルサルバドルでは一時、政府のビットコインウォレット「Chivo」がダウンロードできなくなったという不具合もあったようです。もしかしたら、想定を超える以上のダウンロードがあったのかもしれません。

これを急落の材料としている人も多いようですが、エルサルバドルではビットコインの利用に関する反対運動は特に材料視されていないことから、そうではないでしょう。

今日の昼間に、コインベースがリリースを予定している仮想通貨レンディングサービスに米証券取引委員会(SEC)が提訴するという報道があったことの方がインパクトがあります。

なお、同様のサービスで最大のブロックファイ(BlockFi)は、7月にニュージャージー州で金利が付く口座の提供を中止するよう命じられています。

さて、今後の材料ですが、目先は米インフラ投資計画の成立期限が9月30日にあります。

仮想通貨交換業者やマイナー、開発者などが増税されるか否かが掛かっているため、このまま修正されなければ悪材料でしょう。

10月に入れば、米国でのビットコインETF承認の期待が高まるため、中期的にはまだまだ直近の高値を更新する可能性があると考えています。