モデルナ社のCEOが既存ワクチンのオミクロン株に対する有効性は著しく低い可能性があることをフィナンシャルタイムズ紙のインタビューで発言。これを受けて、クロス円、株価は急落。仮想通貨相場も軟調となる展開が続いています。

一方で、ファイザー社のCEOは、開発中の新型コロナウイルスの飲み薬がオミクロン株にも有効である可能性が高いとの認識を示していました。市場がやや楽観的になっていただけに、梯子外しの材料となってしまったようです。日本でのオミクロン株の感染者も出たとあって、日経平均株価は今日の高値から900円ほど急落するほどのボラティリティとなっています。

世界中の主要都市でも緊急事態宣言や渡航制限などがとられるなか、市場参加者の警戒ムードが相場にも表れています。

一番見ておきたい参考指標としては、南アフリカのオミクロン株の拡大状況と主要都市での感染でしょうか。一気にリスクオフを織り込んできているため、このあたりの反応度が弱くなってきたところで、反発しやすいのかもしれません。

昨日のような米国株市場の急反発を投資家は見ているため、意外にも暴落が続くことは小さい気もします。

緩和マネーの逆流

さて、コロナショックから1年半年間、金融市場は緩和マネーでじゃぶじゃぶでした。

多くの投資家が利益を出していたと思いますが、ここ数日で含み損を抱えてしまったトレーダーも多いでしょう。そういったプレイヤーは、昨日と今日でポジション縮小を行いリスクコントロールしているでしょう。

株式もコモデティも仮想通貨も下落しました。買われていたものが売られるターンになりそうです。

週末には、米雇用統計がありますがその前の12月2日はSECで暗号資産関連に関する公聴会、およびOPECプラスが開催されます。

公聴会は未知数ですが、OPECプラスでは原油の増産合意はもうないでしょう。26日にWTI原油は70ドルを下回り、あっという間に68ドルとなりました。産油国は必死になって価格の値上げになるように策を講じてくると思います。そして、原油輸入国の国家備蓄放出による協調介入にも報復措置が取られると思います。オミクロンの感染拡大の脅威は、大義名分になるでしょう。

よって、世界経済が再び冷え込むという理由から減産にまで言及する可能性もあります。今回の会合で減産合意までに至るかはわかりませんが、次回の会合で減産前提など、そのあたりがテーマになるかもしれません。少なくとも現状維持は確実でしょう。産油国や消費国との間で、さらに溝が生まれそうです。

そして前回はこの動きでリスクオフに動きました。今回もそのようになるでしょう。

北京五輪延期のリスク

オミクロン株の影響で、来年2月に開催される北京オリンピックが1年先送りの可能性が出てきました。そうなればリスクオフは継続でしょう。先進国も関連スタッフや選手を派遣したがらず、中国関係悪化ということで、オリンピック参加辞退もこれまた大義名分でしょう。

また中国恒大集団(エバーグランデ)も北京五輪まではなんとか焦げ付きを阻止したい考えでしょう。ただ、利払いは来年1月以降から本格的な返済が膨れてきますので、リミットが刻々と近づきます。

恒大集団が返済期日を守らず、中国政府がこれをカバーする可能性がありますが、エバーグランデに投資をした外国ファンドには利払いはされない可能性があります。投資したファンドの資金繰りが悪化し、焦げ付き倒産の可能性のほうが現実的です。

毎年第4四半期は、経済が好調で株式市場が強くなる傾向があります。コロナ巣篭もり生活が世界的に投資ブームとなったことから、YouTubeで当たり前のようにリスクオン前提の発信が多くされました。発信する外銀ディーラーやファンドマネージャーなどのベテラン勢も上昇を信じて止みません。それらは、危険信号と捉えていても良いのかもしれません。