<解説及び着目点>
★週間マーケット概況★
2022年2月第4週(2/19~2/25)の暗号資産売買マーケットは、周知のとおりウクライナの地政学的リスクによる不安感増大から、下落の一途を辿る展開となりました。週後半にはロシアによるウクライナ侵攻が現実化したことで、売り方の買戻しが台頭、価格的には一旦反発が見られた週となりました。株式、債券、商品など伝統的マーケットが、それまでの動きから反転したことが影響したと見られます。
もっとも、日経平均やNYダウ、ナスダック指数等が一斉に直近安値を更新した一方で、暗号資産マーケットはビットコイン(ティッカー:BTC)、イ-サリアム(同:ETH)など主力暗号資産は直近安値を前に踏みとどまり、結果的に一旦は下値を確認した格好となっています。
JDR.株式会社で算出しているJDR.Index(ジェーディーアールインデックス)は暗号資産マーケット全体を適切に観察できる指標です。同指標の2月第4週のパフォーマンスは-6.2%、ビットコイン単独では-4.9%と前週から小幅の下落となっています。週前半は大きく下げたものの、侵攻が現実となった週末に週初からの下げ幅の2/3を取り戻した格好です。
JDR.株式会社が個別で格付け(レーティング)している暗号資産(全35銘柄)では、34銘柄が下落しましたが、唯一テラ(同:LUNA)が+30%強の上昇と大きく目立ちました。ステーブルコイン「TerraUSD(同:UST)」の準備金に使用することを目的に10億㌦の資金調達に成功したと、エコシステムをサポートするLUNAファウンデーション(非営利組織)が発表、また同時期に取引所大手ビットトレックス(米)に上場したことがきっかけと見られます。
★クリプトフォーカス★~ビットコインと他のアセットとの相関状況~
BTCをはじめとした暗号資産の値動きは、株式や債券、商品等とは異なる動き、つまり相関が薄いのが通常です。
だからこそ、ポートフォリオなどに暗号資産をリスクアセットの一つとして組み入れる動機付けとなるのですが、ここ直近の動きはそうではなく、地政学的リスク、インフレ懸念、金利上昇懸念といった要因に影響される伝統的マーケットと連動した動きとなっているのが特徴です。
BTCとニューヨークダウ、ナスダック総合指数、日経平均、米国10年債利回り、金先物との連動性をみると明らかです。年初以降では、BTCが連動しているアセットは殆どないと言えましたが、ここ2週間の動きではそれが変化していることがわかります。
分析の続きはこちら(ビットコインの詳細及び来週の注目ポイント)から
★暗号資産マーケットに関連する主要な出来事一覧表(対象期間:前週木曜午後~金曜日午前)
2月19日(土)~2月21日(月)
👉米ワイオミング州、州独自のステーブルコインを発行する法案提出
👉米FRB、上級職員による株式・債券・証券・デリバティブ及びビットコインふくむ暗号資産への投資を禁止
👉スロベニア財務省、暗号資産取引に対する課税法案を公表
👉米ジョージア州、暗号資産マイナー誘致に税制優遇案を検討
👉米カリフォルニア州の元議員ら、ビットコイン法定通貨化を提案へ
2月22日(火)
👉ブルガリア初、ビットコインとイーサリアムのETNが上場
👉韓国金融大手KB金融グループ、デジタル資産ETFサービスの検討、韓国初の暗号資産投資ファンド設立
👉テザー社、スイスのルガーノ市をビットコインの中心都市とする計画を発表
👉米テスラのスーパーチャージ、ドージコイン決済を導入か
👉ロシア財務省、暗号資産規制に関する法案を政府に提出
2月23日(水)~2月24日(木)
👉SEC元幹部リップル訴訟でSECが「敗訴」と予想
👉ステーブルコインの総供給量が1800億㌦に到達(時価総額シェア約10%)
👉EU加盟国、暗号資産企業を監視する監視機関を2024年までに計画
👉米テザー社が裏付け資産を適時開示
👉三菱UFJフィナンシャル・グループ、ブロックチェーン活用の決済事業を停止へ
👉エルサルバドルの観光客数、ビットコイン導入後30%増、外貨収入も急増
2月25日(金)
👉欧州議会、暗号資産規制案にビットコインなどPoW銘柄禁止を盛り込む可能性
👉メキシコ議員、ビットコイン法定通貨化の草案提出
👉ビットコインファンドには先週8900万ドルの資金流入
👉中国当局、暗号資産による公開の資金調達に懲役刑
👉米議員が暗号資産200㌦以下の利益を免税する法案提出、日常決済での利用拡大へ
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