<解説及び着目点>
2022年2月第3週(2/11~2/18)の暗号資産売買マーケットは、前週の反発基調の継続とはならず、週末には大きく値を消す展開となりました。
尤も、ウクライナ情勢が日々緊迫化する中で、40年ぶりの米CPI水準(1月前年比+7.5%)、原油95㌦台、VIX(恐怖指数)が一時32pt台、米10年債も2%台に急伸と、一気にリスクオフムードが広がる中での動きだけに、暗号資産への影響は避けられなかったと言えるかもしれません。
ロシアやインドなど大国の暗号資産にかかる規制に関するニュースフロー、EUによるデジタルユーロ計画、デジタル人民元(北京五輪)などCBDCに関連する動きが活発化するなど、暗号資産独特の動きが目立ちましたが、インフレ懸念や地政学的リスクに対して敏感な株式などと同様なリスクマネーフローとなった様です。
JDR.株式会社で算出しているJDR.Index(ジェーディーアールインデックス)は暗号資産マーケット全体を適切に観察できる指標です。
同指標の2月第3週のパフォーマンスは-6.1%、ビットコイン単独では-5.5%と前週から小幅の下落となっています。JDR.株式会社が個別で格付け(レーティング)している暗号資産(全35銘柄)では、アバランチ(ティッカー:AVAX)の横ばいとなった他、全て下落となっています。とはいえ、下落率のバラつきは少なく、35銘柄全て概ね-5%~-10%程度の下落と、個別色のない週でした。
★クリプトフォーカス★ ~暗号資産ファンドの運用動向~
株式、債券等アセットのリスクマネーフロー(流出入)は、例えば日本では資金循環統計(日銀)や、対外証券投資(財務省)、或いは民間の投資信託(株式、債券等)の設定状況などを通じてそのフローを把握しますが、暗号資産にはそうした統計は殆どありません。
株式でいうポートフォリオローテーションや、債券のデュレーションコントロール(長中短期債のウエイト調整等)も把握できない為、暗号資産の場合、どうしても直接的な資金導入状況を追うしかありません。
その意味では暗号資産ファンド(私募ファンド)や暗号資産運用会社の動向などの状況がヒントとなります。民間運用会社から発表されている暗号資産ファンドの運用残高もその一つになります。機関投資家が暗号資産マーケットに参入してから歴史は浅いので、その規模は限られていますが、大きなヒントにはなるでしょう。
分析の続きはこちら(暗号資産ファンドの運用動向分析及び、来週の注目ポイント)から
では、暗号資産マーケットに関連する主要な出来事及び相場回顧、翌週の注目点をピックアップします。
(対象期間:前週金曜午後~金曜日午前)
2月11日(金)~2月14日(月)
👉暗号資産取引所の米FTX.US、株取引提供の準備中
👉日本暗号資産取引業協会(JVCEA)、仮想通貨の送金規制に関する改正案を公表
👉フィッチ、エルサルバドルの格付けを引き下げ
👉北京冬季五輪会場で人民元デジタル決済がVISAの取引量を上回る
👉カナダ、暗号資産規制法案提出
👉ビットコインのハッシュレート、過去最高を記録
👉EU、2023年にデジタルユーロ法提出目指す
👉ジャマイカ、今年CBDC発行へ
👉インド財務相、暗号資産を禁止するか否かはまだ決まっていない
2月15日(火)
👉カンザスシティー地区連銀総裁、FRBはインフレ対策で債券売却検討を
👉BTCのアクティブアドレス10週間ぶり高水準に
👉イーサ(ETH)の取引手数料が下落、半年ぶりの低水準
👉デジタル・ユーロ協会(DEA)が米リップル社(XRP)と提携、欧州のCBDC研究開発に協力
👉シンガポール最大手商業銀行DBS、個人投資家向けの暗号資産取引サービスを2022年末までにローンチ
👉韓国政府、コインベース株式を「間接的」に保有
2月16日(水)
👉米フィデリティ、欧州でビットコインETPをローンチ
👉JPモルガン、メタバース「ディセントラランド」にラウンジを開設
👉米ニューハンプシャー州、暗号資産調査委員会を設立
👉ウォーレン・バフェット氏、ビットコインに強いネオバンクに10億ドル投資
👉カナダが非常事態法を発動、デモ資金源の口座凍結で暗号資産も対象に
2月17日(木)
👉米コロラド州、暗号資産による納税対応を計画
👉北京五輪、デジタル人民元の取引額は1日あたり30万ドル以上
👉ロシア中央銀行、デジタルルーブルの試験を開始
👉ロシアの政府と中銀、暗号資産規制案の合意に至らず
👉ロシア財務相、「暗号資産禁止はインターネット禁止と同じであり、それは不可能」
👉主要国の金融安定理事会(FSB)、「暗号資産、金融安定の脅威に」
👉米SEC、米国版バイナンスと関連会社を調査
2月18日(金)
👉米SEC委員長、ビットコイン現物ETFは未定と示唆も「慎重に検討」
👉バイデン政権、暗号資産規制に関する政策方針を来週公開か
👉ウクライナ、暗号資産取引を合法化
👉暗号資産クジラ(大口ホルダー)の4%は犯罪者、250億ドルを保有(チェイナリシス)
👉モルスタ、米政策金利は今年6回利上げ、計1.5%(150bp)引き上げるとの見方
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