暗号資産レンディングの代表的なサービスとしてDeFiの大本命ともいわれているCompoundについての解説、今回は中編です。DeFiについての基本や暗号資産レンディングについては前編で解説していますので、ぜひそちらもお読みください。
今回は、暗号資産のレンディングの種類とDeFiについて、そしてそのメリットとデメリットから解説を進めていきましょう。
2種類ある暗号資産のレンディング
暗号資産のレンディングは、DeFiだけではありません。銀行のように中央集権的なレンディングサービスもあります。それは暗号資産の取引所が提供しているレンディングサービスで、株に詳しい方であれば証券会社の貸株のようなものだとご理解いただければと思います。
手持ちの暗号資産を取引所に貸し出し、取引所は暗号資産を調達したい人に貸し出します。まさに銀行のような業務を暗号資産で行っているわけです。
それに対してDeFiは取引所が介在するわけではなく、あくまでも貸し手と借り手が直接暗号資産のやり取りをします。
ただし、暗号資産のレンディングはすでにDeFiが主流になっており、取引所による暗号資産のレンディングサービスは終了していたり停止していたりと、下火になっているのが現状です。
DeFiのメリット
DeFiのメリットは、貸し手と借り手双方にあります。
貸し手にとってのメリットは、高利回りであることです。銀行のような中央集権型の金融では銀行の利益分が差し引かれるので、貸し手(預金者)と借り手のそれぞれが少しずつ取り分を減らしてしまいます。
しかしDeFiはすべてが自動化されているためとても低コストです。貸し手に対しては高い利回りを提示することができますし、借り手は低コストで資金の調達ができます。
また、DeFiは分散型金融なので年中無休です。銀行のように営業時間や定休日の概念はなく、常にDeFi市場で暗号資産を借りたり貸したりすることができます。
そしてもうひとつの大きなメリットとして、システムの稼働率が限りなく100%であることが挙げられます。
中央集権型のサービスだと中心に稼働しているサーバーに障害が発生しただけでサービスは停止します。暗号資産のレンディングであっても取引所のレンディングサービスだと取引所のサーバーがダウンしてしまったりメンテナンスの時間帯はレンディングができません。
それに対して分散型システムであるDeFiは一部のサーバーが稼働を停止したとしても他のサーバーが稼働していればサービスが止まってしまうことはなく、その安定性も大きな魅力です。
DeFiのデメリット
もちろんDeFiにもデメリットはあります。
最大のデメリットでありリスクだと思えるのは、運営主体がないことです。
それゆえに低コストかつ高スピードなのですが、たとえばCompoundのようにレンディングの仲介をしているプロトコルがいきなり終了してしまったり、サイバー攻撃によってダウンしてしまったりすると、貸し出している暗号資産がどうなるかは未知数です。
それと同様に、DeFiは国内ではなく海外が基盤になっているサービスです。日本の金融庁に登録をしているはずもなく、完全なる自己責任の世界です。これまで大規模な事件が起きたことはありませんが、あまり有名ではないDeFi型サービスを利用していると何が起きるか分からない部分があります。
3つめに考えられるデメリットは、初心者に分かりにくいことです。英語がベースになっているサービスなので英語力がある程度求められるでしょうし、そのことに不安を感じる人もいると思います。
それでは、次回の後編ではいよいよCompoundについての解説に進みたいと思います。