暗号資産のマイニングを検討していると、いくつかの専門用語に出くわします。ほとんどが英語由来の言葉なので私たち日本人にはなじみの薄いものもあり、まずはその言葉の意味を理解することから始めなければなりません。

今回はその中でも重要なキーワードのひとつ、「ハッシュレート」について解説します。

特にビットコインなど知名度や時価の高い暗号資産のマイニングをしようと思うとハッシュレートはとても重要になるので、ぜひここでその意味をマスターしておいてください。

暗号資産のハッシュレートとは?

暗号資産のハッシュレートとは、直訳すると採掘速度のことです。さらに意訳するとマイニングの際の計算能力と言い換えることもできます。

ビットコインなどの暗号資産は分散型ネットワーク上に保管されているブロックチェーンに取引記録を登録し、それをネットワーク内で互いに監視して健全な状態に保つことで通貨としての価値が維持されています。

ブロックチェーンに新たな取引記録を登録するには、コンピューターによる高度な計算が必要になります。この計算によってブロックチェーンに最初に台帳記録をした人に報酬が支払われます。これが暗号資産マイニングのビジネスモデルです。

ハッシュレートはこの計算を行うための処理速度のことです。1秒間にどれだけの回数の計算ができるかを示す「hash/s」という単位で表記します。

ハッシュレートが高いと、どうなる?

このハッシュレートは、暗号資産の価値を知るのに役立ちます。多くの人がマイニングに参加している暗号資産はそれだけ利用価値が高く、人気があることを証明しています。多くの人がマイニングに参加すると台帳記録のスピード競争になるため、ハッシュレートは高くなります。

つまり、ハッシュレートが高い暗号資産は人気があり、投資対象として価値が高いと見なすことができます。逆にハッシュレートが低い暗号資産はマイニング参加者が少なく、あまり多くの人から支持されていないことから暗号資産自体の価格が低迷しやすくなります。

ハッシュレートの高低は、暗号資産の市場価値を決めるといっても良いでしょう。

ビットコインのハッシュレートを見てみよう

それでは、暗号資産の代表格であるビットコインのハッシュレートを見てみましょう。以下が、ビットコインのハッシュレートを示す全期間チャートです。

出典:Blockchan.com

2017年頃からジワジワと上昇し始め、それ以降は加速度的にハッシュレートが急上昇している様子が見て取れます。

これは暗号資産全体のバブル的な価格高騰が起き、その中でもビットコインが代表格であるとして価格が高騰した時期と一致します。ビットコインの価格上昇が多くのマイニング事業者を引き入れ、スピード競争が激しくなった結果、ハッシュレートが高くなった構図が浮かび上がります。

また、ハッシュレートが高くなることによって安心感が広がり、買いが入りやすくなったことで価格が上昇し、さらに多くのマイナーを引き寄せるという、そんな好循環がビットコインの価格を驚異的な上昇に導いたことがうかがえます。

ハッシュレートが高くなりすぎると暗号資産は値下がりする?

ハッシュレートの高低と暗号資産の価格相場には相関性があると述べました。ハッシュレートが高くなれば暗号資産の価格も高くなることはビットコイン相場を見ていても相関性が見られますが、逆にビットコインほど知名度が高くマイニングの競争率も高い暗号資産になると、ハッシュレートの高さが価格上昇の頭を押さえつけてしまうとの指摘があります。

その構図は、簡単です。ハッシュレートが高いビットコインのような暗号資産のマイニングをするには、スピード競争に打ち勝つために高価かつ高性能なマイニングマシンを用意する必要があります。そのためには多額の投資が必要になるため、ビットコインのマイニングをしているマイナーは獲得したビットコインを時価が高いうちに売却して投資を回収しようとします。

ビットコインが一定の価格帯になると急に頭を押さえつけられるのは、このように多額の投資をしているマイナーからの売りが入りやすいから、という説があります。


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