10月15日に、中国外務省が「ウクライナ在住の中国人に対して国外退去を通知」との報道があり、ロシアによる大規模な攻撃の可能性が警戒されています。緊張感が高まるなか、直近の仮想通貨(暗号資産)市場を含む金融市場全体を左右していると感じるのが、英国の政治・金融情勢ではないでしょうか。


ご存知のない方のために、英国の政治・金融情勢に関するタイムラインを押さえておきます。

9月英中銀会合:0.50%の利上げと量的引き締め(QT)の10月開始を決定

9/23:トラス政権大規模減税(9/23)
➡トリプル安 英国10年債:約14年ぶりの高水準から一時4%を割り込む
 ➡英ポンドと株式市場は急落
  ➡英中銀は、買いオペ措置&QT開始延期を発表

この金融市場の混乱でも、トラス首相は「正しいことをしている」と発言したものの、一部の調査によると英国民の51%がトラス首相の辞任を望むという結果となりました。

10/3:大型減税案(45%を来年4月から40%に引き下げ)の一部撤回

10/12:ベイリー総裁「予定通りオペ14日で終了」 

クワーテング英財務相「市場に混乱なら中央銀行の責任」→10/14更迭され、後任はハント元外相

先週末:ベイリー総裁と会談し、ほぼ全ての減税案を撤回
 ➡英財政危機の回避で株高・英ポンド高へ

10/17:トラス首相の辞任が近いという報道

10/18:英銀行、延期されていたポートフォリオの国債を売却するプログラムを11/1に開始


就任後1カ月ほどで、トラス英首相は辞任報道が出るほど窮地に追い込まれています。報道によると、英議会の約100人の議員が、保守党の運営委員会の委員長に対して、トラス党首の不信任を求める書簡を提出する構えだそうです。

通称、トラスノミクスとも呼ばれた経済政策は市場参加者から嫌われ、あっという間に終了し、本人も間違っていたという旨のコメントを出しました。

仮にトラス首相が辞任しても政局は混迷となりそうですし、英国は冬に向かってエネルギー危機への警戒感が高まりつつあります。エネルギー高に関する補助策は来年3月まで継続する予定となっていますが、それでも政局が落ち着くまでは、英国が厳しい状況にあることに変わりはなさそうです。