イーサリアムは時価総額2位の仮想通貨であり、長らく仮想通貨市場を牽引してきたアルトコインです。しかし、このところ価格の下落が止まらない状況にあります。ここ1カ月間の価格推移に目を向けてみると、7月26日の段階で1ETHは5万円以上でしたが1カ月後には3万1000円を切るような状況に陥っています。その状況を踏まえたうえで、イーサリアムの価格変動と今後の動きについて見ていきましょう。

◇イーサリアム/円(ETH/JPY)日足チャート

 

イーサリアムの価格変動への考察

イーサリアムは、仮想通貨市場において重要な立ち位置にあります。例えばDappsのプラットフォームとして利用率が非常に高く、現在も Dapps の開発プラットフォームでは、イーサリアムが適していると言えるでしょう。

またICOにおいても、スマートコントラクト機能を持つことから最も使用されるブロックチェーンと言っても過言ではありません。しかし、8月にはビットコインETFの承認拒否(※現在は再審査中)を受けてビットコインの価格下落に市場が引きずられている状況にあり、イーサリアムもその余波を受けています。

2018年は仮想通貨市場に対して価格上昇が期待できない状況が長く続いています。8月10日にはトルコの法定通貨であるリラが急激な下落を見せており、世界の金融市場に大きな混乱を招きました、その際にリラを売り、ビットコインを買う動きが加速。価値の保存先としてビットコインに注目が集まりました。

一方、この時を境にICO を実施した企業が資金調達手段として集めたイーサリアムを売却しているであろう動きが目立ってきており、それがさらなる価格下落の要因になっています。

イーサリアムの今後について

今後イーサリアムの価格がどのように変動するかはかなり不透明です。しかし、開発は継続的に続いており、※最後のハードフォークである「コンスタンティノープル」は間もなく実施される予定となっています。
※イーサリアムは計4回のハードフォークを行うことがあらかじめ決められている。コンスタンティンノーブルは2017年10月に行われたメトロポリス内でさらに2段階に分けられたアップデートのうちの後半

過去には、ハードフォークのたびに価格が高騰してきました。そのため、最後のハードフォークでは価格上昇に大いに期待できます。また、8月23日には世界銀行がイーサリアムを利用した債権を発行予定と報じられており、こういった材料からイーサリアムのブロックチェーンは多くの企業や団体から期待され実用化にも動いている現状であると言えるでしょう。

最近のイーサリアムの価格は下落傾向にあるものの、通貨としてプラスとなるニュースも多く、利用者は決して少ない状況ではありません。トラフィック数でいえば、2017年末以来からビットコインを遥かに凌ぐほどです。
また、イーサリアムが抱えるスケーラビリティ問題も、2018年内に実装予定であるプラズマネットワークによって解決される可能性が高いでしょう。そのため、今後のイーサリアムはより使いやすいブロックチェーンとして進化するでしょう。