ブロックチェーン企業の特徴は、優れた投資家グループに株式を売却する代わりに、イニシャルコインオファーリング(ICO)を通じて公式にトークンを発行することができることだ。従って、本来 ICOはベンチャーキャピタルよりも分散化されているはずである。

しかしながら、その特徴は早々にも変化していってしまっている。最近ICO Ratingが発表した報告書によると、今年度第2四半期のトークンセールでは「機関投資家のシェアが急増し、個人投資家の数が減少し続けている」とあった。

特に企業によるトークンセールの構成方法に、重大なシフトがあったのだ。それはプロジェクトがICO資金調達の大部分を、パブリックセールではなくプライベートセールでするという選択をしたということである。

この戦略は功を奏しているようだ。今年度第2四半期には、トークンの20%から40%を個人投資家に割り当てたプロジェクトの資金調達額の中央値は、トークンのたった20%かそれ以下を個人投資家に与えたプロジェクトの2倍にもなった。そして全体的に、ICO市場は弱気だったために、資金調達が急激に減速したにも関わらず、今年はよりその収益性が高まった。今年の第2四半期のトークンクラウドセールスからの資金調達額は、昨年の2倍以上、つまり83億ドルとなった。

しかし、同時に制度上の資本の増加は、「ICO中に調達される資金額は、プロジェクトが投資ファンドとどれくらいうまく協力しているかにかかっている」ことを意味していると、ICO RatingのCEOであるSasha Kamshilovが報告書に記している。

ウォールストリート・ジャーナルの報道によると、200以下の個人投資家から17億円を集めたテレグラムのように、一部のクラウドセールはパブリックセールを完全にキャンセルし個人投資のみを使用した。他のケースでは、いくつかのブロックチェーンのプロジェクトが、ICOをプレセールする段階を設けている。ここでは、トークンは一般に公開価格に比べて割引で販売されるのである。

企業の創設者や運用コストといった将来のユースケースを考えると、個人投資家にいくつかのトークンを割り当てることはICOにとって必ずしも悪いことではない。結局のところ、ほとんどのブロックチェーン企業にとって、ICOの主な目的は、製品開発のための資金調達である。また特に中国のようなICOが全面禁止された規制の厳しい市場がそうであるように、プライベートセールには他の利点もあるのだ。

しかし、公的に売られるトークンの数が少なくなればなるほど、ICOは規制や資金調達の段階のないベンチャーキャピタル業界と同じようになってくる可能性があるだろう。 ICOを取り入れる企業は、IPO段階の企業とは異なり、時には製品を走らせたりビジネスを具体化したりせずに、非常に早い段階ではじめてしまうことがあるのだ。

これは、プレセール段階に入るプロジェクトの、いわゆる初期投資家が、トークンの割引を正当化するためのリスクを実際に抱いているわけではないことを意味する。従来のベンチャーキャピタルでは、投資家は会社が公開される数年前に資金を投入しているが、ブロックチェーンの場合そうではないのだ。小売業の投資家は、それほどのリスクを負っているが、1トークンあたりの価格はより高くなっている。

中央集権化への傾向が仮想通貨の世界で見られるのは、これが初めてではない。 ICO Ratingによれば、ますます取引所の中央集権化は進み、「より効率的な戦略と取引所との関係が流通市場の成功に不可欠な要素となっている」という。たとえば、多くの投資家を引き付けたり、トークンの人気を高めたりする上で、取引量の多い取引所が大きな役割を果たす可能性があるため、トークンをリストに載せるには何百万ドルもの費用がかかるからだ。

7月のブロックチェーン会議で、イーサリアムの創設者であるVitalik Buterinは、「可能な限り中央集権型の取引所が地獄の業火で焼かれるのを望む」と批判した。たとえ中央集権型の仮想通貨取引所が高い流通量を持っていても、Buterinは、分散型の取引所が新しいベースラインになれば、業界は「ただトークンを取引できるように決定するだけの能力を持つ、中央集権型取引所の愚かな王のような力を取り除くことができる」と、望んでいる。

ICOの中央集権化は、仮想通貨業界を民主主義の理想からさらに遠ざけてしまうだろう。

 

<本記事ご協力>

LongHashは、ブロックチェーン技術の開発と理解を促進するプラットフォームです。

LONGHASH