楽天コインは、楽天が発行を計画している仮想通貨です。楽天は、グループとしてネットショッピング・金融・通信・旅行など多事業に進出し、成功を収めています。つまり、楽天はグループとしてすでに経済圏をつくり上げており、楽天グループ全体としてサービスの向上を図っている段階にあると言えるでしょう。

そして、仮想通貨事業に関しても楽天コインの開発・発行のみでなく、仮想通貨取引所の運営も視野に入れていると言えます。では、楽天は楽天コインをグルーブとしてどのような立ち位置で扱っていくのでしょうか。

楽天コインの概要と将来性に対する考察

楽天コインは、グループ共通の楽天ポイントと等価価値となるステーブルコインです。楽天ポイントは、同グループ内の投資信託やショッピングなどのほぼ全てのサービスで使用できる使い勝手の良いポイントです。

USDTのようなステーブルコインは、価値が安定した通貨として市場で人気を集めており、楽天コインも注目を集めることは間違いないでしょう。しかし、楽天コインの市場での優位性は、楽天ポイントと等価である事のみではなく、楽天グループ共通で使用できる仮想通貨であることが最大のメリットと言えるでしょう。

通常の仮想通貨では、決済可能先という大きな課題があります。提携先との交渉、アプリの開発など提携先のサービスに合わせた製品開発や経営戦略が必要となるためです。しかし、楽天コインに関しては既に使用できる環境が整えられており、Viberでも使用できることから爆発的に使用者が伸びる可能性を有しています。

Viberは億単位のユーザーが使用しているチャットアプリです。アプリ内での支払いに使用されるだけでも楽天コインの認知度は向上し、楽天の他のサービスに興味を持ってもらうきっかけとなり得ます。

チャットアプリの分野では、ViberとLINEは完全に競合するかたちとなるでしょう。
しかし、楽天コインの場合、Viberだけでなく楽天の他のサービスや事業でも使用することが可能という優位性があります。仮にLINEが仮想通貨や独自のブロックチェーンサービスを展開していても、十分に対抗できる材料を有していると言えます。


楽天コインの役割は、楽天ポイントと等価交換が可能なステーブルコインという側面だけでは測れません。楽天コインの発行目的は、楽天が第4の携帯キャリアとなること、Viberや他のサービスを楽天コインによって楽天の目指す経済圏を統合するという目的にあります。そのため、楽天コインにおいては、単に仮想通貨としての価値だけでなく、どのような使われ方で社会に影響を与えていくかが注目となるでしょう。