10月14日から19日にかけて、マネーロンダリング防止(AML)やテロ資金供与対策(CFT)に関する国際的な規制基準を設定する金融活動作業部会(FATF)が主催する「FATF WEEK」が開催されました。
FinAltでもお伝えした通り、同イベントでは仮想通貨の世界におけるAML/CFTも議論されました。
19日のイベント閉幕後に発表されたFATFの声明では、FATFが定める規制基準となるFATF Recommendations(FATF勧告)に仮想通貨の規制に関する要項が新たに盛り込まれたことが明らかになったので、本稿では2018年10月版FATF勧告(前回の改定は2012年2月)の仮想通貨に関する部分を抜粋して詳しく解説していきます。
仮想通貨に関する新勧告
今回の改定で一番注目されるのは、実際の規制基準を記す「勧告」のなかに仮想通貨に関する要項が加わったことです。
FATF勧告は、参加国に順守義務(法的拘束力はない)が生まれることから、今まで不明瞭だった仮想通貨に関する規制基準が明確化へ一歩前進した形となります。内容としては以下の通りとなります。
勧告15:新規テクノロジー(New Technologies)
各国と金融機関は、(a)新たな受け渡しメカニズムを含む新規プロダクトや商慣行の発展と、(b)新規及び既存のプロダクトに対する新規または発展途中のテクノロジーの使用から生まれる可能性のあるマネーロンダリング及びテロ資金供与のリスクを特定し評価するべきである。
金融機関に関しては、このようなリスクの評価はこれらの新規プロダクトや商慣行のローンチ、及び新規または発展途中のテクノロジーの利用以前に行われるべきである。金融機関はこれらのリスクを管理し軽減するべく適切な措置を取るべきである。
仮想資産*から生まれるリスクを管理・軽減するため、各国は仮想資産サービス提供者がAML/CFTの観点から規制され、認可または登録され、効果的なモニタリング・システムの対象とし、コンプライアンスを確保するべくFATF勧告が求める関連措置を取ることを保証するべきである。
*含む仮想通貨
仮想資産と仮想資産サービス提供者の定義化
また、今回のFATF勧告の改定では、仮想資産と仮想資産サービス提供者の定義が用語集に盛り込まれました。
仮想通貨に関する類型と定義付けは、2014年6月に発行された「Virtual Currencies: Key Definitions and Potential AML/CFT Risks」で行われていましたが、今回の改訂版FATF勧告では「仮想通貨(Virtual Currency)」を「仮想資産(Virtual Asset)」として認識しています。
定義の内容としてはそれほどの違いはなく、ポイントとしては「デジタル的に表された価値で、交換、送金、売買、また投資を目的として使えるもの」。
また、国が発行する「法定通貨をデジタル化」したものではないという部分でしょう。前回との違いは、「投資」を目的として使われるという文言が追加されていることで、これは2017年より仮想通貨を用いて投資を行うイニシャル・コイン・オファリング(ICO)が急増したことが背景にあると考えられます。
2014年の文書では、仮想通貨ウォレットサービス提供者や取引所についても触れられていましたが、今回のFATF勧告ではこれらのサービス提供者が包括的「仮想資産サービス提供者」として定義されています。
<本記事ご協力>
ビットコインなどの仮想通貨をまとめたメディア『FinAlt』が提供
※本記事の意見や予測は、筆者の個人的な見解であり、金融商品の売買を推奨を行うものではありません。
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