仮想通貨のマイニングは、その通貨のネットワークにとって、通貨発行の他に、トランザクションの承認、セキュリティの向上、そしてネットワークそのものの存続といった多面的に極めて重要な役割を果たします。
こうしたことから、マイナーがそのネットワークに貢献するハッシュレートは、中央集権化が加速しかねないといったリスクを抱えながらも、多ければ多いほどネットワークの安定に繋がるとされています。
2018年の第2四半期には、ハッシュレートの比較的低いネットワークを狙った51%攻撃が複数件確認され、ハッシュレートの値からみるネットワークの規模が注目されるといった場面もありました。
時価総額第1位のビットコインのネットワークはというと、他のPoWマイニングを必要とするネットワークと比較して文字通り桁違いのハッシュレートを有しており、現在の仮想通貨市場では最も大規模なネットワークと言えます(第1表)。
【第1表:主要通貨ネットワークハッシュレート(12月18日時点)*】
出所:bitinfochart.comより作成
*E=エクサ、T=テラ、M=メガ
第1表の通り、今年のBTCの対ドル相場は長期的な弱気相場となっているものの、ハッシュレートは10月まで上昇基調を維持し、10月1日には過去最高となる、54.7Ehash/sを記録しました(7日移動平均ベース)(第1図)。
年初のハッシュレートが14Ehash/sでしたので、9ヶ月の間に300%近くの上昇率を記録したことになります。
ちなみに、BTC価格とハッシュレートの相関ですが、回帰分析の結果が第2表になります。
【第1図:BTC対ドル&ハッシュレート(7日移動平均)年初来チャート】
出所:coinmarketcap、blockchain.comより作成
【第2表:BTC価格とハッシュレートの単回帰分析(年初来日次データを元に算出)】
出所:coinmarketcap、blockchain.comより作成
価格とハッシュレートとの相関係数(Coefficient)は-0.000135となっており、決定係数(R Square)も0.448とかなり低いです(単純に、価格の動きはハッシュレートの動きの44.8%でしか説明されないということになります)。
チャートを見ると、一見今年は逆相関をしているようにも見えますが、実際には価格とハッシュレートの動きの間に強い相関性はないといえそうです。
さて、そんなビットコインネットワークのハッシュレートですが、第4四半期には急落を記録しており、11月4日から12月13日の間におよそ-35%下がっています(第2図)。
そんなハッシュレートの急落に伴い、マイニングの採掘難度となるディフィカルティは12月、-15%と今年最大の下落率を記録しました。
昨今のハッシュレートとディフィカルティの急落は、これだけでも十分異例と言えますが、さらに注目したいのは、両者の乖離率の推移です。
【第2図:ビットコインネットワークハッシュレート(7日移動平均)&ディフィカルティチャート】
出所:blockchain.comより作成
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