
2025年に入り、暗号資産スタートアップへの資金調達は力強い回復を見せている一方で、暗号資産分野に特化するベンチャーキャピタル(VC)ファンドは資金集めに苦労し、業界内で集約化・淘汰の動きが進んでいることが明らかになりました。
市場データ分析プラットフォームDefiLlamaによると、2025年第1四半期における暗号資産スタートアップの資金調達額は58億5000万ドルに達し、これは2024年通年の調達額の約61%に相当する急増ぶりです。
しかし、この活況とは裏腹に、VCファンド側は厳しい状況に直面しています。Varys Capitalのベンチャー部門責任者トム・ダンリービー氏は、実際に資金を投じているアクティブなVCファンドの数は減少しており、前回の市場サイクルで設立されたファンドの多くが活動を停止、あるいは実質的に資金が枯渇した「シャドーインソルベント」状態にあると指摘します。
ダンリービー氏によると、VCファンドが苦戦する背景には、投資先からの十分なリターンが得られていないこと、大型の投資成功事例が乏しく新たな資金提供者からの注目を集められていないこと、そして富裕層からの資金流入が鈍化していることなどがあると分析しています。
この結果、スタートアップへの投資資金は、一部の体力のある大手VCやリピート投資家に集中する傾向が強まっています。ダンリービー氏は、この状況はVCが投資先をより厳しく選別するようになるため、結果として質の高い企業が成長する健全な市場淘汰につながる可能性があると前向きな見方も示しています。
暗号資産の資金調達市場は、有望なスタートアップには資金が集まる一方で、VCファンド側は自らの存在意義を問い直され、より厳しい環境下で運営を迫られるという二極化の様相を呈しています。
情報ソース:CryptoSlate
The post なぜ暗号資産VCは苦境に?専門家が分析する資金調達の明暗と業界再編の行方 appeared first on CRYPTO TIMES