かつては主要コインの一角だった仮想通貨ネム。2018年以降は大きく価格を下げ、中堅コインとなってしまいました。しかし、今後を見ていくと、高い技術を持ったプロジェクトであることがわかります。本記事では、ネムの特徴や2019年6月時点の将来性について解説します。
NEM(ネム/XEM)の基本情報
コインの名称/NEM
ティッカー/XEM
総発行量/約90億枚(89億9,999万9,999枚)
時価総額/約550億円
現在の発行量/89億9,999万9,999枚(全枚数発行済)
※時価総額と現在の発行量については2019年5月12日時点の情報。
NEM(ネム/XEM)の特徴
実はこのネム、通貨名を指すことばではありません。上記の目的を果たすためのプロジェクト、またはプラットフォームの名前がネムです。しかし、本来の通貨名であるXEMより、ネムの方が一般的であるため、本記事の中ではネムを通貨名として扱っていきます。
ネム(NEM)は「New Economy Movement」の頭文字を取って名付けられました。和訳すると「新しい経済圏」という意味です。「中央集権的な現行の経済システムをNEMのネットワークによって変えていこう」そんな旗印のもと、ネムは生まれました。
この項では、ネムが持つ特徴について解説します。
ブロック生成時間が短い
2017年末の仮想通貨バブルの際、スケーラビリティ問題が話題となりました。スケーラビリティ問題とは、ブロックチェーン上のブロック(データを入れる箱のようなもの)が小さすぎるせいでデータ処理が追いつかず、取引承認に遅れが発生してしまう問題です。特にビットコインにおいて問題が表面化していました。
仮想通貨の仕組みでは、何分かに一度(各通貨によって違いがある)、データが詰められたブロックを処理することで、取引を承認しています。例えばビットコインであれば、その時間は10分。10分以内にブロックサイズ以上の取引が流れてくれば、あふれた取引が次のブロックに回されてしまうのです。
つまり、ブロック生成時間を短くすれば、同じブロックサイズであっても問題は起こらないことになります。ネムでは、ブロック生成時間を短くすることで、この問題に対処しました。驚くべきは、その時間。ネムのブロック生成時間は1分です。単純にブロックの仕組みだけを取ってみても、ネムはビットコインの10倍の処理能力を持っています。
通貨の追加発行による価値の下落がない
基本情報の項に記載したとおり、ネムはすでにすべての枚数が発行されています。仮想通貨の価値は需給のバランスで決まるもの。追加発行によって供給量が増えれば、価値が下がるケースもあります。ネムにはそういった心配がありません。一方で、価値が高いままで安定してしまうと、取得しづらくなってしまうデメリットもあるでしょう。
Proof of Importance(PoI)というコンセンサスアルゴリズム
仮想通貨では有志の協力によって台帳整理をまかなっています。これがマイニングと呼ばれる仕組み。この仕組みでは、協力してくれた人(マイナー)に報酬が支払われるため、協力したい人が後を絶ちません。そのため、都度マイナーを選定する作業が必要になってきます。
しかし、適当に選べばいいかと言われれば、そうではありません。マイナーはマイニングシステムの根幹を担っています。しっかり信頼できる人を選んでいかなければ、マイニングシステムが崩壊してしまう危険性もあるでしょう。そんなとき活用される仕組みが、コンセンサスアルゴリズムです。
コンセンサスアルゴリズムにはいくつかの種類があります。仕事量で承認するProof of Work(PoW)、所有量・所有年数で承認するProof of Stake(PoS)などが有名なもの。しかし、ネムに採用されるコンセンサスアルゴリズムはこのどちらでもありません。
ネムでは、Proof of Importance(PoI)が採用されています。これは、ネットワークにおける重要性を指標にしてマイナーを承認するアルゴリズム。複雑な仕組みなので全貌は明らかになっていませんが、一部として3つの条件が明かされています。
- 1,000XEM以上を送金する取引
- 30日以内(43,200ブロック以内)の取引
- ハーベスティングの権利を持つユーザーから、XEMを受け取る取引
これらから、取引の頻度や取引量、また個々の取引の信頼性をスコアにするアルゴリズムがPoIだと言えるでしょう。このアルゴリズムを採用する仮想通貨は多くないため、ネムの特徴になっています。
ハーベスティング(マイニング)
ネムにおけるマイニングの仕組みをハーベスティングと呼びます。
ハーベスティングの特徴は、条件を満たせば誰でも参加できる点。前項で説明したPoIスコアが高い順に報酬を獲得できます。気になる条件は以下。
- NEMプロジェクトが開発したソフトウェアウォレット『NANOWallet』にアカウントを開設
- NANOWallet上に10,000XEMを保有
上記を満たし、NANOWallet上でハーベスティングを有効化、既得バランスというパラメータが10,000XEMを超えたらハーベスティングが可能となります。
NEM(ネム/XEM)の将来性
ネムの今後を語る上で、外せない要素が2つあります。その2つについて以下で解説します。
カタパルトアップデート
カタパルトは、仮想通貨バブル以前からネムが取り組んできた大規模アップデートの名称です。NEMの公式サイトで発表されているロードマップによると、現在は事前テストの段階。ナレッジの共有やα版SDKの配布、テストネットの公開、主要ハードウェアウォレットとの互換性テストをおこなっています。
主な今後の予定は以下。
- 2019年Q3…モバイル・デスクトップ公式ウォレットの提供とLightning Networkの動作確認
- 2019年Q3~Q4…メインネットのローンチと主要機能の実装
- 2019年Q4…公式ウォレットのアップデートとクロスチェーンスワップの実装
- 2020年以降…IoT機能の実装、Lightning Networkに対応、NEMブロックチェーン上でステーブルトークンを発表
まさに今後、目玉になるようなアップデートが次々とおこなわれます。長らく期待されてきたカタパルトアップデート。ようやく実現が見えてくるため、将来性は明るいのではないでしょうか。
Apostille(アポスティーユ)の実装
アポスティーユとは、公証のこと。行政などの公式的な証明を指すことばです。
元々ブロックチェーンは、高い透明性や非改ざん性により、こういった分野での活用を期待されてきました。そのような機能を持つサービスも最近になって生まれ始めています。しかし、これらはブロックチェーンを運用している公式が発表するサービスではありません。つまり、そのブロックチェーン以外にサービスの提供元もトラストしなくてはならないのです。
一方で、ネムのアポスティーユ機能は公式が取り組むもの。NEMブロックチェーンをトラストすれば、ほかの提供元をトラストする必要はありません。公証においてこの点は大きなメリット。この点に同機能がピックアップされる理由があります。
上記、カタパルトアップデートのロードマップを見ると、今後もネムの看板機能としてバージョンアップされる予定があるとわかります。イーサリアムやEOSのブロックチェーンがDAppsのプラットフォームとしてインフラ化しているように、近い将来、NEMブロックチェーンのアポスティーユ機能がインフラ化していく可能性もあるでしょう。ネムの将来性の高さを感じてもらえるのではないでしょうか。
NEM(ネム/XEM)の取り扱い取引所
国内の有名仮想通貨取引所では、DMM BitcoinとCoincheck、Zaifの3か所がネムを取り扱っています。国内にこだわるのであれば、いずれかで取引することになります。
上記3か所で扱っていない通貨も取引したい場合には、海外の取引所が視野に入るでしょう。世界最大手とも言われるBinanceでも取り扱いがあります。
ネムと言えば、国内では2018年に起きた大規模な流出事件が有名。そのため、「NEMブロックチェーンは危険なのでは?」と勘違いされることも多くあります。しかし、あの事件の原因は、取引所の管理体制であり、NEMブロックチェーンに落ち度はありません。この点を知っておけば、安心して取引できるはずです。
過去にあった事件を知っていながら、ハッキングの被害にあってしまわないために、購入したネムは取引所ではなくウォレットに保管するようにしましょう。
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