ページTOPへ
04月21日 07:00

S&P500 月例レポート ― レンジ相場入り、下値は限定的か (3) ―

●企業業績

 2017年第4四半期の決算シーズンは、企業の利益と売上高がともに好調で過去最高を更新し、2018年の業績予想も大幅に上方修正されました。今回は、S&P500指数構成銘柄のうち477銘柄(時価総額で96.6%、銘柄数で94.4%)が決算発表を終了した段階で、359銘柄(75.3%)で利益が予想を上回り、76銘柄(15.9%)が未達、42銘柄(8.8%)が予想に一致する結果となっています。売上高では、完全に比較可能なデータのある473銘柄のうち358銘柄(75.7%)で予想を上回り、その割合は異例の高水準となっています。

 ただし、2017年第4四半期の業績が過去最高を更新し、利益が予想を超過した企業の割合は75%、売上高が予想を超過した企業の割合は76%に及び、前年同期比9.4%の増収(明るい内容)が見込まれるにもかかわらず、市場の関心は第4四半期の業績ではなく、低調だった2018年の利益予想が明るさを増していることに向けられています。

 通常、この時期は業績予想が引き下げられる時期にあたりますが(アナリストが業績予想の更新や、目標株価、買い/売り/保有の推奨を通じて、今年度の現実に直面することが必要になるため。これに対して、来年度の業績予想は当面、夢物語の数字が続く)、2018年は年初来で、営業利益予想は7.1%、米国の一般会計原則(GAAP)に基づく利益予想は6.2%(GAAP利益は2017年第4四半期に税金の調整により大きく減少)上方修正されています。

 これらの業績予想(と企業ガイダンス)は3月半ばから下旬にかけて予定される決算期のずれる企業の業績発表が試金石となります。消費者の動向に関しては、現在、手取りの給与が増加し始めており(源泉徴収税の低下を通じて)、月次の小売売上高に給与増による影響の最初の兆候が表れると思われます。

●トランプ大統領と政府高官

 政府は2018年2月9日の深夜零時から同日早朝まで、再び実務上の政府機関閉鎖に陥りましたが、その後、議会がようやく2年間の予算で合意し(午前5時30分)、大統領の署名にこぎつけました。今回の予算で政府は支出が可能となりましたが、2017年3月23日が期限となっており(現在から3週間)、その際には議会は再度問題に取り組む必要があります。承認された予算(支出権限はまだ与えられていません。これはまだワシントン内だけでのことです)では国防費が増額されるとともに、債務上限を1年間停止する措置が盛り込まれました。

 トランプ大統領はインフラ投資計画を発表しました。合計1.5兆ドルの投資を喚起するため、地方政府にインセンティブとして2000億ドルを付与し、さらに、連邦政府も期待される1.5兆ドルの投資に一部支出することとされています。トランプ大統領は、米国の道路、橋梁その他の公共施設を更新するホワイトハウスのインフラ計画の財源として、連邦ガソリン税の0.25ドルの引き上げを提案しています(最後の引き上げは1993年で、その際には小売ガソリン税が1ガロン当たり0.184ドルに、ディーゼル税が1ガロン当たり0.244ドルに引き上げられました)。

 米司法省が2016年の大統領選挙に不当に干渉したとして、13人のロシア人(及びロシア企業3社)を訴追しました。政治疑惑は続いており、今後さらなる訴追が予想されます。ただし、市場はほとんど関心を払っていないようです。

 2月14日に発生し、17人の生徒が犠牲となったフロリダ州の高校での銃乱射事件に対する抗議が続き、銃規制と銃を所持する権利という、より大きな問題をめぐって学生による多くの抗議運動が起こりました。(筆者が見るには)1960年代のような様相を呈していないものの(当時を思い出します。筆者はまだ、当時のポニーテール姿の自分の写真を持っています)、抗議運動は拡大し、マスコミで大きく取り上げられ、小さなものであれ、一部の企業による行動を促し(全米ライフル協会(NRA)会員に対する割引の撤廃や、Dicks Sports Goods(DKS)とWal-Mart(WMT)による追加的な銃の購入制限)、全米の注目を集めています。

 アメリカ国民は今週から給与に対する所得税率が引き下げられています。エコノミストの間では、手取り給与増額による経済への影響が推測されています。

 注目材料として、中国共産党中央委員会は、国家主席と副主席の2期を上限とする任期制限の撤廃を提案しました。現職の習近平主席が地位を維持することになると解釈されています。S&Pレーティングス・サービシズは、ロシアのソブリン格付けをBBプラスから投資適格級であるBBBマイナスに引き上げました。中央銀行関連のニュースでは、1月会合分(イエレン議長による最後の会合)のFOMC議事録で、FRB内で景気に対する楽観論が広がっていることが示されました。こうしたFRBの強気のスタンスは利上げペースが速まる可能性を示唆しています。市場の反応は、当初は肯定的なものでしたが、その後否定的なものに変わり、追加の金利負担が市場を圧迫すると受け止められました。

 パウエル新FRB議長は、米議会で自身の金利見通しに関する証言を行い、米国経済は予想よりも速いペースで拡大し、インフレ上昇につながるとの予想を示すとともに、現政権(トランプ政権)の財政(及び税)政策から距離を置く姿勢を示しました。その結果、市場では、より多くの参加者が今年4回の利上げを織り込み始めましたが、依然として3回が支配的な見方となっています。ただし、「時代は変わりつつあります」。Alphabet(GOOG、GOOGL)は、一部のオンライン広告をブロックすると発表しました。

 サウジアラビア(世界最大の石油輸出国)は核エネルギーの国内利用を模索しています。Yum Brands(YUM)傘下のKentucky Fried Chickenは、鶏肉不足を理由に英国の店舗を一時閉鎖しました。Delek Drilling(DKDRF)とNoble Energy(NBL)は、イスラエルのタマルガス田とレビアタンガス田の天然ガス150億ドル相当を(10年にわたり)、エジプト企業に販売することで合意しました。マーシャル諸島共和国(太平洋の1100の島々で構成され、人口は約7万人)は、仮想通貨(名称は「ソブリン」)を公式の法定通貨として(今年)発行する計画を明らかにしました。

●利回り、金利、コモディティは活発な動きが続く

 米国10年国債の2月末の利回りは、1月末の2.72%から2.86%に上昇しました(2017年末は2.41%、2016年末は2.45%)。米国30年国債の2月末の利回りも3.13%と、1月末の2.94%から上昇しました(同2.75%、3.07%)。

 外国為替市場では、ユーロは1月末の1ユーロ=1.2412ドルから1.2202ドルに下落し(同1.200ドル、1.0520ドル)、英ポンドも1月末の1ポンド=1.4191ドルから1.3769ドルに下落しました(同1.3498ドル、1.2345ドル)。円は1月末の1ドル=109.20円から106.71円に上昇した一方(同112.68円、117.00円)、人民元は1月末の1ドル=6.2893人民元から6.3313人民元に下落しました(同6.5030人民元、6.9448人民元)。

 金価格は1月末の1トロイオンス=1348.70ドルから1318.90ドルに下落しました(同1305.00ドル、1152.00ドル)。原油価格は下落し、1月末の1バレル=64.85ドルを下回る61.53ドルで月を終えました(同60.09ドル、53.89ドル)。

 米国のガソリン価格(全等級)も下落し、1月末の1ガロン=2.723ドルを下回る2.666ドルで月を終えました(同2.589ドル、2.364ドル)。VIX恐怖指数は月中の最高が50.30、最低が12.50となり、1月末の13.54から19.85に上昇して月を終えました(同11.04、14.04)。


[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。

[免責事項]
著作権(C) 2018年 S&Pグローバルの一部門であるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLC。不許複製、Standard & Poor's、S&P、S&P500、は、S&Pの一部門であるスタンダード・アンド・プアーズ・フィナンシャル・サービシーズLLC(以下「S&P」)の登録商標です。LATIXX、MEXICO TITANS及びSPCIは、S&Pグローバル一部門であるスタンダード・アンド・プアーズ・フィナンシャル・サービシーズLLC(以下「S&P」)の商標です。「ダウ・ジョーンズ」は、ダウ・ジョーンズ・トレードマーク・ホールディングズLLC(以下「ダウ・ジョーンズ」)の登録商標です。商標は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCにライセンス供与されています。本資料の全体または一部の再配布、複製、そして(または)複写を書面による承諾なしに行うことを禁じます。

株探ニュース
株探

ビットコイン/円レート・チャート

921,131 (+3.06%)

みんなの仮想通貨 公式ソーシャル