日本銀行の内田真一理事が11月24日に開催された連絡協議会の中で、CBDC(中央デジタル通貨)の導入についてコメントしました。
【挨拶】
内田理事「今、決済の未来を考える意味について」(第4回中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会)https://t.co/yX4XCxxol2 pic.twitter.com/43vo4WzPBK— 日本銀行 (@Bank_of_Japan_j) November 24, 2022
内田氏は国内でのCBDCに対する取り組みに関して下記の5つの点を挙げています。
- 「CBDCを巡る検討は「将来の決済システムの全体像」を考える作業である」
- 「決済の未来を考えることは、民間との共同作業である」
- 「デジタル社会における未来像を考えるうえで今は良い時期ではない」
- 「国際的な視点が重要であると同時に、各国の実情が反映される余地は十分にある」
- 「決済システムの未来だけでなく、より広い意味でのイノベーションについても語っている」
– 「CBDCを巡る検討は「将来の決済システムの全体像」を考える作業である」
日本を含む多くの国ではCBDCを導入する差し迫った事情は見当たらないとする一方、昨今のSNSやeコマースによる生活の変化の延長にある決済やお金の役割の議論は必須とし、その1つの表現方法がCBDCであるとする内田氏。
CBDCの特徴は明確で「どこでも使える」「安全な」支払い手段であり、デジタル化が進む中、CBDCを公共財としてどのように組み込むべきかを考える必要があるとしています。
– 「決済の未来を考えることは、民間との共同作業である」
CBDCの導入に対する意識として、内田氏は日々利用する”決済手段”には「コンビニではコード決済、魚屋さんでは現金といった」経路依存性が存在するとし、新たな決済手段であるCBDCの導入を議論するうえでは、現在機能している決済システムを活かすことが大前提であると述べました。
同氏は通貨の発行主体である中央銀行が、基盤となる領域で可能な限りプレーンな「公共財」を提供するとしています。
– 「デジタル社会における未来像を考えるうえで今は良い時期ではない」
内田氏は、日本では現在日常的な決済は現金が主要なポジションを占めており、安全かつどこでも使える点では非常に効率的な決済手段であると述べています。
現金の利用が急速に減少した国では、民間事業者による寡占・独占が進んでいることに対する懸念が指摘される中、急激な決済システムの変遷が起こっていない今の日本では、乏しい現実的な選択肢の中でしか議論できない状態になる前に、CBDCのあるべき姿について議論するべきだと同氏は述べました。
– 「国際的な視点が重要であると同時に、各国の実情が反映される余地は十分にある」
グローバルな視点で見た場合のCBDCについて、内田氏は「CBDCの導入はあくまで、わが国の決済システムの安全性や効率性を高めるために考える」と述べています。
同氏は、まず国内の利用を基本に捉え、各国の事情が反映されたCBDCを実現することを第一に目指すことが現在の先進国間ででの議論の前提となっているとしています。
– 「決済システムの未来だけでなく、より広い意味でのイノベーションについても語っている」
今後の社会では物やサービスとお金の流れが一体化していくとする内田氏。
単純な決済手段としての特徴に加えて、あらかじめ決められた条件を満たした場合に自動的な支払いが行われるといった機能を、どのように社会へ提供していくかは大きなテーマであるとしています。
内田氏は今後のCBDCへの取り組みについて下記コメントを残しました。
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“「CBDCを導入するかどうかは、国民的な判断です。そして、その判断によって、民間のビジネスのあり方が変わり、全体としての決済システムの姿が決まってきます。
この姿次第で、民間企業の投資のあり方も変わってきますし、投資にはリードタイムが必要ですから、国際的な潮流も意識しつつ、どこかの時点では、そうした判断を行っていかなければなりません。
日本銀行としては、その前提となるものとして、CBDCの技術面の実験と制度面の検討をしっかりと進めていきます。その際、本日お話しした通り、これまでにも増して、皆様の知見とご協力を頂かなければならない段階に入ってきたと感じております。- 引用元:日本銀行」”
日本銀行では昨年4月に実証実験を開始し、2022年はその二段階としてCBDCの周辺機能についての検証を行なっている段階です。
世界各国の中央銀行や政府がCBDCへの取り組みを進めていく中、日本でのCBDCに対する動向に注目が集まります。
JCBがデジタル通貨(CBDC)の実証実験プロジェクトを開始
記事ソース:資料
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