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「R3」「IBM」と3社インタビュー│大企業が推し進める"ブロックチェーン"の今後とは

筆者: コイン東京
2019/09/28
2019/09/28

この度はR3のシニアソリューションアーキテクトのトム・メンナー(Tom Menner)さん、IBMのデジタルイノベーション事業開発部の部長でチーフアーキテクトの平山毅さんにインタビューを行いました。

―コイン東京
本日は宜しくお願いいたします。
それでは、まず最初に自己紹介をしていただけないでしょうか。

―トムさん
はい、トム・メンナー(Tom Menner)と申します。私はディレクター兼R3のシニアソリューションアーキテクトです。アジア太平洋地域に滞在しているため、アジア全体担当しています。ソリューションのアーキテクチャとセールス・エンジニアリングは私がプリセールステクニカルだと言ってくれています。

基本的に私がしていることはビジネスやテクニカルな要求を話し合うためにはお客様と会い、DLT、またはブロックチェーンに関わるソリューションがどのように彼らのビジネスに適用できるかについて話しをすることです。

―コイン東京
ありがとうございます。
続いて、R3とは何かを、例えば私がお母さんに話をして理解してできるほど簡単な言葉で、説明していただけませんか。

―トムさん
R3はリサーチ会社として生まれました。銀行と金融会社に代わって暗号通貨とブロックチェーンの技術を分析し、POCなどを行い、銀行業と金融業に適用できるのかを考えるのは私たちが当初のサービスでした。最終的にCordaと呼ばれるブロックチェーン・プラットフォームを私たちは立ち上げることにしました。
今の段階は主にCordaというブロックチェーンのプラットフォームを開発しているエンタープライズ・ソフトウェア会社です。

―コイン東京
Cordaは他のブロックチェーンプラットフォームとどのように違うのでしょうか。現在、皆はイノベーションの種としてブロックチェーンを見ていますが、Cordaの長所や違いなどを私たちに教えていただけませんか。

―トムさん
Cordaはプライバシーを重視しているということで典型的なブロックチェーンと違います。技術の話をすると私たちはDLTプラットフォームで元帳技術を提供しているというだけで、厳密に言えばCordaはブロックチェーンではありません。

何の違いがあるかというと典型的なブロックチェーンだと取引のコンセンサスに達し、その取引をブロックにし、それまでのブロックにつなげて記録し、そしてそれをネットワークのすべてのノードに分散します。しかし、Cordaでは取引する際にはプライバシーを重視しているため、もし私があなたと取引をしたらその取引は私とあなたの台帳で保存されていますが、私たちの許可がない限り、他の者の台帳で保存されません。

そういう意味でグローバル・ブロックチェーンがなく、ブロック自体も作られていなく、純粋に取引を行うベースであり、それを記帳する元帳となっているもので何よりもプライバシーが最も大事にされています。

―コイン東京
プロジェクトの開発は現在どの段階にいらっしゃいますか。

―トムさん
Cordaが公式にリリースされたのは約2年半前です。それから進化し続けてきました。オープンソースとして利用可能なので、ダウンロードができます。私たちはまったく同じプログラミング・モデルを持っているエンタープライズ版も販売しています。エンタープライズ版には追加機能が入っています。

現在は12~15のお客様と私たちとで協力し開発を行っていて、システム、ユースケースやパイプラインなどがお客様ごとに違います。それぞれはこの半年以内にリリースされるものよりかなり大きいです。

―コイン東京
ありがとうございました。
メンナーさんはどうやってブロックチェーンの業界に関わるようになったのでしょうか。

―トムさん
実は私は昔からIBMに勤めており、そこで22年間働いていました。そして2016年の終わりの頃、その仕事を辞めました。しかし、辞任する前にニューヨークでHyperledgerFabricに取り組んでいたため、辞めてから別のブロックチェーンの会社に移動するのは当然の流れだったと言えます。

―コイン東京
高いスキルが求められている競争の激しい市場でメンナーさんのような人がどうしてIBMのような会社ではなくR3を選ばれたのでしょうか。

―トムさん
IBMを辞任したばかりだからですよ!(笑)

―コイン東京
すみません。他の会社名が思いつかなかったんです。(笑)

―トムさん
それはいい質問ですね。様々な会社の人と話していました。その時はまだニューヨークにいました。ニューヨークにはAlchemyの本部があります。そして、私はR3の人を知っていたのです。業界の視点から見ればR3 に移るのはある程度理にかなっていました。その時には私たちは銀行や金融のことに集中しており、それからはもちろん他の業界にも広げたんですけど、その時に私のIBMで積み重ねた銀行や金融に関係する経験は私のバックグラウンドであったため、R3を選ぶのは自然な選択でした。

それに、その時のR3は本当に面白いことをしており、開発の最も進んだ段階にいました。いくつかの場面で他社よりも進んでいると感じたため、転職によさそうなところでした。


―コイン東京
ありがとうございました。今あなたがしている最も大きな挑戦について話していただけないでしょうか。

―トムさん
シンガポールで暮らすことですね。蒸し暑いからです。(笑)

―コイン東京
ビジネスの面ではいかがですか?その仕事の技術的な側面や才能のある人材の発掘など

―トムさん
はい、もちろんロジスティクスの視点からみれば才能のある人を見つけるのは大変です。皆は同じことで難しいと感じているでしょう。しかし、業界の視点からみると私にとっては市場にはたくさんの混迷が見られます。それはブロックチェーンはビットコインとEthereumと同じような頃に生まれたからだと思います。

そのためブロックチェーンとはビットコインと同じことだと思ってしまう人がいます。それに対してR3の私たちやHyperledgerは暗号通貨にあまり関わっていないです。トークン化、またはデジタル化された資産のプロジェクトはありますが、暗号通貨には関係がありません。場合によっては業界の人々を教育することや私たちは何の事業価値を提供しているかを具体的に説明することが必要です。

―コイン東京
日本ではR3とRipple との関係をあまり知らない人も多くいて、よくR3とRippleはどんな関係なのかという質問が聞かれると思いますが、そのあたりいかがでしょうか?

―トムさん
この質問に答えるのをお断りします。(笑)
でも、私が言えるのはSBIはRippleとR3、両方の投資家です。私たちはSBIととても良い関係を保っています。そしてRippleもそうです。これ以上説明する必要がないと思います。Ripple と入れ違うこともあまりなく、問題にはなっていないです。

―コイン東京
分かりました。では次の質問ですが、どうしてアジアを選んだのですか。またR3の主の対象市場とは何でしょうか。この質問に答えるのはもちろん簡単ではないと思うのですが…

―トムさん
アジアは私たちが活動している地域の一つで、アジアでビジネスを辞めるのはもちろんもったいないです。ビジネスそのものも欧米とかなり違っています。そして、それぞれの国での違いもあります。
私が見かけているユースケースは国ごとに異なっているということです。例えば日本は貿易金融、サプライチェーン、トークン化やデジタル化された資産に興味がありますが、タイでは私たちはタイ銀行と一緒に中央銀行のデジタル通貨に関わっているプロジェクトを進めています。

 

彼らの場合には銀行システムの運用効率に集中しています。また、シンガポールはそれを必要としないかもしれないので、MAS(シンガポール金融管理局)ではデジタル現金のプロジェクトがあるのに、それにタイのような事例には興味が一切ありません。ベトナムは支払いに関心があり、中国はサプライチェーンです。アジアと一口に言えど、関心のある分野は国ごとに異なっています。

―コイン東京
では、アジア地域以外で、R3が最も需要としているターゲットはどこですか。

―トムさん
すべての国です。

―コイン東京
そうするとビジネスを行うのははるかに難しくなるのではないですか。それぞれの法律や市場が異なっているからです。一つだけを選ばなければならなかったらどちらになりますか?

―トムさん
それならば多くのプレイヤーはもちろん中国に進出したいでしょうね。しかし、様々な理由で中国に進出するのはかなり難しいです。例えば、暗号通貨の制限という理由でデジタル資産は中国で普及を私は期待していません。その代わりに日本と韓国はデジタル化された資産に関心があります。
そのためどの国であっても私たちの戦略はその国が何に興味を持っているか、または何の問題を解決したいかということで決まられます。

―コイン東京
ありがとうございました。では、続いて平山さんの自己紹介をお願いできますでしょうか。IBMについては説明しなくても問題ありません。(笑)

―平山さん
ほとんどの人は良くIBMを知っているんですね。なので私が担当している最新の技術などの最新の情報について説明していきたいと思います。私は平山毅と申します。IBMのデジタルイノベーション事業開発部の部長でチーフアーキテクトです。

IBMではPeerパブリッククラウドストレージの構築を戦略的に行っていて、皆さんご存知のHyperledgerを後に開発し現在はそれらを組み合わせています。

 

私個人の役割としては、3つのデジタルテクノロジーのメガトレンドであるブロックチェーンやAI,IoTなどを研究し、特にブロックチェーンに注力しています。

Hyperledgerでは去年からアプリケーションパッケージとしてサプライチェーンや貿易金融などのプラットフォーム構築をしています。
また、ステラと連合を組んでステーブルコインの開発にも注力をしていてそれはコンソーシアムアプリケーションとなり、「IBM Blockchain World Wire」は国際決済デジタルアプリケーションとして今年ローンチを予定しています。

―コイン東京
ありがとうございました。では次の質問に進みたいと思います。ブロックチェーンという環境におけるエコシステムはどのように機能していますか。日本では才能を持つ人材を見つけるのは非常に難しいですが…

―平山さん
ブロックチェーンのエコシステムを構築することはちょうど私がしていることです。私は元々アマゾンに居て、アマゾンとはブロックチェーンベンダーとしてIBMが一緒に仕事をしています。
他にもクライアント企業様と仕事をしていますが、そのエコシステムとしてマルチクラウドアーキテクチャを構築しています。ブロックチェーンを広める段階においては、IBMではイーサリアムやCordaの両方に対応し、クライアントのニーズに応えようとしています。

―コイン東京
IBMとは非常に評判の良い会社ですが、それに対して大きすぎ、古すぎ、過剰な官僚主義もあるということが言われています。しかし、その目的は革新することなのです。自分のIBMでの経験に基づいてどうしてIBMはこの分野の革新でどのように重要なプレイヤーとなるのかについて少しお話していただけないでしょうか。

―平山さん
私はアマゾンという新興企業でも働いていた経験もありますが、IBMは確かに古いテクノロジーカンパニーで、そういった古いテクノロジーが最新のテクノロジーと交わるのは難しいです。そして最新のテクノロジーとこれまでのテクノロジーのアプローチは違うのも事実です。
ただIBMは多くの新興テクノロジーの研究開発する企業を買収しています。

―コイン東京
ありがとうございました。では、メンナーさんの視点から見れば、IBMのような大手企業が存在しているスペースでは協力の可能性があるのでしょうか。それとも皆はある意味で違う道を歩んでいますか。

―トムさん
いい質問ですね。この分野はまだ進化中です。面白いことに、例えばEEA(企業イーサリアム連合)とConsensys、MicrosoftとHyperledgerがそれぞれ関わっているということが見られます。R3もHyperledgerのメンバーになりました。いくつかのプロジェクトでHyperledgerと協力していますが、Fabricには関わっていません。しかしそれは将来協力関係がさらに緊密にならないといことを意味しているわけでもありません。

それに、IBMの話をすると私たちは彼らと直接的な競合関係であり、よくビジネスする機会を彼らから奪っていました。しかしIBMのサービスグループはR3に連絡を取り、Cordaのコンサルティングをしないかという話をしましたし、二社とも主にエンタープライズを代表し、暗号通貨に関わりません。また、CICSやIMSの中にあるデータを手に入れるためにIBMのメインフレームを活用しR3の取引の一部にもなっています。様々なIBMの技術を統合しているということです。

実はJAVA、メッセージキューイングやリレーショナルデータベースの使用という共通点でCorda自体とそのデザインはIBMのもののように見えるのではないかと議論できるかもしれません。そして、私たちの創始者がよく仰っていたのは完璧な世界では私たちは自然にIBMの味方になり得るということで、私たちが使っている技術やブロックチェーンの作り方などで判断すればCordaはIBMにピッタリと言えます。

残念ながらFabricはその前にリリースされたため、IBMは今ソフトウェアのプラットフォームとしてFabricにコミットしています。ただ将来はどうなるか分かりません。

―コイン東京
企業の視点からどうしてそんなことが起きたかを教えていただけないでしょうか。

―トムさん
まぁ、これは歴史的なことです。最初はビットコインが表れ、Ethereumがその次になりました。そして、Ethereumはスマート・コントラクトがあります。IBMがオプーン・ブロックチェーンと関わり始めたころ、私はまだそこに勤めていました。簡単に言えばIBMはブロックチェーンの取引の情報を共有するというところが好きでしたが、匿名性や許可不要というEthereumとビットコインの性質がエンタープライズ向けには有用ではないと考えました。

つまり、彼らは通貨やgasのことを抜き取り、Ethereumの仕組みのようなものだけをキープしました。それはFabricになりました。それは戦略的に開発したというより、プロジェクトとしてうまくいくのかを見ようと考えてその選択で進んだだけです。

その後Hyperledgerを設立しました。それがすごいいいアイデアでした。オープンソース、すべてがよかったです。他の技術も導入しました。その後R3が現れました。私たちは銀行や金融会社に代わってそのブロックチェーンという技術で彼らが入り込めるスペースがあるか判断するために活動していました。

私たちはEthereumとFabricでPOCやパイロットをしており、最終的に決めたのはKYCやAMLのような制限のある厳しく規制されている業界でそこではプライバシーの面がとても重要でした。そこで典型的なブロックチェーンを利用できなかったため、最終的にCordaで行こうと思いました。Jerry Cuomoはきっと私と議論すると思いますが、私にとってはもしIBMはもう一度その選択する機会があればFabricを元にしたデザインよりCordaを元にしたデザインという選択をするのではないかと思います。もし彼らは顧みる機会があればですね。しかし、繰り返しますがJerryの意見はきっと私と異なります。

―平山さん
そのブロックチェーンの歴史と境遇の説明は完璧だと思います。
KYC/AMLにおいて、コンソーシアム型のアーキテクチャはとても有用だと思っています。IBMではHyperledgerにてコンソーシアム型のアーキテクチャを開発していますが、改ざんが不可能で取引が追跡可能という強み、スマートコントラクトというアプリケーションレイヤーの強みを活かしていきます。

―コイン東京
ありがとうございました。お聞きしたいことはたくさんあるのですが時間がかぎられていますので、その中からいくつかお聞きしたいのですが、先ほどブロックチェーンの開発会社はその会社の規模の大小関係なく同じようなお客様がターゲットとなっているとおっしゃいましたが、今後ブロックチェーンの市場はどうなっていくとお考えでしょうか。

私はデロイトのシニアマネージャーでもあり、ブロックチェーンを推奨する立場としてブロックチェーンを良く知っていますとクライアントと話をしていましたが、それは嘘と言えるかもしれません。ブロックチェーンをどう活用するのかを100%理解できてはいませんので。(笑)

あなた方はそれぞれ強みがありますが、どのようにこの市場を見ていますか?

―トムさん
まず、この業界ではそれぞれの会社はあるプラットフォームに参加します。例えばDeloitteはFabricを選ぶだろうと思います。そして、私たちのパートナーの中でCordaをよく知っているPwCやAccentureなどがいます。また、昨日の会議中にErnst&YoungはこれからEthereumが世界を引き継ぐと主張しましたが、それには私たち全員反対意見をもっていますね。(笑)

―コイン東京
その証拠はどこにあるのでしょうか。(笑)

―トムさん
そうですね。私が言っていることが彼らに届いていないように願っています。Huaweiの社員もそう…(笑)
総じて、戦略的に複数や単一のプラットフォームを採用会社がいます。そして、いつか技術の集中が行われる可能性があります。R3はFabricを除いていくつかのHyperledgerのプロジェクトに参加しています。FabricとCordaは合併は想像しにくいためにそうなると言いたくないですが、将来は何が起きるか全然わからないですね。


QuorumはJPMCとともにまた違う革新を進めています。この業界やクライアントという点においては幸いR3には銀行と金融会社のお客様のベースがあります。そのお客様のおかげで銀行や金融会社の業界を入り込むことができました。保険会社、貿易金融、サプライチェーンもそうです。IBMも今までできたことや彼らの規模のおかげですごい影響力があります。それ以外にはWichainのような新進気鋭の技術があります。そして、彼らはどれだけ進歩しているかわからないですが、Quorumもあります。 またTaletもありますね。

ただ、この業界の中には誤解や誤報が多いと思います。もし私たちがConsensysと競争するとしたら、彼らはEthereumを中心とした視点でそれに取り組むのです。もしお客様が適当な知識がなければすべてをそのまま正しいと受け取ってしまいます。それに対して私はよくお客様に再度理解をしていただくための教育しなければならなくなるのです。

でもこのように競合することは業界全体に利益をもたらしていると思います。IBMとHyperledgerの皆はFabricを改善するために頑張っています。もちろん、様々なCordaの部分を真似しながらね。しかし、私たちは振り返り、ICOの市場の破壊後はコインとかトークンとかについて真面目に考えないといけませんでした。

そのためにコインとトークンをどのようにサポートするかという面で私たちはEthereumからのいくつかのデザインを借りる必要がありました。私たちはetherやgasなどのようなものを作るつもりがないのですが、ERC-20やERC-721というトークンで行われた作業はCordaの私たちが行っているトークンの作業に影響を及ぼしています。

最近FabricはSTKでFabTokenを加えています。色々なことが違うプラットフォームで行われており、それは大概この非常に若い業界に有益だと思います。

―平山さん
IBMにおいては、コンサルティング・テクノロジーの両サイドのビジネスを行っていて、最近では先述ですが貿易金融、病院、マイクロペイメントなどの業界の抱える問題を解決しています。
すでにある顧客基盤も競合に比べ大企業が多かったりと強力ですし、そういった点はIBMの強みです。

―コイン東京
続いてお伺いしたいのがブロックチェーンの業界ではどのように才能のある人材を見つけるのでしょうか。

―トムさん
IBMから優秀な人を盗んでいます。(笑)

―コイン東京
これはブロックチェーンのエンジニア視点の質問ですが。IBMのような大企業で働く長所とは何か教えていただけないでしょうか。また、R3で働くことの長所についても知りたいです。

―トムさん
一つ私たちのアドバンテージと言えるのは私たちのプラットフォームはJAVAで作られたため、必ずブロックチェーンのスキルを使わなければならないわけではないということです。
エンジニアを探している時に、良いプログラミングのスキル、特にJAVA、二次にC++のスキルを持つのであれば、私たちはブロックチェーンを教えることができます。Golangのプログラマーを見つけるのは大変なので、こういう長所を持っています。EthereumのためのSolidityのプログラマーも全くいないですね。

それはCordaのデザインにおける私たちのとても戦略的な決定でしたし、それはとても有益だともう証明されました。ブロックチェーンを専門にした人材を見つけるということはしません。そういう人は普通にいないのですから。

何より言いたいのは私たちの長所はブロックチェーンの経験を持っている人材を探さなくても良いので自由があることです。もしJAVAのスキルは十分に良ければ、私たちにはそれだけで大丈夫です。

―平山さん
ブロックチェーンエンジニアには2つのタイプの人がいます。ミドルウェアエンジニアというブロックチェーンを広める人たち、アプリケーションサイドのエンジニアというタイプがありますが、JavaやGolangなどの言語でコードを書けるのであれば、それで十分です。
若い人達にはチャンスが多くあると思います。彼らは最新のテクノロジーへの感受性も高く勉強を始めている人もいますが、とてもポテンシャルがあるのではと考えています。

―コイン東京
ありがとうございました。確認したいことが一つあるのですが、日本にはブロックチェーンに関するスキルを持っている才能のある人材がたくさんいると先ほど平山さんはおっしゃいましたが、それは本当でしょうか。
私は今までたくさんのプロジェクトを見てきましたが、それらに関わっていたのはベトナム人が多かったです。平山さんは実際にたくさんの才能のある人を見かけたことがありますか。

―平山さん
プロジェクトによると思います。ただ私が聞いたところではマレーシアやシンガポールにはとても有能な人が多くいるそうですね。特にイーサリアムベースのDappsの開発をしているところでは強い人が多いそうです。

ちなみにベトナムはAIエンジニアには有能な人が多くいるとも聞いたことがありますが、日本の企業でもベトナムに研究ベースを作る事例もありますね。

―トムさん
それに関して少し言い加えたいことがありますが、それはコストの問題だと思います。例えば、日本ではエンジニアの費用はフィリピンやベトナムより高いので、才能のある人がアプリケーションを作っている限り、開発のステージをアウトソースしても良いかもしれません。
才能のある人を日本で見つけれるかどうかというのもありますが、そのコストの問題もあります。日本で開発するより海外の会社に任せる方がお得な場合がありますね。

―コイン東京
確かにそうですね。

―トムさん
それにエンジニアはいつでももっと儲けられる会社に移動できるのです。

―平山さん
…しかし、日本人の会社員は転職をあまりしないですね。それは日本の文化でもありますが。ある才能を持っている人、特にリサーチ会社やSony、PanasonicやNECのような製造会社に勤めている人は潜在能力があると思いますが・・・

―トムさん
それが私たちがSBIとの協力を始めた理由です。彼らは才能のある人を釣込む力、またはそういう人をキープする力があります。R3はその力を真似するより、もしくはIBMやGoogleと競争するよりSBIと協力するのがより好都合でした。彼らはもう上手な開発者やエンジニアがいるからのです。

―コイン東京
最後に日本に関してもう一つの質問があります。日本からの視点と海外の視点を知りたいのですが、日本に関する意見は双極世界のように分かれています。多くの人は、特に東南アジアの国々の人は品質の高い日本に憧れています。

それに対して日本は遅れているという考えもあります。メンナーさんと平山さんにとってはブロックチェーンだけではなく分散型台帳技術のことも考え、日本は何があるか、何を提供しているか教えていただけないでしょうか。

―トムさん
私の意見としては日本は早くから暗号通貨を適応し始めましたが、マウントゴックスのような事故に苦しんできました。それで発展が遅くなったと思います。今はブロックチェーン技術に関しては悲観論よりも今後注目すべきという意見が見られるようになりました。それに、日立や富士通のような日系企業は間違ったことをしていると思います。

何かというと彼らはFabricをダウンロードし、そして自分達のバージョンを作ったのです。もし私がIBMであれば、彼らは自然に私のライバルになります。彼らはCordaのような違うプラットフォームではなく、別のFabricを作って日本企業に提供しています。そのような環境で競争するのはより難しいと感じます。


また、これは私の日本と韓国に関する気づきですけど、彼らが見ているユースケースは国内だけを意識しています。例えば、Macro PoloやTradeLensのような貿易金融コンソーシアム、銀行間支払いのためにJ-コインのようなものの創造に集中しがちだということです。しかし、最近は業界の進化が見られます。暗号通貨に対する批判の声はだんだん静まり、その代わりにサプライチェーン、貿易金融、またはデジタル化された資産さえに関係するプロジェクトに興味が表れています。

それはR3と私たちのパートナーのSBIが最近日本人のお客様と行っていた話し合いのテーマです。

―コイン東京
ありがとうございました。では、平山さん、企業の世界でのブロックチェーンの適応についてコメントをしていただけないでしょうか。

―平山さん
日本には大きなチャンスがあると思っています。Suicaなど電子マネー、楽天などのポイントという文化が最も根付いていて、送金も簡単という環境もあって適応が速いと考えられます。ただ規制が厳しいという問題もあります。ただSTO(セキュリティトークン)やステーブルコインなどでは大きなポテンシャルがあると思います。

ただ、多くの部分で成熟した仕組みがあり、変化することにコストがかかるなど抵抗があって難しい面もあります。

―トムさん
このパネルをポジティブに終わらせるように良いニュースというわけでもありませんが、私たちは日本で活動しており、今はいくつかのパートナーと協力して今後面白い結果をお届けできると思います。特にデジタル化された資産のプロジェクトはそうです。ぜひその報告を楽しみにしてください

―コイン東京
楽しみですね! パートナーと呼ぶのはどういった意味でしょうか?そのパートナーはよく知られている大企業とかでしょうか 

―トムさん
そうですね。R3のビジネスモデルはその業界ですでにエコシステムを持つパートナーのシステムに基づきますからパートナーと呼んでいます。つまり、パートナーのエコシステムの中で活動しています。R3はその中でCordaのプラットフォームを構築するだけです。

たまにそれに関わるコンサルティングもしていますが、それ以外のソリューションなどを提供していません。そのためソリューションの部分は他社に頼ることとなり、その範囲は場合によって異なります。


例えばAccentureは何かに応じて他のものを作っている場合がありますが、それに対してFinastraのようにCordaプラットフォームの上に何か加え私たちがそれをサービスとして売っている場合もあります。例えばシンジケートローンはそうです。

私たちのパートナーの中には中小企業と大企業があります。例えば、1~3人しかいないような小さなパートナーもいます。しかし彼らは私たちが今まで探していた、驚くべきソリューションを作っています。私たちが支援すべきか確認したところその応答は非常にポジティブだったので、そのパートナーにそれを続けてくださいと伝えました。

そのために年末までには公式…まぁ、必ずしもすべては公式ではないと思いますが、何かが発表されると思います。あるアナウンスは公式で、あるアナウンスはCordaのエコシステムの追加機能としての発表という形になります。それらはデジタル資産に関わっている分野で非常に役に立つと思います…このプロセスでIBMを破壊します。(笑)

―平山さん
IBMでは既存の仕組み、これからの未来の仕組みを構築しようとしていて、ハイブリッドなシステムとも言えます。

―コイン東京
本日はありがとうございました。

 

コイン東京

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