4月15日に仮想通貨取引所ビットポイントジャパンの小田玄紀氏がデジタルトークンを活用した社会貢献案の考えを自身のブログに公開していました。

これが実行できれば、現在議論の中心になっている給付金の問題や経済の落ち込みもスマートに解決できるのではないかと思います。

ツイートも記事執筆時点において、28RT、96いいねと反響が大きい模様。

その内容をまとめましたので、是非ご覧ください。

参考:『デジタルトークンを活用した経済復興の可能性

小田玄紀氏が考えるデジタルトークンの設計と活用方法

政府としてデジタルトークンを発行する

【トークンの簡単な特徴】

  • ・国民一人に対して10万トークン(10万円相当)を発行
  • ・1トークン=1円として日常的に使うことができる
  • ・1年以上使われない場合は自動的に0円となる
  • ・使用した場合は受け取った人が3%増加
  • ・1か月以上使わない場合は5%減少する設計
  • ・1年後に政府が1トークン=1円で買い取る

【トークンのプログラムなど】

  1. ①はじめに各ウォレットに10万トークンを入庫
  2. ②1年以上トランザクション(移動)が無い場合は自動的にバーン(償却される)ようにプログラム
  3. ③1トランザクション毎に3%が自動的に増加する設計
  4. ④30日間トランザクションが無いウォレットからは5%を自動的に減算するようプログラム
  5. ⑤1年後にはトランザクションができないように設計。また残高として表示がされ、政府が買い取った際には0円となるようにする
    ※政府専用ウォレットをつくり、そこへのトランザクション履歴を買取のエビデンスとする

 

デジタルトークンはどこで利用するのかという疑問が出てくると思いますが、昨年よりモバイルペイメントが普及していることから、これらのモバイルペイメントとQRコードのAPI連携をするだけで簡単に決済連携はできるといいます。

はじめのデジタルトークンを配布する際には、以下の3つの方法を提案しています。

  • ・一世帯2枚の布マスク配布と結び付け、初期設定をする登録画面のQRコードを配布する
  • マイナンバーカードを持っている人は、ログインをした画面にQRコードを表示する
  • eKYC(ネット上で本人確認が完結する方法)の活用

財源問題

これらの対応を行った場合、一人10万円とすると12兆円程度の財源が必要となります。ただし、これについては現在政府与党としても一人10万円の配布を考えているので、その財源をそのまま活用すれば追加のコストは不要。もちろん店舗だけでなくネット決済も可能なため、自粛をして在宅で仕事をしていても問題なく決済ができる。

通常、これから補正予算を検討するとした場合1か月は掛かる。しかし、このトークン開発から決済システムへの繋ぎこみについて、政府・モバイルペイメント決済会社・仮想通貨交換業者が協力することができれば開発自体は2週間~1か月で十分に完成するといいます。

期待できる経済効果と財源

小田玄紀氏によると、デジタルトークンの活用で非常に大きな経済効果が期待されるといいます。

  • ・12兆円の原資で570兆円の経済効果
  • ・新型コロナウイルスによる経済自粛でGDPが50%減(270兆円)になったとしても十分カバー可能

【デジタルトークンの循環例】

  1. 1.AさんからBさんに対して10万円を支払い
  2. 2.Bさんのウォレットには3%増の10万3000円残高が増加
  3. 3.Bさんが10万3000円をCさんに支払い
  4. 4.とCさんは10万6090円の残高が増加

インチキ防止策としては、1日で3%が増えるのは1回の送付までと制限をかけたり、ブロックチェーンのため送付履歴は全て監視ができる特徴により簡単に解決できるといいます。

経済効果

なお仮にこの取引を30回行った場合、当初の10万円は23万5000円。

最大の特徴は1回目から30回目までの累計額として475万円の経済効果になるといいます。つまり、10万円が475万円と実に47倍の経済効果を生むことになるのです。

仮に初期の原資が12兆円とした場合、上記の資産に当てはめると12兆円により570兆円の経済効果。

日本のGDP:550兆円程度(2019年)
新型コロナによる経済自粛により50%減 → 270兆円
デジタルトークンによる最大の経済効果 → 570兆円
2020年の日本の想定GDP → 840兆円

また、このデジタルトークンは国内でしか使えないようにすれば、富が海外へ流出することがないというメリットもあるという。

財源問題

1年後に政府が買い取る際にも、10万円が23.5万円になるため12兆円の場合は28.2兆円。この財政支出は消費税でカバーできる可能性がある。

計算例:570兆円の経済効果 ×10%の消費税 = 57兆円
※仮受消費税・仮払消費税などもあるので、そのままイコールになる訳ではない

参考までに、2019年度の消費税税収が約22兆円弱。今回の570兆円はほぼ民間取引なので30兆円以上の税収は期待できるそう。

仮想通貨交換業者としての問題

これが実現できれば素晴らしいのですが、小田玄紀氏によると仮にこのデジタルトークンが出来ても、仮想通貨交換業者として収益をあげるポイントがひとつもないといいいます。

ただ、2018年の価格急落や大規模なハッキング問題など仮想通貨に対してネガティブなイメージを持っている人が多いため、デジタルトークンやブロックチェーンによる社会貢献としての取り組みが業界のイメージアップになれば良いといいます。

 

インターネット以来の発明と言われているブロックチェーンが、歴史的な危機である新型コロナウイルスによる経済危機を脱する鍵となることを期待したいですね。

 

参考:『デジタルトークンを活用した経済復興の可能性