先週から米国株のゲームストップを中心としたから急騰劇が、投資家の注目を集めています。

Redditと呼ばれるコミュニケーションサイトに個人投資家が集まり、ヘッジファンドが空売りを行っている銘柄を一斉に買い上げてショートスクイーズ(空売りの締め上げ)を狙って相場を急騰させました。その結果、2020年には2.5ドルだったゲームストップの株価は一時483ドルまで急騰しました。

結果的に、空売りを行っていたヘッジファンドはポジションを買い戻すしかなくなり、ヘッジファンドVS個人投資家の戦いは、個人投資家が勝利することになったわけです。なお、Reddit内では投資関連の話題を話す「ウォールストリートベッツ」が特に人気のようです。

さて、これをみた仮想通貨(暗号資産)投資家が、同じようなことを考えたようです。

韓国人投資家がXRPの買い煽りを行ったことをキッカケに世界中に波及。ウォールストリートベッツのキャラクターを使ったイラストで、XRPが急騰する様子を示していました。

この影響か、リップルに関する材料が無いなかで、価格は1月30日から3日間で30円から69円まで急騰しました。

◆リップル(XRP)日足チャート

そのイラストを見てみましょう。

現在価格0.35ドル(36.4円)ですが、目標価格は140ドル(1万4560円)となっています。上昇率は400倍にもなります。

では、これは現実的に起こり得るのでしょうか。

イラストを見てみると、2017年から2018年にかけてXRPがそれだけの上昇となったため、今後もそうした上昇が起こるというチャートパターン分析となっているようです。当時は、仮想通貨ブームがXRPの上昇を後押ししたという強力な材料がありました。しかし、現在はそのような好材料があるわけではなく、むしろSECから提訴されているという悪材料があります。

ですが、ゲームストップのように買い手がいればそれだけ相場は上昇します。

どれだけの資金が流入する必要があるのかという視点で考えてみましょう。

XRPが140ドルとなった時に、その時価総額は673兆9662億円となります。これは、ビットコインの時価総額70兆円を上回るばかりでなく、時価総額が最大の株式であるアップル(約230兆円)を上回ることになります。

そもそもXRPの時価総額がビットコインを超えたことは一度もなく、先日までは取引所で取引されるようになって1年も経っていないポルカドット(DOT)に抜かれている状況でした。そのため、これだけの金額がXRPに流入することは、まず有り得ないといって良いでしょう。

ゲームストップの場合は、最高値でも時価総額は450億円程度まででしたから、ヘッジファンドのショートカバーもあり上昇したのでしょう。また、個別株オプションであったために、より値動きが激しい相場になったといえます。

XRPはというと、売り手はリップル社という最大の保有者がいますが、空売りを行っているわけではありません。また、SECに提訴されたということもあり、機関投資家はXRPをほとんど保有していないでしょう。むしろ高値まで上昇したところでは、喜んで売ってくる可能性があります。

こういう状況を考えると、XRPが140ドルにまで上昇する可能性は極めて皆無であることが分かるでしょう。

また、過去のXRPの上昇トレンドは短く、2カ月程度で終了しています。勢いづけば史上最高値にトライする動きは見せるかの知れませんが、長く上昇が続く可能性は低いのではないでしょうか。


なお、この状況に便乗したのか、TRONの創設者であるジャスティン・サン氏がツイートを行っています。

市場を乱高下させるいわゆるPUMP行為は、ゆくゆくはレバレッジの引き下げや取引規制などにつながると考えており、健全な取引が行われることを願うばかりです。