2020年9月から2021年1月8日にかけて、ビットコインは100万円台から400万円を超えるまで上昇しました。
これを見て、ビットコインの取引を始めた投資家の方も多いのではないでしょうか。
今回は、なぜこれほどまでにビットコインが上昇したのか。投資初心者向けにやさしく解説していきます。
キーワードは次の2つです。
①インフレヘッジ
②アセットマネジメントの参入
①インフレヘッジ
2020年に世界的な大規模金融緩和により法定通貨の価値が低下しました。
それまでは、南アフリカランドやトルコ、ブラジルなどの新興国で価値の保存として利用されていたビットコインが先進国にも拡大しました。金(ゴールド)に代わるインフレヘッジの手段として、著名投資家からも注目されることとなったのです。
これが、2020年にビットコインに起きた劇的な変化です。
これまでの投機的な側面から、価値を保存する手段に変わりつつあるのです。
4月には、仮想通貨投資会社のギャラクシーデジタルの会長兼CEOであるマイクノボグラッツ氏が、ビットコインに投資したことをCNBCで公表。その規模は100億円程度ではないかと推測されています。
7月には、仮想通貨の投資信託大手であるグレイスケールの保有するビットコインが39万BTCにまで膨れ上がり、その時価総額は4870億円となりました。
4月と8月に米国で新型コロナ対策としての給付金が支給された際には、コインベースなどの仮想通貨取引所に同額の入金が殺到。個人投資家がビットコインを購入し、価格を押し上げる現象が起きました。
8月には、世界中を驚かせる出来事が起きました。
ナスダックに上場するマイクロストラテジー社が、約263億円ものビットコインを購入したのです。同社は9月にも約184億円規模のビットコインを追加で購入。自社の準備金の9割をインフレヘッジとしてビットコインに置き換えたのです。さらに、12月にはビットコインを購入するための社債を発行。670億円を調達し、ビットコインを買い増ししました。
ビットコインが400万円の時には、含み益が2734億円にまで増加した計算になります。
10月になると、決済企業でありビットコインの売買アプリを提供しているスクエア社が53億円相当のビットコインの購入を発表。
その後は、3億人のユーザーを誇るペイパル社が暗号資産関連サービスを開始すると発表しました。これにより、ビットコインを購入する人が拡大するという思惑が高まり、価格は大きく上昇。
11月になると、人民日報が中国での仮想通貨を規制すると報道。中国では、2016年あたりからビットコインがキャピタルフライト(資産逃避)として使われていました。それができなくなることを恐れた中国の方が慌ててビットコインを購入したために、上昇に拍車が掛かりました。
上昇をさらに加速させたのは、テスラのCEOであるイーロン・マスク氏がビットコインに関してツイートしたことがキッカケでした。
このツイートにマイクロストラテジーのCEO、マイケル・セイラ―氏がコメント。テスラ社が保有する資産をビットコインにすることで、株主に1兆ドル以上の利益をもたらすとツイートしました。
テスラ社の準備金はおよそ1400億円ほどあることから、テスラ社によるビットコインの購入の思惑からビットコインはさらに上昇することとなったのです。
②アセットマネジメントの参入
12月11日に、マスミューチュアル生命保険が1億ドル(約104億円)をビットコインに投資すると発表しました。
金額もさることながら、生命保険会社がビットコインに投資することはこれが初めてでした。そのため、投資業界では「エポックメイキング≒新時代がきた」ともてはやされ、190万円付近で推移していたビットコインを大きく押し上げることとなりました。
これまでヘッジファンドのような運用会社は参入していたものの、その業界の運用資産規模は200兆円程度。しかし、保険・年金マネーを運用するアセットマネジメント業界の運用規模は5000兆円と桁違いなのです。
1月20日には、運用金額最大(約830兆円)を誇るブラックロックが投資信託を通じて仮想通貨投資に乗り出すことが判明しました。
このように、仮想通貨業界にはかつてない規模で資金流入が進んでおり、参入の間口も広がっているのです。
クリプタクトさんとの動画でも詳しく話していますので、そちらも是非ご覧ください。
撮影日:2020年11月26日(木)