2020年は、コロナショックにより世界中の中央銀行が大規模な金融緩和を実施。その結果、相対的にビットコイン価値が高まり、価値の保存という役割が注目された1年でした。そして、インフレヘッジとして購入する投資家や企業が後を絶たず、直近ではマスミューチュアル生命のようなアセットマネジメントも仮想通貨市場に参入。イーロン・マスク氏のツイートにより、テスラ社による購入も期待されています。
参考:マイクロストラテジーCEOがテスラCEO、イーロン・マスク氏にビットコインの購入を薦める
2020年のわずか1年間で供給された緩和マネーの量は凄まじく、リーマン・ショック以降に市場に供給された量とほぼ同じになるほどです。
G10の中央銀行による量的緩和の推移グラフをご覧ください。
出所:zerohedge
このグラフをみると、2020年の緩和マネーの量はおよそ10兆ドルを超えてます。
12月のFRBとECBの緩和は含まれていないため、それらの2兆ドルを加えると、12兆ドルを超える規模となります。こうした緩和マネーの影響もあり、NYダウはリーマン・ショック時と比較して3倍以上に上昇。ついに3万ドル超えを達成しました。
バイデン次期大統領は今後も経済対策を行うと明言していますし、FRBにはハト(緩和的)派なメンバーが多く、財務長官にはハト派として有名な元FRB議長のイエレン氏が就任予定となっています。
中央銀行が輪転機を回しお札を刷り続けるかぎり、今後の4年間でNYダウは5万ドルを付ける可能性もあるでしょう。
これだけの金融緩和を行ったのですから、ドルをはじめとした法定通貨の価値が毀損しました。その代わり、株式や貴金属、非金属の価格は上昇しました。紛れもないグローバルインフレの兆候でしょう。
そしてやはり、なかでも最もパフォーマンスが良かったのは仮想通貨でした。これは金融・経済界にセンセーショナルなインパクトを与えられたと思います。
FXトレーダーにとっては理解しやすいのですが、特にトルコリラはビットコインに対して大きく売られました。
◆ビットコイン(BTCTRY)チャート
出所:Tradingview
また、ビットコインを始めとする非中央集権的な仮想通貨への資金流入が目立った年でもありました。リップルやネムの発行体が大部分を管理する仮想通貨のパフォーマンスは低く、中央銀行や政府に対抗して誕生したビットコインの狙い通りというところでしょうか。
特にリップルは、リップル社とその関係者が米証券取引委員会(SEC) から提訴されたことで、今後も厳しい展開が予想されます。
参考:リップルショックのまとめと今後の相場展望 XRPはどこまで下落するのか
さて、10兆ドルの緩和マネーの流入により、半減期後にビットコインの時価総額は20兆円から60兆円へと上昇しました。ざっと緩和マネーの4%程度が、ビットコインの時価総額を押し上げた計算になります。
もちろん、ダイレクトにビットコインに流れたのではなく、もともとドルなどの法定通貨や株式や金などのごく一部がビットコインに置き換わったのでしょう。しかしこの数値は、今後金融緩和が行われた際の参考指標となるのではないでしょうか。