12月22日に米証券取引委員会(SEC)が、リップル社とブラッド・ガーリングハウスCEO、共同創設者のクリス・ラーセン氏の幹部を提訴したことで業界に激震が走っています。
リップルの価格が1日で50%以上も急落したことはもちろん、リクイディティ・プロバイダ―などの関連サービスや販売所を停止する交換業者もでてきています。
この問題のまとめと、今後の相場展望を解説していきます。
◆リップル(XRP/JPY)の1時間足チャート
SECの訴状内容
SECの訴状内容によると、リップル社などは2013年から約7年間に渡りXRPを販売。有価証券登録を行っていないXRPで1300億円以上の資金調達をしたと主張しています。これが、証券法違反にあたるようです。
2012年にリップル社は、XRPが有価証券に該当する可能性があるとの法的助言を法律事務所から受けていたにも関わらず販売を行ったとされています。
これに関して、ガーリングハウス氏は、リップル社の弁護士のコメントを掲載し反論。SECは事実は完全に間違っており、XRPは、SECがビットコインとイーサリアムを認定したように、通貨であり有価証券ではないと主張しています。
また、司法省と財務省などの米主要政府省庁がXRPを通貨とみなしているため、そもそもXRPは連邦証券法の管轄外にあるとしています。
なお、この訴状内容には、XRPの上場のために10社以上の取引所に上場手数料を支払っていたことや、 最大約800億円相当のXRPを、市場価格の15%〜30%安く購入できる契約を結んでいた(インセンティブ・プログラム)に関しても書かれていました。
これがSNSでどこの交換業者がインセンティブ・プログラムを契約しているのか大きな話題となっています。
また、ガーリングハウス氏が、SBIホールディングスCEOの北尾吉考氏の「Wow,XRP at all time high!Forget bitcoin,we're all in on XRP!」というツイートをリツイートしたことまでこと細かく書かれています。
※訴状の311、52P
インセンティブ・プログラムとは
このプログラムは、一言でいうとXRPを市場価格より安く購入することができるというものです。交換業者は、XRPをリップル社から購入。市場で売却すれば大きな利益が得られます。
一部の業界関係者には良く知られた話で、これがXRPの価格が上昇しない一因とも考えられていました。
ビットフライヤー(bitFlyer)創業者の加納裕三氏は、リップル社からの提案がありそれを拒否した旨をツイートしています。
【インセンティブ・プログラムを否定しいてる国内の交換業者】
- bitFlyer
- Coincheck
- BITPoint
- GMOコイン
- DeCurret
交換業者などの動き
SECの訴状を受け、交換業者を始めとする関連企業に大きな動きが出ています。
仮想通貨(暗号資産)マネジメント企業でビットコインETFにも積極的なビットワイズはインデックスからXRPを除外。保有するポジションを全て清算しました。
また、著名投資家であるマイク・ノボグラッツ氏が経営するギャラクシー・デジタルとジャンプトレーディングはXRP流動性提供を中止しました。
下落が止まらないXRPを受けてか、Huobi JapanとDeCurretでは販売所を停止。GMOコインのレバレッジ取引では、売り規制がかかっています。
そのため、国内でXRPを空売りできる交換業者はDMM BitcoinとTAOATOのふたつでしょうか。
IPOを申請予定とされている米大手交換業者コインベースは、既に弁護士と話し合っており、早ければ12月25日にも結論が出るとされています。
なお、リップル推しとして知られている北尾氏は、リップル社の勝利を信じているとツイートしています。
今後のXRPの動き
今後は、リップル社らがSECと和解するかどうかが焦点となるでしょう。
いずれにせよ需給は非常に悪く、今以上の価格の下落は避けられないと予想できます。市場供給量を考えると0.5~3円程度、つまり2017年の仮想通貨ブーム以前の価格帯に戻るのではないでしょうか。年内に10円を割り込む場面があるかもしれません。
ただし、市場は極端にショートポジションに偏っています。そのため、一本調子に下落し続けるのではなく、どこかで大きくショートカバーが発生することも考えられます。
無事、和解となりSECやその他金融当局の管理下に置かれれば、まだ3円以下は避けられるのではないでしょうか。
リップル社が、スパークトークンをXRPと1:1の割合でエアドロップしたことは、こういった動きを考慮したものだと考えます。