6月から、世界最大の取引高を誇るバイナンスに対し当局からの警告や金融機関によるサービス停止が相次いでいます。
これにより、20%ほどあったバイナンスの取引高シェアは10%程度も落ち込み、7月19日時点では10%ほどになっています。
出所:coinhills
直近のバイナンスに関するニュース
- 金融庁が無登録で国内居住者に金融サービスを提供したとして警告
- 英当局による国内の営業禁止
- バークレーズ銀行、Santander UKのバイナンスへの送金停止
- バイナンスのユーロ建て入金を停止
- 英決済プロバイダーのクリアジャンクションのサービス提供を停止
- リトアニアや香港当局から警告を受けた
同時期に、デリバティブ取引大手のbybitも警告を受けています。
バイナンスは2018年にも金融庁から警告を受けています。同年、海外交換業者が日本人へのサービスの提供を終了したことに加え、フォビ・グローバルやHitBTCなどのように日本からのアクセスができなくなる交換業者やユーザーアカウントを閉じる交換業者もありました。
その際に、トラブルの元となったのが本人確認(KYC)です。
国内外の交換業者を利用していたAさんは、とある海外業者のウォレットに入れていた仮想通貨(暗号資産)を引き出そうとしました。その交換業者では、小額だったため本人確認を行っていなかったようです。いざ、仮想通貨を引き出そうとすると、本人確認が求められ、同時にウォレットの正確な残高を通知するように交換業者から連絡がきたそうです。
果たして、金融口座の端数単位まで残高を憶えているユーザーはいるのでしょうか。
結局、Aさんは何度かそれらしい数字を通知したものの、当然残高が合うはずもなく引き出しを諦めることとなりました。
このトラブルに対して、複数の国内交換業者に勤務し、現在は仮想通貨の運用業務を行うS氏に対応方法を訪ねてみました。
結論としては、本人確認をしていなければメールアドレスなどでは証明が弱く、泣き寝入りするしかないそうです。
「道に落ちている財布を自分のものと主張しているのに近い」ためだそうです。
本人確認を行っていれば、自身のモノだと主張できるため、引き出せなかった場合は国内で被害届けをだして日本の警察から海外当局へ照会。そこから交換業者へ調査が入るという流れなのだとか。
また、本人確認を行っていても、ある時に再度本人確認を求められる場合があるそうです。
個人投資家のM氏は、大手交換業者で再度本人確認を求められ、オンラインで面接。3週間以上、アカウントがロックされたのち、ようやく使えるようになったそうです。
なお、返金対応は警察の役割ではなく交換業者が登録されている国の弁護士が担当となるため、非常に煩雑な手続きと時間が必要になるそうです。
そうならないためにも、もし海外の交換業者を利用している人は、今一度本人確認とその見直しを行うとよいでしょう。
※交換業者とのトラブルは、交換業者や利用者次第で対抗が異なる場合が考えられます。海外交換業者の利用はこのようなリスクが伴いますので、十分ご注意ください。