<解説及び着目点>
12月第3週の暗号資産売買マーケットは、時価総額トップのビットコイン(ティッカー:BTC)が狭いレンジで上下動に終始、不安定な相場展開が続きました。
12月10日に発表された11月の米国消費者物価指数(CPI)が約40年ぶりの伸び率(前年比+6.8%)となったことや、米国連邦公開市場委員会(FOMC)開催を控え、テーパリング(資産買い入れ縮小)ペースの加速議論など、インフレに対する不透明感を懸念する伝統的なマーケット(株式、債券等)に投資家の目線が集中する一方、暗号資産は放置された格好です。
暗号資産の代名詞となっているビットコインですが、なにもビットコインだけが暗号資産ではありません。
ビットコインは暗号資産の時価総額トップを走り続けていますが、そのポジショニングは低下しています。暗号資産全体の時価総額に占める各暗号資産のウエイトをドミナンス(%)と呼んでいますが、ビットコインのそれは、売買マーケット当初こそ95%以上でしたが、現在は40%程度となっています。全体の4割を占めているのですからまだまだBTCが暗号資産全体を主導すると考えるのが妥当かもしれません。
ただ、ビットコインに続くイ-サリアム(同:ETH)などのアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)が急速にその存在感を高めています。非中央集権的なビットコインに対して、技術的な優位性や、暗号資産固有の事業性、ビジネス拡張性などの特色から、その地位は増加しているのがここ1年位の特徴です。
暗号資産売買マーケット市場でも、イーサリアム先物の上場や、イーサリアムやソラナ(同:SOL)を中心とした暗号資産指数や、投資信託、ファンドの立ち上げが相次いでおり、市場の目線がビットコイン以外に向いているのが実態です。
暗号資産ホルダーとして有名な米テスラCEOのイーロンマスク氏が「ビットコインよりもドージコイン(同:DOGE)が決済には優れている」といった発言など、アルトコインに関するニュースフローが増大し続けているのです。
JDR.株式会社で算出しているJDR.Index(ジェーディーアールインデックス)は暗号資産マーケット全体を観察する指標として便利で、同指標の12月第3週のパフォーマンスは-2.7%の下落、ビットコイン単独では-1.6%の下落となりました。殆どの暗号資産のパフォーマンスは±5%のレンジに納まっており、値動きが無かったことを象徴しています。JDR.が個別で格付け(レーティング)しているコインでは、オーケービー(同:OKB/上昇率+19.6%)や、アバランチ(同:AVAX/同+14.2%)が大きく上昇した他、インターネットコンピュータ(同:ICP/-14.8%)が大きく下落しました。
分析の詳細及び12月4週の注目ポイントはこちら(ドミナンス上昇が続くアルトコイン)からご覧いただけます。
暗号資産マーケットに関連する主要な出来事及び相場回顧、翌週の注目点をピックアップします。
(対象期間:前週金曜午後~金曜日午前)
12月11日(土)~12月13日(月)
👉BTCハッシュレート、7ヶ月ぶり過去最高を更新
👉南アの規制当局、暗号資産投資家を保護するための枠組み導入を検討
👉米フロリダ州、暗号資産推進予算案発表
👉カザフスタン、CBDC導入を22年内に決定へ
👉暗号資産取引所AscendEX、約8000万ドル不正流出 ERC-20、BSC、Polygonのホットウォレットが被害
👉IMF、「暗号資産には国際的な規制枠組みが必要」
👉ブラジル、環境負荷の低いBTCマイナーに免税検討 へ
👉バイナンス、インドネシアに暗号資産取引所を設立
12月14日(火)
👉イングランド銀行、暗号資産を国内だけではなく、国際的に規制を強化する必要
👉350以上のドイツ貯蓄銀行、暗号資産取引サービスの提供を検討
👉ミャンマー民主派、USDT(テザー)を公式通貨として採用を宣言
👉UAEの政府系ファンド、ブロックチェーン産業などに投資
12月15日(水)
👉UAE政府系ファンドCEO、暗号資産の将来性を評価
👉イーロン·マスク氏、「テスラ一部商品の決済でドージに対応、BTCよりドージが支払手段に適している」
👉イーサリアム財団、イーサリアムについて「クライアントインセンティブプログラム」という奨励プログラムを発表
👉ウクライナの銀行、ソブリンデジタル通貨をテスト、ステラネットワーク利用
12月16日(木)
👉米FOMC、テーパリング加速決定、終了時期見通しが前倒し(22年6月⇒22年3月)
👉FRB議長、「暗号資産による金融安定性混乱を懸念せず」
👉バイナンス、インドネシアキャリアと暗号資産取引所を設立
👉米ヴァルキリーの暗号資産業界関連ETF、ナスダックに上場
👉インドの暗号通貨規制法案、議会提出が来年に持ち越しの可能性
👉米コインベース、SECへGBTC(グレイスケール投信)のETF化を承認要請
12月17日(金)
👉英中銀、予想外の利上げ-新型コロナの影響よりインフレを重視
👉SBIが暗号資産ファンド、国内初の個人向け
👉ロシア中銀、暗号通貨投資の禁止を検討か
👉大手投資会社KKR、暗号資産企業に初めて直接投資(カストディ銀行のアンカレッジ)
👉イーサリアムL2採用のReddit、SECに株式上場申請へ
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