週末から金融市場の状況が大きく変わってきました。
米国でインフレが加速しており、早期の金融引き締めが進むとの懸念から株式市場が急落しています。特に、新興企業の多いナスダックは高値から20%ほど急落し、週明け月曜日には一時1万3000を割り込む寸前まで売り込まれました。
その状況に、ウクライナの情勢の悪化が拍車をかけることとなりました。
ウクライナ情勢がなぜ金融市場に影響を及ぼすのかと、疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、2014年に起こったクリミア危機では、ウクライナ政府軍と、親ロシア派の武装勢力や反ウクライナ政府組織との紛争が起こりました。この時に、株式市場は10%以上急落することとなったのです。なお、この紛争でのロシア軍の関与は否定されています
ウクライナ方面は、ロシアが黒海側に出るために重要な地理となります。
この時代背景があったところ、昨年末からウクライナとロシアの国境付近には、10万人規模のロシア軍部隊が集結しているとの報道があり緊張感が高まっていました。
ロシアはウクライナに対する軍事行動を計画していないと主張していますが、英国がウクライナの大使館職員に避難を呼びかけたという報道から、一気にリスクオフが加速し金融市場が冷え込むこととなりました。大使館の職員が避難するということは、ロシアによる軍事的脅威が高まった証拠です。
その後は、米国防総省が8500人規模の地上部隊に警戒態勢を要請し、ウクライナへの派遣を匂わせました。元々、バイデン政権は、ロシアのウクライナ問題に対して経済制裁で対応するというスタンスでしたが、ここにきて軍事行動も加える可能性を出してきたのです。この機会に、強い大統領という印象を付けることにより、支持率回復を狙っているのかもしれません。
米軍がウクライナに入れば、ロシアが侵攻する可能性は非常に低くなるため、戦争回避の思惑で、目先は底打ち材料となっているのではないでしょうか。
昨日から仮想通貨市場は反発しており、BNBやSOLなどのビットコインよりも上昇率が高い主要アルトコインが多いことから、腰の入った買い手がいることが分かります。
今夜のFOMCでのサプライズの可能性
ロシア情勢に振り回されたここ数日でしたが、明日の早朝にはFOMCの結果が出て、パウエル議長の記者会見が予定されています。
市場予想では、政策の変更は予定されていませんが、予想外に1月でテーパリングを終了することや、予想以上にタカ派的な発言を出してくるリスクも警戒する必要がありそうです。
1月からFOMCの投票権があるメンバーは、よりタカ派が多くなっていることから、これは十分考えられそうです。筆者が元外銀ディーラーの方にアドバイスを求めた中でも「消費者物価が7%である今、FF金利を1%上げても2%上げても変わらないため、金融引き締めを急ぐことは自然」とするコメントをいただきました。
市場にFRBがどの程度のスタンスでいるのかを明らかにするために、明日早朝に予定されているパウエル議長の発言は非常に注目といえそうです。