3月22日に、日本暗号資産取引業協会は、国内業者の審査を簡略化するための制度である「グリーンリスト」を導入しました。
同時に、ホワイトリスト入りする新規取り扱いの仮想通貨(暗号資産)の審査プロセスの改善を発表しました。
これにより、国内仮想通貨業者が新規で取り扱う仮想通貨の数が急増。昨年は、11だったホワイトリスト入りの暗号資産は、今年6月時点で既に14種類となっています。
今回は、国内交換業者の取り扱いに大きく影響した「グリーンリスト」と「審査プロセスの改善」に関して解説します。
グリーンリスト
グリーンリストとは、国内仮想通貨交換業者が審査無しで取り扱うことができる仮想通貨のリストのことです。
6月末時点において、18つの仮想通貨が登録されています。
暗号資産 | 取扱会員数 |
---|---|
BTC/XBT | 30 |
ETH | 30 |
BCC/BCH | 24 |
LTC | 22 |
XRP | 20 |
DOT | 11 |
BAT | 10 |
XLM | 10 |
ENJ | 8 |
MONA | 8 |
XYM | 8 |
ETC | 7 |
QTUM | 7 |
XEM | 7 |
OMG | 6 |
IOST | 5 |
LSK | 4 |
XTZ | 3 |
出所:日本仮想通貨取引業協会
リストに入る条件は、次の4つのを満たす仮想通貨となっています。
- 3社以上が取り扱いがある
- 1社が取り扱いを開始してから6カ月以上の期間が経過している
- 取り扱いにあたって、協会が付帯条件を設定していない
- 協会で本リストの対象とすることが不適当とする事由が生じていない
リストに登録された仮想通貨は、取り扱いを希望する業者が自社で調査や評価を行えば、協会の審査無しで取り扱うことができます。ただし、定期的なモニタリングや監査において、協会による事後的な確認は行われるそうです。
これにより、新規で登録された交換業者がひとつの仮想通貨の取り扱いに掛かる工数や時間及び費用が大幅に短縮されたことになります。
従来では、400問以上の質問を埋め、第3者機関による評価や書類の作成に数百万円もかかるケースがあったといいます。
審査プロセスの改善
同時に発表された審査プロセスの改善は、国内業者にとって大きなプラスとなったようです。
昨年6月にPayward Asiaの代表である千野剛司氏が協会の副理事に就任した際に、見直すべき箇所として声高にメディアに発信していたことが実現。新規ホワイトリスト入りの数を見ると、その成果が出てきていることは明白といえます。
審査プロセスの改善は昨年10月頃から先行して開始されていたそうです。導入後には、審査の高度化とプロセスの効率化が図られたことで、業者の審査水準の底上げや、評価及び取り扱い観点のバラつきが収れん。協会と金融庁などの当局との情報確認と質疑プロセスの効率化が進んでいるそうです。
どれくらい改善されたかというと、グリーンリスト以外の仮想通貨は半年から数週間に。新規ホワイトリスト入りの仮想通貨に関しては、8カ月から1年以上掛かっていた期間が1カ月~2カ月程度にまで短縮されたようです。
出所:日本仮想通貨取引業協会
今年に入ってから特に目立つ動きをみせているのが、国内企業が発行している仮想通貨の取り扱いです。
ディープコイン(DEP)やコスプレトークン(COT)に加え、4月5日にコインマーケットキャップに掲載されたばかりのゲンソキシメタバース(MV)も6月29日にホワイトリスト入りしています。
また昨年、ネットワークの問題により大規模な資産流出事件があったポリゴン(MATIC)やGMOコインでIEOを行ったFC Ryukyu Coin(FCR)の取り扱いもあるなど、これまでとの大きな差に驚きがあります。
昨年この話が出てきた6月ごろの協会関係者の話によると、「協会の審査改善により米国コインベース程度の取り扱い銘柄数まで増やせるのではないか」という見解でした。
当時米コインベースの取り扱いは50程度でしたが、現時点では201となっています。
このペースで国内仮想通貨業者が取り扱い仮想通貨を増やし続けられると、年内のホワイトリスト入りしている仮想通貨は70を超えることになるかもしれません。