月曜日に、グローバル大手交換業者の創設者兼CEOであるCZ氏が、大手交換業者FTX発行のFTTトークンを売却していくとツイート。これと財務状況悪化の懸念で仮想通貨(暗号資産)相場が下落していました。昨晩、バイナンスがFTXを買収する旨が発表されるなど、早い展開が起こっています。
現在、分かっている状況をまとめました。
【前提情報】
・Alameda ReserchはFTXの親会社の投資会社
・FTTは取引所FTXが発行するトークン
【騒動の流れ】
① 11/3 CoinDeskがAlameda Reserchの財務状況を報道
② 11/5 ※クジラアカウントが2300万FTTをBinanceに送金
③ 11/6 Alameda ReserchのCEOが「貸借対照表に判定されていない100億ドル以上の資産がある」と発言
④ 11/7 CZ氏がFTTを売却していく旨を発表
⑤ バイナンスがFTXを買収すると発表
※(資金を多く持っているアカウントを指す言葉)
11月3日
海外仮想通貨メディアCoinDeskが、6月30日時点におけるAlameda Reserchの一部財務状況が、146億ドルの資産、80億ドルの負債を保有していると報道しました。
FTXの親会社であるAlameda Reserchの資産の多くがFTXが発行するFTTトークンであることが問題視されました。
11月6日
Alameda ReserchのCEOが「貸借対照表に判定されていない100億ドル以上の資産がある」と発信し、ローンのほとんどは返却済みであることもツイートしました。
11月7日
0時47分、CZ氏が昨年にFTXの株式からの撤退する際に受け取った21億ドル相当のBUSDとFTTのうち、同社が保有するFTTを売却することをツイーターで発表しました。これで大きく相場が下がることになりました。
続いて、CZ氏は市場への影響を最小限に抑えるために、数カ月にわたって売却を行なっていくと発言しています。
11月8日
FTTが急落し、FTXで出金遅延が確認されました。
11月9日
午前1時過ぎにCZ氏とAlameda ReserchのCEOであるサム・バンクマン・フリード氏の両氏が「バイナンスがFTXを取得し戦略的買収を行うための基本合意(法的拘束力は無し)を行った」とツイッターで発表しました。
この発表で仮想通貨相場は急騰し、ビットコインは280万円から300万円へと駆け上がりました。しかし、1時間が経過すると元の価格に戻り、そこから急落。ビットコインは年初来安値を更新するに至りました。
この値動きの要因を何人かの個人投資家に聞いたところ、主に2つが考えられるそうです。
① 週明けの騒動からわずか2日目にしてFTXがバイナンスへ救済依頼
②バイナンスがFTXを買収することにより、FTXの取引所トークン消滅への不安
これらにより、FTXは大丈夫だと思っていた投資家も売りに回ることになりました。
さらに、買収により急落しているFTXの取引所トークンであるFTTがBNBに置き換わる、つまり先日まで5000億円の価値があった仮想通貨が消滅してしまうことを恐れた個人投資家の売りが殺到したと考えられます。
さらに関連するソラナや、そのブロックチェーンを利用しているプロジェクトのトークンなどの規模は2兆円以上にも上ります。
この記事制作時点でも、ソラナの時価総額は1兆円以上あります。
なお、楽天ウォレット、シニアアナリストである松田康夫氏は、比較的底打ちは近いと予想しています。
これには、2018年11月に起きたビットコインキャッシュのハードフォークでの急落の際にも、悪材料出尽くしから翌12月に相場は大底を付けた事実があるからだそうです。
奇しくも、昨年の11月10日にビットコインは880万円の史上最高値を付けました。1年後に、このような状況に陥っていると予想できた人はほとんどいないのではないでしょうか。