Dropboxというと、世界的に普及しているクラウドストレージサービスです。他にクラウドストレージはいくつか有力なサービスがありますが、Dropboxは早い時期から大手として君臨してきただけに実績も豊富で、特に法人や官公庁など高い信頼性が求められる顧客を多く持っているところに強みがあります。
そんなDropboxが、静かに暗号資産のマイニング事業者と戦いを繰り広げています。ついにはこれまで業界を震撼させた無制限容量サービスを終了させる事態になり、暗号資産マイニングがもたらす影響の大きさに驚いた人も多いと思います。
Dropboxと暗号資産のマイニング、一体何が起きたのかをレポートします。
Dropboxが企業向け無制限容量サービスを終了
Dropboxのことを軽く解説すると、アメリカのクラウドストレージサービス企業です。クラウドストレージとはネット上にあるストレージ(データ保管場所)のことで、他の人とデータを共有したり喪失してはいけない大切なデータをバックアップするのに役立ちます。事実、筆者もDrobpoxはかれこれ10年近く利用しています。有料版を利用しているので、Dropboxの便利さや確実性には太鼓判を押しておきたいと思います。
そんなDropboxには、「Advanced」という企業向けのプランがあります。この「Advanced」の最大の特徴は、顧客が必要であれば無制限にデータ領域を使えることです。業種によっては膨大なデータを保管、共有する必要があるため、それに応えるのが「Dropbox Advanced」です。
Dropboxは2023年8月、この「Advanced」に付帯している容量無制限サービスを終了すると発表しました。無制限終了後は、15TBが上限になるとも発表しています。Dropboxを利用している立場で、この15TBもかなり膨大な容量です。普通に使用している人で1TBを使い切るのも難しいのではないかと思えるので、やはり企業向けサービスのスケールの大きさを感じさせます。
無制限ではなく、15TB。なぜ上限を設ける必要があったのでしょうか。
背景には暗号資産のマイニング
Dropboxが「Advanced」の無制限サービスを終了した理由として、2つの問題を指摘しています。
① 容量の再販、つまり又貸しのような行為が頻発したことも指摘
② 暗号資産のマイニング
ここで1つめに理由として挙げられた暗号資産のマイニングですが、これは容量を提供することで報酬が得られる仕組みを「悪用」したものと思われます。
すでに「オワコン化」が取り沙汰されているファイルコインも、そのひとつです。ストレージ空間を提供することでマイニング報酬が得られる仕組みで、これをDropboxの無制限プランで運用すればファイルコインのトークンであるFILをもらえそうな気もします。
実際にDropboxでどんなマイニングが行われたのかは真似をされるリスクもあるので公開されていませんが、おそらくこうした仕組みが問題視されたのだと思います。
確かに容量無制限だと果てしなくストレージ空間を提供できるので、自分でサーバーを運営することなく暗号資産のマイニングができそうです。あくまでも推測ですが、こうしたことに行き過ぎが見られたのでしょう。
同様の現象は他社のクラウドストレージにも
ちなみに、今回のDropboxの決定は意外なことではなく、他のクラウドストレージでも同様の問題が指摘されてきました。Dropboxの他に有名なブランドといえばGoogleのGoogle Drive、マイクロソフトのOneDriveなどが有力です。他にはBOXという新興勢力もあります。
これらのクラウドストレージでも法人向けの大容量プランで同様の行為があったようなので、今後同様の措置が広がる可能性があります。まさに暗号資産のマイニングはあの手この手ですが、このように行き過ぎたことをするとかえってアイディアが「悪用」と見なされてしまうので、マイナーは注意したいところです。
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