仮想通貨(暗号資産)のマイニングには、大きく分けて2つの種類があります。ひとつはPoWで、もうひとつはPoSです。
代表的な銘柄としてビットコインとイーサリアムは仮想通貨の時価総額の1位と2位を占める不動の二大巨頭ですが、この両者はそれぞれビットコインがPoWで、イーサリアムがPoSです。この2つのマイニングは何が違って、今後どう展開していくのでしょうか。マイニング投資家の視点で解説します。
PoWとPoSの違い
まずは、それぞれが何の略であるかについて解説しましょう。PoWとPoSは、以下のそれぞれの略です。
PoW:Proof of Work(仕事量で証明)PoS:Prrof of Stake(掛金で証明)
これだけだと何のことか分からないかもしれません。それぞれに「証明」とついているのは、何で仮想通貨の運営に参加するかという裏付けです。PoWはブロックチェーンを維持するための演算や記録という仕事の量で運営に貢献するに対し、PoSはStake(ステーク)といってその仮想通貨をどれだけ所有しているかによって運営に協力します。
当コラムで普段から解説している「マイニング」は、一般的にマイニングマシンをネットワークに接続してブロックチェーンの維持に協力し、また新たな取引記録の情報をブロック追加していくことを指しています。これは立派な仕事なので、PoWによるマイニングです。ビットコインがこの仕組みを採用しており、その他にもPoWを採用している暗号資産はたくさんあります。
これに対してPoSは、その暗号資産を所有することでそれが掛金となり、報酬を受け取る仕組です。たくさん持っている人ほどその暗号資産への貢献度が高いと見なされ、報酬額も大きくなります。イーサリアムがこのPoSを採用していますが、イーサリアムは2023年に大規模なアップデートを行い、その時にPoWからPoSに移行をしました。
2023年、イーサリアムは大規模アップデートでPoSに移行
イーサリアムのPoS以降は「マージ」と呼ばれる大規模アップデートにより実施され、それまでPoWだったイーサリアムは大胆な変化を遂げました。以前から仮想通貨のPoWには莫大な電力消費が伴うとして、環境や資源の保護という観点から批判的な見方があります。ある調査によると、ビットコインのマイニングに消費される年間の電力消費量はベルギー一国の量を上回るそうです。ヨーロッパの国ひとつ分の電力がビットコインを維持するために消費されているというのは、確かに問題視されても仕方ないでしょう。
そこでイーサリアムはそれまでのPoWを脱却し、電力消費量を大幅に削減できるPoSへの移行を決めたわけです。これにはもちろん、時価総額の1位であるビットコインとの差別化という戦略もあると思います。「ビットコインと違ってイーサリアムはエコな暗号資産」というイメージを定着させることで、今後もしかするとビットコインを上回る1位の座に君臨することがあるかもしれません。
これからのマイニングでは何を選ぶべきか
PoWとPoSはどちらも、マイニング投資として利益を狙うことができるビジネスモデルです。
それでは、これから参入するとなるとどちらを選ぶべきなのか、それについては暗号資産次第というのが実際のところです。ビットコインが今よりもさらに高騰するのであれば、PoWのために投資をしても採算をとれる可能性は高いと思います。しかし、PoWは批判が集まりやすいので今後はビットコインもPoSへの移行を目指すかもしれませんし、それ以前にビットコインは発行枚数の上限に近づいているので、そもそもマイニングで利益を上げるのは難しくなっていく可能性大です。
それではPoSはどうなのかというと、特にイーサリアムは最低投資額が結構大きいので、お金のある人限定のビジネスモデルです。ちなみに、イーサリアムのPoSマイニングは32ETHから参加できます。これを時価で計算すると80万円程度になります。さらにイーサリアムの価格が上昇すると100万円前後が最低投資価格となる可能性も高いので、最低限これだけの投資ができる人のみに与えられた投資機会です。
しかし、PoSはステーキングをしてから電力消費をすることもないので、一旦投資をしたら放置しているだけで利益になるので、長期的な目線で考えるとPoSは有望な選択肢といえます。
【新着・関連記事】
・「ビットコイン現物ETF」SEC初承認の誤報めぐり大荒れ
・HONDAが仮想通貨決済開始