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7月G20後の仮想通貨規制動向の予想:国際規制の連携はまだ先か

筆者: FinAlt

仮想通貨における国際規制の現状

2017年の価格急騰を機にその存在を世界に知らしめた仮想通貨ですが、業界を統制する規制はその成長速度に追いつけず、各国で方針のばらつきが存在します。

日本では、昨年4月の改正資金決済法の施行により仮想通貨が法的な決済手段として認められ、仮想通貨交換業の登録制度が導入されるなど、早期の業界整備が行われてきました。一方で、昨年9月には、中国が仮想通貨取引とICOを全面的に禁止し、それを追うように韓国もICOを禁止するなど、各国それぞれ足並みの揃わない不明瞭な状態が続いております。

こうした中、2018年3/19〜3/20にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれた20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議で仮想通貨の国際的な規制の枠組み作りがアジェンダとして挙がりました。同会で実質的な規制の進展はなかったものの、国際的な基準設定団体(SSB)による市場監視と7月のG20にてその結果報告を指示したことがコミュニケで発表されました。

「「拘束力」ある規制へ、FATFが今月検討:G20規制発表前の注目動向」でもお伝えした通り、G20の指示の下、仮想通貨市場を調査するSSBの一つ「金融活動作業部会(FATF)」が2015年に発表した規制方針案の見直しと、その「方針」を拘束力のある「基準」に格上げすることに関し6月の定例総会で検討することロイターより報道されました。定例総会後にFATFから何らかの発表があると予想されていましたが、公式声明も関係者からのコメントも発表されておらず、7/20〜7/21のG20まで結果報告が先送りされました。

今回は、主要国のこれまでの規制動向をまとめた上で、今月20日〜21日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されるG20での規制動向を予想します。

7月G20前の主要国規制動向概要

日本

金融庁は、今年1/27のコインチェックの不正流出事件以降、複数の仮想通貨交換業者に対し20件を超える行政処分を下し、積極的に厳格な規制体制を敷いてきました。

世界的に見ても、日本は仮想通貨業界における本人確認(KYC)・マネーロンダリング防止(AML)・テロ資金対策(CTF)と投資家保護政策を進めております。3月にコインチェックがMonero(モネロ)、Zcash(ジーキャッシュ)、Dash(ダッシュ)の上場廃止を発表したのは、匿名性の高い仮想通貨はマネーロンダリングに利用されやすいため、金融庁から何かしらの指示があった可能性が考えられます。

一方、前述した通り、金融庁による規制は業界整備を目的としたものであり、極端に市場を圧迫するような姿勢は示しておりません。先日には、仮想通貨交換業者に金融商品取引法による規制を適用するか否かの議論も開始されるなど、仮想通貨の「金融商品化」に向けた動きも確認されております。

仮想通貨が正当な金融商品となれば、「健全」なイメージが広がるなどのポジティブな一面がある一方で、仮想通貨の取り扱いにおけるハードルが上がってしまうというデメリットも懸念されます。

 

アメリカ

アメリカでは主に、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)と司法省(DOJ)が仮想通貨業界の規制に携わっています。今年に入ってからは、特に「ICOで発行されたトークンが証券に当てはまるか否か」という議論が加速しており、SECの動向に注目が集まっています。

発端となったのは、今年2/7のジェイ・クレイトンSEC委員長の、「私の見てきたICOのほとんどが証券だ」という趣旨の発言です。アメリカで証券取引を行えるのは、SECに登録された業者のみで、ほとんどの仮想通貨取引所が登録業者でないことから、数多くのオルトコインについて上場廃止の可能性が浮上しております。

イーサリアムに関しては、6/14にSEC企業金融局のウィリアム・ヒンマン局長が「(ETHを)規制することに価値はみえない」と発言し、イーサリアムは証券法による規制を逃れる見通しとなりました。

一方、他のオルトコインについて明確な発表は本稿執筆時点で確認できておりません。

アメリカは日本と比較して、仮想通貨規制に「やや強硬」なスタンスを示してきましたが、クレイトン氏は「証券法に則ったICOであればSECはサポートする」と応援の姿勢も示しており、日本と同様に仮想通貨を金融商品として分類する可能性が高そうです。

 

韓国

韓国は去年のICO禁止に加え、今年1月には匿名での仮想通貨取引禁止や、公務員の取引と所有を禁ずるなど、2018年第1四半期までは仮想通貨に対して比較的厳しい姿勢を取ってきました。

しかし、第2四半期から7月にかけてはICO を含め、規制を段階的に緩和する動きを見せつつあります。5/29には、国会にICO合法化案が提出されました。7/6には、韓国政府が世界で初めて仮想通貨取引所を「規制された金融機関・銀行」と認めた上、翌7日にはG20参加国の規制動向に合わせ規制緩和を発表しました。

中国

中国は、前述の通り昨年の9月に仮想通貨取引とICOを全面的に禁止しましたが、今年に入り禁止解除を予感させるいくつかの動きがありました。

まずは、5/17に始まった中国工業情報化部CCIDによる仮想通貨格付けがあります。仮想通貨を全面的に禁止している中国政府の傘下にある研究院からの仮想通貨格付けの発表とあって、大きな話題になりました。

また、5/30付けの人民日報系の英字新聞にて、「中国はビットコインに対し単に『NO』というよりも、規制を改善するほうが賢明だ」というタイトルの論説記事が掲載されました。メディアの統制を行う中国の新聞から禁止措置の解除を促す記事が出たことで、市場では一部期待感が生まれました。こちらの記事に関しては、同紙にて6/5、「中国がビットコイン取引を再開する日はまだ来ていない」というタイトルで「火消し」が行われましたが、同記事では「国内での規制の欠如」に焦点が当てられており、かえって中国当局が新たな規制案を作成している可能性も考えられます。

また、現在の米中貿易摩擦の激化を考慮すると、中国当局としては報復措置として元安(米ドルに対して)に誘導するメリットも相応にあることから、仮想通貨取引を再開させ「元売り・仮想通貨買い」を促す可能性もゼロではありません。

これらのことから、中国が仮想通貨禁止措置を解除していくとすると、7月のG20にて国際的規制方針が打ち出され主要国が足並みを揃えた後とも予想されます。

 

G20後の仮想通貨規制予測

7月のG20における国際的な規制の枠組み作りの鍵は、日本とFATFが握っていると言えるでしょう。

というのも、日本は現在唯一2015年にFATFが発表した規制方針案に沿った規制を実行しており、先月のFATF定例総会でも議論をリードする意欲を示していたからです。そして、世界的にも日本の仮想通貨規制には定評があることも理由として挙げられます。

 

また、FATFはAML・CTFの国際的基準を提案をする政府間団体であり、7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が創設したことから、G20での影響力は大きいと考えられます。日米韓で見られる仮想通貨の金融商品としての確立の動きも、既存金融業界における厳しいAML、CTF、KYCを仮想通貨業界でも徹底させる目論見があると考えられ、FATFのポリシーと合致しています。

このことから、今月のG20ではAML、CTF、KYCを基準化する方針が打診され、仮想通貨を金融商品として認知する方向性が参加国間で確認されることが予想されます。

一方で、現在日本が行っている仮想通貨交換業の登録制度に関しては、今月もしくは今年中での導入は難しいと考えられます。現在、世界中で205もの仮想通貨取引所が運営されており(CoinMarketCap調べ)、その全てが高いセキュリティとシステム水準を有するとは考えづらいです。よって、現状で日本が設けているような厳しい登録基準を世界的に設けると、メジャーな取引所であっても運営が困難になることが考えられます。また、205もの取引所を通して既に市場参加者の資金が市場に流れていることを考慮すると、そのような突発的な規制をかけることはないでしょう。

もっとも、仮想通貨交換業の登録制度は業界の健全化に大きく貢献することから、今後登録制度に向けた段階的な措置が取られることも指摘されます。

サマリー

今月のG20では、FATF以外にも金融安定理事会(FSB)などのSSBも3月からの市場監視の結果報告及び規制案の発表がなされる予定です。それらを審査した上で国際的な規制の枠組みがコミュニケで触れられると考えられます。よって、今回のG20では、日本にとっては現状を著しく変える規制にはならないと言えそうです。また、今回はあくまで「国際的な規制の枠組み」の発表がなされる見通しなので、G20閉幕直後から新規制が実行されるわけではなく、「参加国の足並みを揃える」最初の第一歩に留まると考えられます。

未だ「『確立期』に突入しようとしている」と言える仮想通貨業界では、国際的な規制の連携体制を拡充するには時間がかかると思われます。実質的な動きが出てくるのは2018年末や2019年はじめ頃からになると予想されます。

 

<本記事ご協力>

ビットコインなどの仮想通貨をまとめたメディア『FinAlt』が提供

 

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FinAlt

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「FinAlt(フィナルト)」はアルトデザイン株式会社の運営のもと仮想通貨相場情報・ICOに関するニュース・ブロックチェーンに関する仮想通貨総合メディアです。仮想通貨業界のリーダーや専門家による分析、専門家による寄稿やインタビューにも力を入れ鮮度の高い情報を発信します。

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