11月6日に実施される予定の米大統領選の中間選挙が今、注目を集めています。
特に、下院での共和党と民主党の議席獲得合戦は野党民主党が過半数を得るとの見方が濃厚で、仮にそうなれば、上院下院での「ねじれ」がトランプ政権の勢いを衰退させ、株価に影響を及ぼすとも考えられます。
こうした一大イベントを控える中、米国の金融市場は10月、ある意味で「例外的な月」となりました。
今回は、そんな「例外」とその背後で米国が抱える問題を解説し、それらがいかに直近の仮想通貨市場に影響を与えているか考察していきます。
中間選挙までに2度の下落は例外:トランプ成長政略に懸念募る
統計的に、10月という月は株式市場において高パフォーマンスになる傾向にありますが、今年10月のNYダウ工業株30種、S&P 500種、ナスダック総合指数などの主要株価指数は、それぞれ-5.57%、-7.33%、-9.71%と大幅な下落を記録し、海外市場の影響を受けやすい日本にも米株価下落によるリスクオフの動きが波及しました。
さらに付け加えると、中間選挙がある年は、選挙前に相場が軟調になりやすい傾向がありますが、選挙月(11月)直前の10月に株式市場が下落するというのは極めて珍しいと言える上に、今年は2月から3月にかけて既に下落局面を通過済みだったため市場参加者にインパクトを与えたかと思われます(第1図)。
このような例外的な動きは、NYダウ工業株30種およびナスダック総合指数においても言えることです。
【第1図:S&P 500種月足チャート(緑:過去20年間の中間選挙、赤:中間選挙前の下落)】
出所:Bloombergより作成
米国の実質GDPは、4月から6月にかけて伸びており、トランプ大統領自身もその実績を標榜していましたが、10月の下落の背景には、トランプ政権の成長戦略のサステイナビリティ(持続可能性)を疑う動きがあったと言えそうです。
まず、6月に米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が段階的な利上げを発表して以来、同国の輸出は伸び悩み貿易収支の悪化を招いています。
さらに、10月15日発表された財政収支では、昨年末の法人税改革による税収の大幅減少、そしてそれに伴う財政赤字の拡大が明らかとなりました。
「利上げと株価上昇」というシナリオは、ドットコムバブルや2007年の世界金融危機に至るまでにも見られたことから、一部では近い将来世界的な金融危機が起きる可能性までもが指摘されています。
デジタル・ゴールドに黄信号:資金流入を見込める相場ではない?
こうしたリスクを既存金融市場が織り込む中、逃避先としても見られることがあった仮想通貨市場は10月11日、株価の下落を追うように軒並み下落し、代表格のビットコイン(BTC)は一日の間に5.04%の下落を記録しました。
この時、デジタル・ゴールドとも称されるBTCの対ドル相場は既に現在の6187ドルから6729ドルの狭いボックス圏内で推移し、10日間と30日間のヒストリカル・ボラティリティは、それぞれ16.7%と27.31%まで下落していました(9月初時点ではそれぞれ31.8%と53.38%でした)。
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